情報処理学会第84回全国大会 会期:2022年3月3日~3日 会場:愛媛大学 城北キャンパス

一般情報教育と数理・データサイエンス・AI

日時:3/4 9:30-11:30

会場:第2イベント会場

【セッション概要】一般情報教育員会は,社会の高度情報化,初等中等教育における情報教育が進展する中,カリキュラム標準J17の一般情報処理教育の知識体系の改定を行い,一般情報教育に関するカリキュラム標準の基礎となるGEBOK2017.1を策定し,公開した.その後も,新しい知識体系普及のため,GEBOK2017.1に基づいた教科書作成等の活動を進めてきた.GEBOK2017.1には,すでにGE-AID(人工知能とデータ科学)が組み込まれ,新たに作成した教科書にも人工知能とデータ科学の内容が含まれている.一方,それとは別に高等教育機関において数理・データサイエンス・AI教育を積極的に行おうとする動きが急速に拡大している.現在,高校の情報カリキュラム改定や全国的な数理・データサイエンス・AI教育の流れに対応し,GEBOKの修整・改定を検討している.そこで,一般情報教育の学識者とデータサイエンスの学識者の両方から講演を行ってもらい,その後,両方の実践者をパネラーに,フロアーとともに一般情報教育と数理・データサイエンス・AIについての議論を深めていきたい.

司会

湯瀬 裕昭(静岡県立大学 経営情報学部 教授)

湯瀬 裕昭

【略歴】1986年秋田大学鉱山学部電子工学科卒業,1988年同大学大学院修士課程修了,2008年東北学院大学大学院博士課程修了.博士(学術).1988年秋田県立西目高等学校電子機械科教諭を経て,1991年静岡県立大学経営情報学部助手.現在,同大学同学部教授,同大学ICTイノベーション研究センター長.情報教育,遠隔講義システム等の研究に従事.情報処理学会一般情報教育委員会委員長.

9:30-10:00 講演(1) 一般情報教育における数理・データサイエンス・AI

喜多 一(京都大学 国際高等教育院 教授)

喜多 一

【講演概要】一般情報教育員会で策定,公開している一般情報教育に関するカリキュラム標準の基礎となる一般情報教育の知識体系 GEBOK2017.1 では改訂にあたって「GE-AID 人工知能(AI)とデータ科学」という項目を新たに加えた.本講演では,同項目の概要や,これに基づき刊行された教科書で取り上げられた内容について紹介するとともに,改定時期では課題として残された事項なども論じる.

【略歴】京都大学 大学院 工学研究科 博士後期課程 研究指導認定退学,工学博士,
京都大学工学部助手,東京工業大学助教授,大学評価・学位授与機構 教授,京都大学 学術情報メディアセンター教授を経て現職,専門はシステム工学,情報教育

10:00-10:30 講演(2) 数理・データサイエンス・AIの教育と人材育成の全体像

掛下 哲郎(佐賀大学 理工学部 情報部門 准教授)

掛下 哲郎

【講演概要】情報処理学会では,2020年度にデータサイエンス(DS)カリキュラム標準(専門教育レベル)の策定を行い,2021年4月に公開した.同カリキュラム標準では,ACMのDSカリキュラムや欧州EdisonのData Science Framework,データサイエンティスト協会のDSスキルチェックリストを参照して国際的通用性の確保や産業界との連携を可能にしている.また,データサイエンティスト育成戦略を策定し,AI人材やデータサイエンス・AI教育も含む包括的なDS人材の育成・評価の枠組みを構築する方向性を示した.こうした方向性に基づき,2021年度は企業の社内DS資格制度を認定するとともに,大学等のDS専門教育プログラムを対象とする認定制度の設計を進めている.本講演では,こうした取り組みの全体像について包括的に紹介する.

【略歴】本会データサイエンス教育委員会 委員長.本会データサイエンス・カリキュラム標準(専門教育レベル)の策定を中心的な立場で担った.また,本会のデータサイエンティスト資格の制度設計やデータサイエンティスト育成戦略の策定や推進にも取り組んでいる.ISO委員としてソフトウェア技術者資格に対する国際規格の策定にも従事.ソフトウェア工学,情報システム,情報専門教育等を専門とする.工学博士(九州大学).

