情報処理学会第84回全国大会 会期:2022年3月3日~3日 会場:愛媛大学 城北キャンパス

切迫する社会課題の克服に向けたAI/ビッグデータビジネスの新展開と人材育成

日時:3/5 13:20-15:20

会場:第5イベント会場

【セッション概要】論文誌トランザクションデジタルプラクティスでは,過去にビッグデータ特集号を何度か企画してきた.2020年から急に拡がったコロナ禍は,ニューノーマルと呼ばれる新しい生活様式を強いられ,DXの推進を加速化させており,AI/ビッグデータの重要性を再認識させられる.一方で,少子高齢化や気候変動など,我々を取り巻く社会課題はますます深刻化し,その対応に向けて残された時間と選択肢は,いよいよなくなってきており,今すぐ行動を起こさなければ,我々の未来と存亡の危機に直面する事態となっている.本企画では,そのような緊急事態において我々がなさねばならないことを再確認し,AI/ビッグデータにより危機的時代を乗り切るための人類の叡智を喚起するきっかけとしたい.

13:20-15:20 司会 切迫する社会課題の克服に向けたA I/ビッグデータビジネスの新展開と人材育成

石井 一夫(公立諏訪東京理科大学 工学部情報応用工学科)

石井 一夫

【略歴】公立諏訪東京理科大学教授,久留米大学医学部内科学講座客員准教授.専門は,ビッグデータ,計算機統計学,データサイエンス.1987年静岡薬科大学薬学部卒業,1989年静岡薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了,1995年徳島大学大学院医学研究科博士課程修了.博士(医学),技術士フェロー,APECエンジニア,IPEA国際エンジニア.東京大学医科学研究所,理化学研究所,東京農工大学,久留米大学などを経て現職.2015年度情報処理学会優秀教育賞受賞.社会課題(少子高齢化,地球温暖化など)の克服に向けた医療ビッグデータ,環境・農業ビッグデータの研究教育に従事.

13:20-14:00 講演(1) 2000年TDP論文賞「Wi-Fiパケットセンサ商用化に至る課題克服の歩み」

西田 純二(株式会社社会システム総合研究所 代表取締役)

西田 純二

【講演概要】Wi-Fiパケットセンサはスマートフォン等のWi-Fiを搭載する端末が発するパケットを取得し,人や自動車等の流動を計測するためのセンサ・システムである.2013年に道路や駅等で交通流動を計測できる技術基盤を開発したが,その後個人情報保護のためのデータ処理・計測手法の確立を経て国内外で実証実験を行い,2015年にはラオスの首都ビエンチャンに実用的な常時交通観測システムとして導入を行うことができた.国内よりも先に海外において実用化事例を作ることにより,国内各地から導入を求める声が上がり,国内でも多数の販売実績につながった.このシステムの商用化にあたっては,技術開発のみならず個人情報保護に関する法律面,社会的受容性,幅広い研究機関との連携による豊富な活用事例の積み上げが必要であった.本稿では本システムの開発に着手するに至った背景から,実用化までの課題とその克服事例について紹介する.

【略歴】京都大学工学部卒.中央復建コンサルタンツ,日本ディジタルイクイップメンツ,阪急電鉄文化・技術研究所,都市開発部、鉄道企画室を経てプロジェクト開発部長,ステーションファイナンス常務取締役などを歴任.2004年に(株)社会システム総合研究所を設立し代表取締役に就任(現在).
学校法人上田学園理事,(一社)グローカル交流推進機構理事,京都大学経営管理大学院特命教授.

14:00-14:15 講演(2) 全学的AI・データサイエンス教育の試み

飯尾 淳(中央大学 国際情報学部 教授)

飯尾 淳

【講演概要】中央大学では,2020年にAI・データサイエンスセンターを立ち上げ,全学的にAIおよびデータサイエンスに関する教育を推進することになった.理工学部や講演者の所属する国際情報学部があるとはいえ,その他の学部は全ていわゆる「文系学部」と括られる学部構成の本学において,全学的なAI・データサイエンス教育の実施は挑戦的な試みである.講義科目は2021年度から開始され,2022年度からは,AI・データサイエンスをテーマに掲げた全学横断的演習科目(いわゆるゼミ科目)も開始される予定となっている.講演者は同演習科目を管轄する責任者の立場にあり,また,自ら講義科目および演習科目を担当する.本講演では,文系学生も対象としたAI・データサイエンス教育の概要と,1年目の状況,および,将来構想などについても紹介する.

