自然な画像合成のための色補正技術は数多く研究が進んでいる．画像合成前と合
成後とで前景物体の色が変化して見える色彩学的な問題点が知られているが，色
彩学の観点からこの解決を試みる研究はまだ少ない．本報告では画像合成におい
て色差を考慮して色補正を施すための一手法を提案する．本研究では特に，元画
像から前景物体を切り取って別の背景画像に合成する際の明度，彩度，色相の差
異によって発生する色の錯視を考慮する．これを考慮して前景物体の色を補正す
ることで，前景，背景ともに単色の単純画像において前景物体の色の変化が弱ま
ることを確認した.