10:30-11:30 パネル討論

パネル司会 一般情報教育と数理・データサイエンス・AIの実践に向けて

湯瀬 裕昭(静岡県立大学 経営情報学部 教授)

湯瀬 裕昭

【討論概要】高校の情報カリキュラム改定や高等教育機関での数理・データサイエンス・AI教育の広がりなど,一般情報教育を取り巻く状況が変化し,一般情報教育委員会ではGEBOK2017.1の修整・改定を検討している.そこで,一般情報教育とデータサイエンス教育の実践者の両方をパネラーに迎え,参加者とともに,これからの一般情報教育と数理・データサイエンス・AIの実践についてディスカッションする.

【略歴】1986年秋田大学鉱山学部電子工学科卒業,1988年同大学大学院修士課程修了,2008年東北学院大学大学院博士課程修了.博士(学術).1988年秋田県立西目高等学校電子機械科教諭を経て,1991年静岡県立大学経営情報学部助手.現在,同大学同学部教授,同大学ICTイノベーション研究センター長.情報教育,遠隔講義システム等の研究に従事.情報処理学会一般情報教育委員会委員長.

パネリスト

喜多 一(京都大学 国際高等教育院 教授)

喜多 一

【略歴】本会データサイエンス教育委員会 委員長.本会データサイエンス・カリキュラム標準(専門教育レベル)の策定を中心的な立場で担った.また,本会のデータサイエンティスト資格の制度設計やデータサイエンティスト育成戦略の策定や推進にも取り組んでいる.ISO委員としてソフトウェア技術者資格に対する国際規格の策定にも従事.ソフトウェア工学,情報システム,情報専門教育等を専門とする.工学博士(九州大学).

パネリスト

掛下 哲郎(佐賀大学 理工学部 情報部門 准教授)

掛下 哲郎

【略歴】本会データサイエンス教育委員会 委員長.本会データサイエンス・カリキュラム標準(専門教育レベル)の策定を中心的な立場で担った.また,本会のデータサイエンティスト資格の制度設計やデータサイエンティスト育成戦略の策定や推進にも取り組んでいる.ISO委員としてソフトウェア技術者資格に対する国際規格の策定にも従事.ソフトウェア工学,情報システム,情報専門教育等を専門とする.工学博士(九州大学).

パネリスト

駒谷 昇一(奈良女子大学 生活環境学部(4月から工学部) 教授)

駒谷 昇一

【略歴】1985〜2007年旧NTTソフトウェア(株).2007〜2013年(株)NTTデータ.2007〜2010年筑波大学.2013年〜奈良女子大学.情報処理学会一般情報教育委員会委員.著書「ずっと受けたかったソフトウェアエンジニアリングの授業」,情報処理学会IT Textシリーズ「情報と職業」,「情報とネットワーク社会」,「情報システム基礎」他.

パネリスト

稲垣 知宏(広島大学 情報メディア教育研究センター 教授)

稲垣 知宏

【略歴】1995年広島大学大学院理学研究科博士課程修了.博士(理学).広島大学総合情報処理センター助手,広島大学総合科学部講師,広島大学情報メディア教育研究センター准教授などを経て,2015年から教授.広島大学の情報教育改革,一般情報教育の知識体系改訂等に取り組んできた.主な研究分野は情報教育,情報倫理教育,計算物理学など.情報処理学会情報処理教育委員会委員長.

パネリスト

中野 美由紀(津田塾大学 教授)

中野 美由紀

【略歴】1980年東京大学理学部卒業. 同年富士通(株)に入社. 1985年東京大学生産技術研究所助手. 2006年同助教. 2008年同特任准教授, 2013年芝浦工業大学特任教授, 2016年産業技術大学院大学教授, 2019年津田塾大学学芸学部教授, 大規模分散データベースシステムの高速処理技法および大規模ストレージを用いた省電力データベース処理等の研究に従事. 現情報処理学会監事,情報処理学会フェロー, 電子情報通信学会フェロー.