情報処理学会 第84回全国大会 会期:2022年3月3日~5日 情報処理学会 第84回全国大会 会期:2022年3月3日~5日

5G-06
医療事故及びヒヤリ・ハット事例と翻訳・通訳の運用体制の考察
○本村裕美子(東大)
医療の安全は重要課題である一方でコミュニケーションに起因する事故の割合が高い。日本医療機能評価機構に2010~21年に報告された医療事故等から翻訳・通訳者等第三者が介在した複数言語のコミュニケーション例を抽出し、前後の医療行為と結果を検証した。抽出事例120件に対して有資格の通訳者が介在した例が少なく6件、代替として家族等の通訳が10件、翻訳アプリ使用が3件あった。医療機器の英語表示の読み取りミスで発生した事故が7件あった。改善策として、有資格者の派遣が有効であることを周知、翻訳アプリ導入時の品質チェック体制を院内で整備、医療機器の表示は日本に合わせた現地化手順を整備すること等が示唆される。今後はより詳細な事例の蓄積と分析が必要であろう。