参加者が互いの理解や情動状態を推察しながら，意見や考えを引き出し合うことは議論の創造性を高める上で重要である．一方で，議論中に自他の意見を相対的に位置づけながら，他者の状況を観察して働きかけることは容易ではない．本研究では，複雑な議論インタラクション状況を検出し，適切な介入を行うことで参加者個々のコミットメントを引き出すための議論支援フレームワークの実現を目的とする．本稿では，議論状況を捉える手立てとしてドキュメントセマンティクスとマルチモーダル情報に着目し，議論状況の検出と，それに基づいて適応的な助言を提示するためのマルチモーダル情報処理の仕組みについて提案する．