情報処理学会 第84回全国大会 会期:2022年3月3日~5日 情報処理学会 第84回全国大会 会期:2022年3月3日~5日

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スマートフォン・クラウドサーバ連携時における準同型暗号化手法の比較
○松本茉倫,小口正人(お茶の水女子大)
IoTデバイスで取得したセンサデータの中には,秘匿性が高いデータが存在しており,安全とは言えないクラウドサーバ上では情報漏洩に備えて,個人情報を保護する必要がある.そこで,暗号文同士の加算・乗算が任意回数可能なLeveled準同型暗号(以下
LHE: Leveled Homomorphic Encryption)が注目されている.
LHEによって,IoTデバイスで個人情報を暗号化しクラウドサーバで暗号化したまま分析,データ分析者が分析結果を復号することが可能になる.
しかし,LHEによる暗号化は時間がかかり,暗号文サイズが大きいため通信量が多くなってしまうことが計算能力の低いIoT デバイス上での実装の課題となっている.
IoTデバイスの中でも,スマートフォンは近年ユーザにとって極めて使用頻度が高い重要なデバイスであり,ユーザのプライベートな情報を含んだ非常に多くのデータを取得している.
本稿では,スマートフォンで取得したデータのクラウドサーバを使ったデータ活用を想定してシステムデザインを既存手法と提案手法で3つ実装し,IoTデバイスへの負荷・クラウドサーバへの負荷・通信量の3つの指標で比較した.
その結果,提案手法が既存手法に比べてIoTデバイスへの負荷を削減可能であることを示した.