スマートフォンの普及や学校教育でのタブレット端末の利用により小中学生の視力が著しく低下しているが，外科的な処置を伴わない日常的な視力低下の防止策は確立されていない．本研究では，眼球運動による眼精疲労の回復を目的として，注視動作に基づく眼球運動システムを提案する．本システムでは画面表示された注視対象を注視位置に応じて逃避させることで外眼筋の運動を誘導し，内眼筋を含む眼球周辺の血行を促して疲労を緩和する．注視対象の逃避動作に応答性やランダム性を導入することで，注視における「気持ちよさ」や「もどかしさ」を演出する．眼球運動の実験により，疲労緩和や短時間的な視力回復の効果を検証する．