群集制御計画を事前評価するためには，制御に対する群集の行動選択を理解する必要がある。しかしながら，人々の行動選択過程を外から観測して推定するという研究上の課題に加え，フィールド実験によってデータを収集する場合には技術的・社会的な課題が存在する。そこで，本研究では，制御の変更や行動データ収集を容易に行える実験環境としてVR実験環境を構築し，簡易的な検証実験によって，VR空間内の疑似的な状況下で収集した行動データが群集の制御に対する行動選択をモデル化するために利用可能であることを確認した。今後，VR実験規模を拡大し，群集制御のモデルを構築することで，制御計画の事前評価に役立てることができる。