情報処理学会第84回全国大会 会期:2022年3月3日~3日 会場:愛媛大学 城北キャンパス

〜コンピュータパイオニアが語る〜「私の詩と真実」

日時:3/3 12:40-15:10

会場:第2イベント会場

【セッション概要】情報処理学会歴史特別委員会ではオーラルヒストリのインタビューを進めているが,大先輩のお話は毎回大変示唆に富み印象的なので,これを広く会員の方々,特に若い世代の会員に直接お聞かせ出来ないものかと検討してきた.そして海外の事例なども参考にし,コンピュータパイオニアあるいは情報処理学会会長経験者,またはそれらに相当する経歴の大先輩をお招きして,若い頃の研究生活の思い出や今の若い世代に伝えたい経験談などをお話頂く講演会を企画した.なお本講演会は第70回大会から開催しており今回が第14回目となる.

12:40-12:50 司会

発田 弘

発田 弘

【略歴】1963年東京大学工学部電子工学科卒業.同年日本電気(株)入社.
2002年日本電気(株)退職.同年沖電気工業(株)入社.
1990年〜1991年度本会理事,1994年〜1995年度本会監事,1999年〜2000年度本会副会長,
2006年歴史特別委員会委員長,現在に至る.2001年功績賞,2002年フェロー,2005年名誉会員.

12:50-14:00 講演(1) 情報システム大変革期に遭遇する機会に恵まれて

西尾 章治郎(大阪大学 総長)

西尾 章治郎

【講演概要】1970年代前半,私が大学の学部でプログラム実習した際,入力は紙テープでした.そして学年が進むにつれて,パンチカードに入力することになり,カードトランクに大量のカード入れて大型計算機センターに通ったことを鮮明に覚えています.まさに隔世の感があります.爾来,情報システムは未曾有の変革を遂げて来ました.例えば,インターネット技術の発展に伴い,集中システムから分散システムに,そしてクラウドシステムへと変遷し,Webシステムは社会全般にわたるイノベーションを促進してきました.このような情報システム大変革期に遭遇する機会に私自身が恵まれてきた中で,研究,教育,社会創造に関わる自身の活動を紹介し,今後の展望について言及したく思います.

【略歴】1980年京都大学院工学研究科数理工学専攻博士後期課程修了.情報処理学会会長,日本学術会議情報学委員長,国立国会図書館科学技術情報整備審議会委員長,総務省情報通信審議会情報通信技術分科会会長,創発的研究支援事業創発運営委員会委員長等を歴任.2015年より大阪大学総長.電子情報通信学会業績賞・功績賞,日本データベース学会功労賞,情報処理学会功績賞,立石賞功績賞,文部科学大臣賞等を受章.2011年紫綬褒章,2016年文化功労者.情報処理学会名誉会員,電子情報通信学会名誉員,IEEE Life Fellow等.

14:10-15:10 講演(2) 日本の知的生産性の向上を目指した40年

浮川 和宣・初子(株式会社MetaMoJi 代表取締役社長・代表取締役専務)

浮川 和宣・初子

【講演概要】日本のパソコンの黎明期である80年代初頭に,今も引き継がれる日本語入力の仕組みを実用化し,ワープロソフト「一太郎」を大ヒットさせ,以後40年にわたり日本の「知的生産性」を押し上げてきた浮川和宣・初子が,PCの黎明期に成長を遂げたジャストシステム時代の経験,並びに2009年に第2創業ではじめたMetaMoJiで続けられている挑戦の歴史を紹介します.MetaMoJi では,タブレット端末用業務アプリを開発し,従来型PCではできなかったIT化を支援しており,建設現場や学校で広く使われるようになっています.本講演では,昔話にとどまらず,今を生きる若者から年配者まで全ての世代にエールを送るようなお話をさせていただきます.

【略歴】
浮川 和宣
1949年,愛媛県生まれ.愛媛大学工学部電気工学科卒業後,西芝電機での勤務を経て1979年にジャストシステムを創業.
「一太郎」「ATOK」などの開発を手がけた.2009年にMetaMoJiを設立し,現職.タブレット向けアプリ開発・販売事業を展開している.
浮川 初子
1951年,徳島県生まれ.愛媛大学工学部電子工学科卒業後,高千穂バローズ(現ユニシス)に入社し研究職に従事.
結婚を機に退職し,その後,夫婦でジャストシステムを創業.2009年にMetaMoJiを設立し,現職.技術開発部門の責任者を務める.