情報処理学会第83回全国大会 会期:2021年3月18日~20日 会場:オンライン開催

2020年サイバー事件回顧録〜技術と法制度の両面から〜

日時:3月18日(木)9:30-11:30

会場:第1イベント会場

【セッション概要】78回大会より毎年開催している一年間のサイバー事件を振り返る企画.2020年は言うまでもなくコロナ禍に振り回された年であるが,その影響としてCOCOAやHER-SYSのようなシステムが生まれ,テレワークの普及と相まって捺印慣習が見直され電子署名が再評価された.そして特別定額給付金支給に際してもシステムトラブルが起こり,マイナンバーカードの在り方についても多くの意見や議論が浮上した.そのようなタイミングで情報法制面では個人情報保護法や著作権法の改正がなされている.これらの事象からも分かるようにデジタル情報・知的財産・社会基盤整備の法制度と情報技術の関係は,ますます重要な論点になっている.本パネル討論ではそうした法と技術の問題を扱うEIP研究会より,技術者の立場と,サイバー法や情報政策を研究する社会科学者のそれぞれの立場から2020年度に起こったサイバー事件を振り返り解説する.

9:30-10:45 パネル討論 22020年サイバー事件回顧録〜技術と法制度の両面から〜

パネル司会 2020年サイバー事件回顧録〜技術と法制度の両面から〜

須川 賢洋(新潟大学 法学部 助教)

須川 賢洋

【討論概要】・個人情報保護法の改正
・著作権法の改正(海賊版コンテンツサイト問題やオンライン授業の権利処理)
・twitterリツイート時の氏名表示権侵害の最高裁判決
・COCOAやHER-SYSなどコロナ禍関連システム
・GDPR等の欧米の新しい法制度の影響
・GAFA規制の新しい動き
・新政権の発足とデジタル改革
・脱ハンコと電子署名,(PPAP,PHSやネ申エクセル問題を含む)
・ランサムウェアEmotetの流行
・改正民法とソフトウェア開発
・ハイブリッド脅威
・後を絶たない不正アクセス事件や個人情報漏洩事件・
・その他,情報処理学会に関連する分野の様々な事件や裁判例など

【略歴】新潟大学大学院法学研究科修了.修士(法学).専門は情報法.コンピュータ犯罪,デジタル知的財産,情報セキュリティ制度,デジタル・フォレンジックなど,先端技術と法律の関係を中心に研究.共著に「ITセキュリティカフェ--見習いコンサルの事件簿」(丸善),「実践的eディスカバリー米国民事訴訟に備える」(NTT出版),「基礎から学ぶデジタル・フォレンジック」(日科技連)など.本会「電子化知的財産と社会基盤研究会(EIP)」幹事.

パネリスト

原田 要之助(情報セキュリティ大学院大学 客員教授(名誉教授))

原田 要之助

【略歴】1979年から電信電話公社(現NTT)研究所で通信ネットワークの監視,制御システム,通信ネットワークのセキュリティアーキテクチャの研究等に従事
その後も,情報通信総合研究所でセキュリティ監査業務に従事し,ISO/IEC SC27のWG1及びSC40のWG1で長く国際標準化に従事,国際標準化貢献賞を受賞
2005年から大阪大学大学院工学研究科の特任教授,2010年より情報セキュリティ大学院大学の教授,2019年に退官
2021年6月よりSC42JWG1の国際コンベナでAIのガバナンス規格を推進している

パネリスト

金子 格(名古屋市立大学 大学院医学研究科 客員准教授)

金子 格

【略歴】1980年早稲田大学卒.2004年博士(情報科学).(株)アスキーにてパソコンソフトウエア,システム設計,LSI設計,ゲーム機ソフトウエアの開発に従事.その後グラフィックスコミュニケーションラボラトリーズ等でMPEG国際WG委員に従事.2004年より東京工芸大学准教授.2018年より名古屋市立大学客員准教授.2015年 国際標準化貢献者表彰受賞.2018年FIT2018船井ベストペーパー賞.2019年度学会活動貢献賞受賞.ICT技術全般,オーディオ信号処理,マルチメディア.コンテンツ配信などに関心を持つ.

パネリスト

小向 太郎(中央大学 国際情報学部 教授)

小向 太郎

【略歴】1987年早稲田大学政治経済学部卒.中央大学博士(法学).情報通信総合研究所取締役法制度研究部長・主席研究員,早稲田大学客員准教授,日本大学教授等を経て,2020年4月より現職.1990年代初めから,情報化の進展によってもたらされる法制度の問題をテーマとした研究を行う.主著として『情報法入門(第5版)デジタル・ネットワークの法律』(NTT出版・2020年),『概説GDPR』共著,NTT出版・2019年)著,『情報通信法制の論点分析』(共著,商事法務・2015年),『プライバシー・個人情報保護の新課題』(共著,商事法務・2010年)などがある.

パネリスト

板倉 陽一郎(ひかり総合法律事務所)

板倉 陽一郎

【略歴】2002年慶應義塾大学総合政策学部卒,2004年京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻修士課程修了,2007年慶應義塾大学法務研究科(法科大学院)修了.2008年弁護士(ひかり総合法律事務所).2016年4月よりパートナー弁護士.2010年4月より2012年12月まで消費者庁に出向(消費者制度課個人情報保護推進室(現・個人情報保護委員会事務局)政策企画専門官).2017年4月より理化学研究所革新知能統合研究センター社会における人工知能研究グループ客員主管研究員,2018年5月より国立情報学研究所客員教授.2020年5月より大阪大学社会技術共創研究センター招へい教授.

パネリスト

折田 明子(関東学院大学 人間共生学部 准教授)

折田 明子

【略歴】1998年慶應義塾大学総合政策学部卒,2000年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了,2007年同大学同研究科にて博士(政策・メディア)取得.中央大学ビジネススクール助教,慶應義塾大学特任講師,米国ケネソー州立大学Visiting Assistant Professor等を経て現職.若年層の情報リテラシー教育,死後のデジタルデータの扱いといった生涯にわたるデータとプライバシー領域の研究に従事.EIP研究会幹事.情報社会学会理事.

パネリスト

加藤 尚徳(KDDI総合研究所 フューチャーデザイン1部門渉外・海外調査グループ アナリスト)

加藤 尚徳

【略歴】通信系シンクタンクでの研究員を経て,KDDIに入社.現在は,KDDI総合研究所で,情報法制(プライバシー・個人情報等)を中心とした法制度や技術の調査・研究・コンサル業務に従事しています.2019年3月「日米欧の自動走行に関する政策動向比較と今後の我が国の方向性に関する一考察」で,情報処理学会「山下記念研究賞」を受賞.2019年12月,AIの開発原則や法規制の動向調査に対して,デジタルフォレンジック研究会よりIDF優秀若手研究者として表彰される.総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻単位取得満期退学,修士(情報学),一般社団法人次世代基盤政策研究所理事・事務局長,理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員,神奈川大学および神奈川工科大学非常勤講師,慶應義塾大学SFC研究所上席所員.