カメラ監視システムの目的は，交通量の計測や災害の早期発見など多岐にわたり，その目的に応じて検出する対象を適宜切り替える必要が生じる．従来，移動物体等の対象領域を映像から検出するためには，背景差分が広く用いられてきた．しかしこの手法では，入力映像中で背景モデルと見かけの異なる箇所を対象領域として出力するため，検出対象を目的に応じ切り替える際には，背景差分の出力に対し選択を行う処理が別途必要であった．本稿では，背景差分における背景モデルと入力映像の比較単位を時空間に拡張することで，出力する対象領域を，映像中の移動速度や移動量によっても選択可能な手法を提案する．