【略歴】1994年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.同年,株式会社三菱総合研究所入社.2007年大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻博士後期課程単位取得退学.2009年より東京農工大学客員准教授を兼務,株式会社三菱総合研究所主席研究員を経て,2013年中央大学文学部社会情報学専攻,准教授.2014年,同,教授.2019年,中央大学国際情報学部,教授.電子情報通信学会,ヒューマンインタフェース学会等,会員,OpenForum Academy Fellow.博士(工学),技術士(情報工学部門),HCD-Net認定HCD専門家.

14:15-14:30 講演(3) AI/ビッグデータビジネスの変遷と人材育成

高柳 慎一(Boston Consulting Group GAMMA Lead Data Scientist)

高柳 慎一

【講演概要】2010年代初頭にもてはやされたビッグデータという言葉は既に死語のように感じられるかもしれないが、そのDNAは今に至るまで脈々と受け継がれており、現在では「データを活用したDX」がその後継にあたるであろう。
このように単語が変化した理由は、ビッグデータの保存やその処理法自体に重点が置かれていた時代からそのビジネス活用へとテーマが移動したためであると考えられる。一方、我が国の政府は『AI戦略 2019』において「デジタル社会の基礎知識である「数理・データサイエンス・AI」に関する力をすべての国民が育み、社会のあらゆる分野で活躍することを目指す」と言及しており、また、大学においては「リテラシー教育」「応用基礎教育」「エキスパート教育」の実施についても言及している。このように教育の現場においてもよりデータの「活用」を意識した教育が実施されることは疑いの余地がない。
本講演においては、AI/ビッグデータのビジネスがこの10年でどのように移り変わってきたのか、また、それに伴い必要とされる人材がどのように変化しているのか、また、職場での教育も含めた幅広い意味での教育の現場において、どのようにAI/ビッグデータに関連した教育がなされていくべきかについて議論したい。

【略歴】Boston Consulting Group, GAMMA所属.Lead Data Scientist.専門は,統計科学,およびビジネスにおけるデータサイエンスの応用.2020年総合研究大学院大学複合科学研究科博士課程修了.博士(統計科学).リクルート,LINE,ユーザベースなどを経て現職.様々な産業の重要な経営課題に対し, データサイエンス等の先端技術を用いたモデルの設計や構築を行い、企業の大きな変革やビジネスの成長支援する業務に従事.徳島大学客員准教授,情報処理学会ビッグデータ解析のビジネス実務利活用研究グループ幹事を兼任.

14:30-14:45 講演(4) ビッグデータビジネスによる継続的な価値創造と人材育成

吉永 尊洸(LINE株式会社 Data Scienceセンター Machine Learning室 Engineering Manager)

吉永 尊洸

【講演概要】近年,ビッグデータ・AIの過熱気味のブームが落ち着き,ビッグデータによる継続的な価値創造が重要なフェーズとなっている.ビッグデータによる継続的な価値創造のためには,事業展開した機械学習・AIプロダクトを継続運用していくことが不可欠である.しかしながら,機械学習・AIプロダクトを継続運用していくにあたって,従来のソフトウェアのそれとは異なる困難があり,それは機械学習の性質に起因する.この困難に取り組む方法論の一つとして,MLOpsという概念が注目を浴びている.MLOpsはDevOpsから派生した概念であり,機械学習・AIプロダクトのライフサイクルを支える方法論の一つである.ビッグデータ・AIによる継続的な価値創造をする上で,MLOpsを実践できることが企業の競争力の源泉となりつつある.
本講演では,MLOpsという概念の解説および,LINEがどのような取り組みを行っているかを解説する.LINEは日本有数のビッグデータを保有しており,ブーム初期から様々なサービスにて機械学習・AIの適用がされてきた.その長い活用の歴史を踏まえて,ビッグデータ・AIによる継続的な価値創造をする上でどのような人材が必要であるかを議論したい.​

【略歴】LINE株式会社,Data Scienceセンター,Machine Learning室所属. Engineering Manager.専門は,データサイエンス・機械学習のビジネス応用.2015年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了,博士(理学).データ分析コンサルティング会社を経て,2018年にLINE株式会社に入社.主にB2B領域の機械学習案件に従事.データサイエンスによって,売上を上げることとユーザーに価値を届けることを両立できるプラットフォームを作ることを目指している.

