情報処理学会第84回全国大会 会期:2022年3月3日~3日 会場:愛媛大学 城北キャンパス

IoTが拓く未来:〜2030年の未来予想図〜

日時:3/3 12:40-15:10

会場:第3イベント会場

【セッション概要】来たるべき超スマート社会(Society5.0)においては,IoT(Internet of Things)でつながった人や機器から生み出される膨大・多様なデータを,AIやビッグデータ処理などの情報科学技術により分析・活用し,知的な機器等をニーズに合わせて制御することにより,新しい価値やサービスを創発することが期待されています.本企画セッションでは,IoT機器から得られるPhysicalデータをリアルタイムに統合・分散処理する技術,IoT環境における機能・性能・実装の課題を飛躍的に解決する技術,IoT機器の脆弱性やデータ保全性等の課題を根本的に解決するセキュリティ技術やプライバシー強化技術等の最新研究動向を俯瞰するとともに,これらの要素技術を利活用した2030年のIoTサービスの将来像と今後の研究開発課題を議論します.

司会

内山 彰(大阪大学 大学院情報科学研究科 准教授)

内山 彰

【略歴】2008年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了.博士(情報科学).2009年より,大阪大学大学院情報科学研究科助教.2021年より同研究科准教授.2019年よりJSTさきがけ研究者を兼任.現在,モバイルコンピューティング,モバイルセンシングのヘルスケア,スポーツ応用,無線センシングなどの研究に従事.

司会

村尾 和哉(立命館大学 情報理工学部 准教授)

村尾 和哉

【略歴】2010年大阪大学大学院情報科学研究科博士課程後期課程修了(短縮).博士(情報科学).2011年より日本学術振興会特別研究員(PD).2012年より神戸大学大学院工学研究科助教,2014年より立命館大学情報理工学部助教,2017年より同准教授.2019年よりJSTさきがけ(兼任).ウェアラブル・ユビキタス・モバイルコンピューティングの研究に従事.

12:40-12:57 講演(1) 超高速IoTビッグデータ解析のための並列分散アルゴリズム

天方 大地(大阪大学 大学院情報科学研究科 助教)

天方 大地

【講演概要】近年,IoT環境およびストレージサイズの増加により,大量のデータが蓄積できるようになった.この大量のデータを解析して有用な知識やパターンを発見を行うデータマイニング技術は今日では必要不可欠である.一方,このような発見はリーズナブルな時間で行えないと実践的ではない.そのため,大量のデータを効率的に処理できる高速アルゴリズムが重要となる.IoTが拓く未来には,この高速アルゴリズムに関するプロジェクトが採択された.本発表ではその概要および現在までの取り組みについて紹介する.

【略歴】2015年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了(情報科学博士).同年より大阪大学大学院情報科学研究科助教となる.2019年よりJSTさきがけ研究員を兼任し,現在に至る.

12:57-13:14 講演(2) メタサーフェスのパルス幅選択性に基づく分散処理技術

若土 弘樹(名古屋工業大学)

若土 弘樹

【講演概要】電磁材料メタサーフェスは,そのサブ波長構造を調節することで,様々な伝搬現象や電磁特性を人工的に作り出すことができ,近年では知的反射面(IRS: Intelligent Reflecting Surface)として5G等の高周波信号の制御にも応用が見込まれている.本講演ではメタサーフェスにダイオードなどの回路素子を組み込むことによって得られるパルス幅選択性について紹介する.同特性を有するメタサーフェスは,たとえ同じ周波数でもパルス幅に応じて振る舞いを変化できることから,古典的な周波数選択性に加え,新たな自由度としてパルス幅選択性に基づいて電波信号の制御に活用できると期待される.

【略歴】2006年青山学院大学理工学部卒業.2008年青山学院大学大学院理工学専攻修了.2011年英国ノッティンガム大学にてPhD(電気電子工学)を取得.2011-2013年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校博士研究員,2013-2016年名古屋工業大学テニュアトラック助教を経て,2016年より同大大学院工学研究科准教授.加えて2005-2008年情報通信研究機構,2019年-現在JSTさきがけに所属.これまで主にEMC,電磁界解析,電磁材料に関する研究に従事.