14:45-15:20 司会/パネル討論 切迫する社会課題の克服に向けたA I/ビッグデータビジネスの新展開と人材育成

石井 一夫(公立諏訪東京理科大学 工学部情報応用工学科)

石井 一夫

【略歴】公立諏訪東京理科大学教授,久留米大学医学部内科学講座客員准教授.専門は,ビッグデータ,計算機統計学,データサイエンス.1987年静岡薬科大学薬学部卒業,1989年静岡薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了,1995年徳島大学大学院医学研究科博士課程修了.博士(医学),技術士フェロー,APECエンジニア,IPEA国際エンジニア.東京大学医科学研究所,理化学研究所,東京農工大学,久留米大学などを経て現職.2015年度情報処理学会優秀教育賞受賞.社会課題(少子高齢化,地球温暖化など)の克服に向けた医療ビッグデータ,環境・農業ビッグデータの研究教育に従事.

14:45-15:20 司会/パネル討論 切迫する社会課題の克服に向けたA I/ビッグデータビジネスの新展開と人材育成

高柳 慎一(Boston Consulting Group GAMMA Lead Data Scientist)

高柳 慎一

【略歴】Boston Consulting Group, GAMMA所属.Lead Data Scientist.専門は,統計科学,およびビジネスにおけるデータサイエンスの応用.2020年総合研究大学院大学複合科学研究科博士課程修了.博士(統計科学).リクルート,LINE,ユーザベースなどを経て現職.様々な産業の重要な経営課題に対し, データサイエンス等の先端技術を用いたモデルの設計や構築を行い、企業の大きな変革やビジネスの成長支援する業務に従事.徳島大学客員准教授,情報処理学会ビッグデータ解析のビジネス実務利活用研究グループ幹事を兼任.

パネリスト/パネル討論

西田 純二(株式会社社会システム総合研究所 代表取締役)

西田 純二

【略歴】京都大学工学部卒.中央復建コンサルタンツ,日本ディジタルイクイップメンツ,阪急電鉄文化・技術研究所,都市開発部、鉄道企画室を経てプロジェクト開発部長,ステーションファイナンス常務取締役などを歴任.2004年に(株)社会システム総合研究所を設立し代表取締役に就任(現在).
学校法人上田学園理事,(一社)グローカル交流推進機構理事,京都大学経営管理大学院特命教授.

パネリスト/パネル討論

飯尾 淳(中央大学 国際情報学部 教授)

飯尾 淳

【略歴】1994年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.同年,株式会社三菱総合研究所入社.2007年大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻博士後期課程単位取得退学.2009年より東京農工大学客員准教授を兼務,株式会社三菱総合研究所主席研究員を経て,2013年中央大学文学部社会情報学専攻,准教授.2014年,同,教授.2019年,中央大学国際情報学部,教授.電子情報通信学会,ヒューマンインタフェース学会等,会員,OpenForum Academy Fellow.博士(工学),技術士(情報工学部門),HCD-Net認定HCD専門家.

パネリスト/パネル討論

吉永 尊洸(LINE株式会社 Data Scienceセンター Machine Learning室 Engineering Manager)

吉永 尊洸

【略歴】LINE株式会社,Data Scienceセンター,Machine Learning室所属. Engineering Manager.専門は,データサイエンス・機械学習のビジネス応用.2015年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了,博士(理学).データ分析コンサルティング会社を経て,2018年にLINE株式会社に入社.主にB2B領域の機械学習案件に従事.データサイエンスによって,売上を上げることとユーザーに価値を届けることを両立できるプラットフォームを作ることを目指している.