13:14-13:31 講演(3) 物理空間と電脳空間を統合するための電波空間API

猿渡 俊介(大阪大学 大学院情報科学研究科 渡辺研究室 准教授)

猿渡 俊介

【講演概要】本研究では,我々が生活する物理空間とコンピュータネットワーク上の電脳空間を電波空間で接続することを目指している.具体的には,電波による通信機能,エネルギー供給機能,センシング機能を兼ね備えた電脳空間APIモジュールを実現する.電波空間APIモジュールが実現されることで,IoTの未解決課題「物理空間をセンシングして電脳空間に取り込むためのエネルギーをどうするのか?」の問題を抜本的に解決することができる.

【略歴】2007 東京大学博士(科学)
2008-2011 東大先端研助教
2012-2015 静大情報学研究科講師
2016-現在 大阪大学大学院情報科学研究科准教授
専門: ワイヤレスネットワーク,センサネットワーク,IoT,システムソフトウェア等

13:31-13:48 講演(4) 高エネルギー効率半導体集積回路システムが切り拓く未来のサステイナブルIoT

新津 葵一(名古屋大学 大学院工学研究科 准教授)

新津 葵一

【講演概要】私たちの生活水準向上に大きく寄与したのが、単位データ当たりのエネルギー効率向上です。ムーアの法則ほどの速度は維持できるか判明しないものの、半導体集積回路システムの高エネルギー効率化は2030年代まで続くことが予想されます。本講演では、高エネルギー効率半導体集積回路システムが切り拓く未来のサステイナブルIoTをフォアキャスティングします。研究開発事例として、室内光発電・血糖モニタリング・情報提示を行う半導体集積回路システムを用いた外部機器不要・電磁波不要の単独自立型環境適応持続血糖モニタリングコンタクトレンズを紹介します。

【略歴】2010年慶應義塾大学大学院博士課程短縮修了.同年群馬大学大学院工学研究科助教.2012年名古屋大学大学院工学研究科講師.2013年インペリアルカレッジロンドン客員研究員.2015-2019年 さきがけ研究者(兼任・社会情報基盤).2018年名古屋大学大学院工学研究科准教授.2020年11月 – 現在 さきがけ研究者(兼任・IoT).文部科学大臣表彰 若手科学者賞・電子情報通信学会末松安晴賞・IEEE BioCAS 2016最優秀論文賞・IEEE BioCAS2018最優秀デモ賞・IEEE/ACM (ASP-DAC) 2019 Special Feature Award・バイオインダストリー奨励賞などを受賞

13:48-14:05 講演(5) IoTによる疾患推定

杉浦 裕太(慶應義塾大学 准教授)

杉浦 裕太

【講演概要】専門の医師でないと見逃してしまう病気の症状を,スマホでゲームをするだけで診断できてしまう.本講演では,整形疾患を推定可能なスクリーニング手法の確立を目指した研究事例を紹介する.関節,神経の変性が主体の整形外科疾患では,本人が自覚する以前から身体にその疾患特有の動作パターンが表出することがある.開発する疾患スクリーニングシステムを備えたモバイル端末を所持することで,生活者に検査の意識を与えないまま疾患の有無や重症度を判定を目指す.

【略歴】2013年3月,慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士後期課程修了. 博士(メディアデザイン学). 2014年4月より,同大学特任助教. 2015年4月より,産業技術総合研究所人間情報研究部門デジタルヒューマン研究グループ特別研究員. 2016年4月より,慶應義塾大学理工学部情報工学科助教. 2017年10月より,さきがけ研究員を兼任. 2018年4月より,同専任講師. 2020年4月より,同准教授. 実世界センシングやユビキタスコンピューティングに関する研究に従事. 特に最近は医工連携を展開. SIGGRAPH ASIA 2019 Emerging Technologies ChairやACM UIST,TEIなどのプログラム委員を経験する.情報処理学会山下記念研究賞,UIST Best Talk Award,グッドデザイン賞などを受賞.

14:05-14:22 講演(6) ヒアラブルコンピューティングにおける音響セキュリティ

渡邉 拓貴(北海道大学 大学院情報科学研究院 助教)

渡邉 拓貴

【講演概要】近年の技術発展に伴い,イヤホン型のウェアラブルデバイス(ヒアラブルデバイス)が急速に普及してきた.ヒアラブルデバイスでは,音の拡張現実による情報提示やナビゲーション,人本来の聴力では聞こえない音の聞き取りや,不必要な音を制限できる聴覚機能の拡張/制限,常時生体情報計測とそれに基づく情報提示,ハンズフリー/アイズフリーによるデバイス操作等が可能になり,人々の生活の質の向上が期待できる.一方,ヒアラブルデバイスを常時装着する社会では,ユーザは常にヒアラブルデバイスを介した音声情報を聞くことになる.つまり,ヒアラブルデバイスはユーザの聴覚を代替することになり,ヒアラブルデバイス着用時特有の音響セキュリティ問題が考えられる.本講演ではヒアラブルデバイス常時装着社会において考えられる脅威と対策について紹介する.

【略歴】2017年神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻博士課程後期課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員(DC2).2017年より北海道大学大学院情報科学研究院助教.2021年10月よりさきがけ研究者として兼務.ウェアラブル,ユビキタス,モバイルコンピューティング,人間行動認識の研究に従事.情報処理学会,ACM各会員.

14:22-15:10 パネル討論

パネリスト

天方 大地(大阪大学 大学院情報科学研究科 助教)

天方 大地

【略歴】2015年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了(情報科学博士).同年より大阪大学大学院情報科学研究科助教となる.2019年よりJSTさきがけ研究員を兼任し,現在に至る.

パネリスト

若土 弘樹(名古屋工業大学)

若土 弘樹

【略歴】2006年青山学院大学理工学部卒業.2008年青山学院大学大学院理工学専攻修了.2011年英国ノッティンガム大学にてPhD(電気電子工学)を取得.2011-2013年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校博士研究員,2013-2016年名古屋工業大学テニュアトラック助教を経て,2016年より同大大学院工学研究科准教授.加えて2005-2008年情報通信研究機構,2019年-現在JSTさきがけに所属.これまで主にEMC,電磁界解析,電磁材料に関する研究に従事.

パネリスト

猿渡 俊介(大阪大学 大学院情報科学研究科 渡辺研究室 准教授)

猿渡 俊介

【略歴】2007 東京大学博士(科学)
2008-2011 東大先端研助教
2012-2015 静大情報学研究科講師
2016-現在 大阪大学大学院情報科学研究科准教授
専門: ワイヤレスネットワーク,センサネットワーク,IoT,システムソフトウェア等

パネリスト

新津 葵一(名古屋大学)

新津 葵一

【略歴】2010年慶應義塾大学大学院博士課程短縮修了.同年群馬大学大学院工学研究科助教.2012年名古屋大学大学院工学研究科講師.2013年インペリアルカレッジロンドン客員研究員.2015-2019年 さきがけ研究者(兼任・社会情報基盤).2018年名古屋大学大学院工学研究科准教授.2020年11月 – 現在 さきがけ研究者(兼任・IoT).文部科学大臣表彰 若手科学者賞・電子情報通信学会末松安晴賞・IEEE BioCAS 2016最優秀論文賞・IEEE BioCAS2018最優秀デモ賞・IEEE/ACM (ASP-DAC) 2019 Special Feature Award・バイオインダストリー奨励賞などを受賞

パネリスト

杉浦 裕太(慶應義塾大学 准教授)

杉浦 裕太

【略歴】2013年3月,慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士後期課程修了.博士(メディアデザイン学).2014年4月より,同大学特任助教.2015年4月より,産業技術総合研究所人間情報研究部門デジタルヒューマン研究グループ特別研究員.2016年4月より,慶應義塾大学理工学部情報工学科助教.2017年10月より,さきがけ研究員を兼任.2018年4月より,同専任講師.2020年4月より,同准教授.実世界センシングやユビキタスコンピューティングに関する研究に従事.特に最近は医工連携を展開.SIGGRAPH ASIA 2019 Emerging Technologies ChairやACM UIST,TEIなどのプログラム委員を経験する.情報処理学会山下記念研究賞,UIST Best Talk Award,グッドデザイン賞などを受賞.

パネリスト

渡邉 拓貴(北海道大学 大学院情報科学研究院 助教)

渡邉 拓貴

【略歴】2017年神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻博士課程後期課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員(DC2).2017年より北海道大学大学院情報科学研究院助教.2021年10月よりさきがけ研究者として兼務.ウェアラブル,ユビキタス,モバイルコンピューティング,人間行動認識の研究に従事.情報処理学会,ACM各会員.