情報処理学会第83回全国大会 会期:2021年3月18日~20日 会場:オンライン開催

情報科学の達人1.0 Experts of Information Science 1.0

日時:3月20日(土)13:20-15:20

会場:第1イベント会場

【セッション概要】国立情報学研究所,情報処理学会,日本情報オリンピック委員会は,共同で,高校生,高専生のトップ才能に対して,我が国の情報学分野研究力の向上と底上げにつなげるプログラムとして,世界最先端の情報学研究に触れてもらい,研究を始めるJST GSC「情報科学の達人」プログラムを2020年4月より実施している.本企画では,今年度1年間に,ほぼすべてオンラインで行ったプログラムを紹介し,さらなる発展を議論する.また,受講生からの成果発表も予定している.

全体司会

岡部 寿男(京都大学 学術情報メディアセンター)

岡部 寿男

【略歴】1988年京都大学大学院工学研究科修士課程修了,京都大学博士(工学).2002年より現職.インターネット技術,並列・分散システムとアルゴリズム,ネットワークセキュリティなどの研究に従事.2018・2019年度本会副会長.JST GSC「情報科学の達人」サブコーディネータ

13:20-13:30 講演(1) グローバルサイエンスキャンパス(GSC)「情報科学の達人」育成官民協働プログラムについて

小泉 輝武(国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 理数学習推進部)

小泉 輝武

【講演概要】グローバルサイエンスキャンパス(GSC)は,大学等の研究機関が将来世界をリードする科学技術人材の育成プログラムを高校生に対して実施することをJSTが支援する事業で,2014年度に発足しました.この事業スキームのもとで,将来Society 5.0社会をリードし得る人材を全国から発掘し,官民協働で育成することを目的とした「情報科学の達人」育成官民協働プログラムを2019年度より推進しています.本講演では,このプログラムの概要や考え方,狙いについて講演します.

【略歴】1995年筑波大学大学院博士課程化学研究科修了.博士(理学).同年4月新技術事業団(現JST)入職.技術移転促進,法人企画経営,研究開発戦略立案,基礎研究・社会技術推進,科学コミュニケーション推進,研究開発拠点運営等,諸々の業務に従事.この間に基本計画策定業務(科技庁出向)やURA業務(大学出向)も経験.2020年10月より現職.

13:30-14:00 講演(2) 「情報科学の達人」プログラムの初年度と今後の展望

河原林 健一(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系)

河原林 健一

【講演概要】講演者は,現在,高校生・高専生のトップ才能(情報オリンピック経験者など)が,日本のトップ研究組織で研究遂行を行うJST GSC「情報科学の達人」と,大学院生,そして若手研究者対象のACT-X「数理・情報のフロンティア」の総括を行っている.
本講演では,「情報科学の達人」プログラムjの初年度の取り組みを紹介するとともに,これらのプログラムを通して10年間でどのように数多くのトップ研究者を育成していくかの展望を講演する.

【略歴】1998年慶応大学理工学部卒,2001年慶応大学理工学研究科後記博士課程終了(理学博士).2003年東北大学情報科学研究科助手,2006年国立情報学研究所助教授,2009年より同教授,2019年より同副所長.現在ビッグデータ数理国際センター長,およびJST ACT-X「数理・情報のフロンティア」の総括.離散数学,アルゴリズム,理論計算機科学からAI,データマイニングの研究に従事.2008年度IBM科学賞,2012年度日本学術振興会賞,日本学士院学 術奨励賞.SODA’13 Best paper.JST GSC「情報科学の達人」コーディネータ

14:00-14:10 講演(3) 「情報科学の達人」プログラム:メンターの立場から

石畠 正和(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 研究主任)

石畠 正和

【講演概要】COVID-19感染症の状況に対応して,初年度のプログラムでは当初予定していた受講生の研究室派遣等を取りやめ,メンターによる研究開発指導と精神的なサポート,さらには受講生との共同研究を行った。本講演ではメンターからみた本プログラムと受講生について報告する。

【略歴】2013年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了,博士(工学).2010年から2013年まで日本学術振興会特別研究員(DC1).2013年から2016年までNTTコミュニケーション科学基礎研究所研究員.2016年から2018年まで北海道大学大学院情報科学研究科特任助教(NTTより出向).2018年より現職.2008年人工知能学会研究会優秀賞,2013年人工知能学会論文賞受賞.

14:10-14:20 講演(4) 「情報科学の達人」プログラム:受講生による研究発表(1) ツイートとリプライからなる木構造を用いた炎上度判定

内山 史也(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)

内山 史也

【講演概要】発表者は,2020年度「情報科学の達人」プログラムの受講生として,同プログラムのメンターである大阪大学 荒瀬由紀准教授ならび東京大学 鳴海紘也助教の指導下で研究活動を行った.本研究では,あるツイートとそれに対するリプライを入力として,そのツイートの炎上の度合いを判定するモデルを提案した.本講演では,プログラムでの研究成果の報告と,プログラムを受講した感想を述べる.

【略歴】横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校2年在学中.自然言語処理,深層学習に興味を持つ.アプリ甲子園2017 第三位,電通アイドバー賞 受賞.あいちゃれ2017グローバル U18ファンコミュニケーションズ賞・U18LIFULL賞・U18ソフトキューブ賞・U18プレゼンテーション賞 受賞.2020年度「情報科学の達人」プログラム受講生.

14:20-14:30 講演(5) 「情報科学の達人」プログラム:受講生による研究発表(2) ZDDを用いた順序木集合の表現

大野 公平(東京工業高等専門学校 電気工学科)

大野 公平

【講演概要】発表者は,2020年度「情報科学の達人」プログラムの受講生として,同プログラムのメンターであるNTT コミュニケーション科学基礎研究所 石畠正和研究主任のグループで研究活動を行った.プログラムでは,離散構造処理系の研究に取り組み,巨大な集合を表現可能なデータ構造である ZDDを用いて,順序木の集合を表現する研究を行った.本講演では,プログラムでの研究成果の報告と,プログラムを受講した感想を述べる.

【略歴】2017年に東京工業高等専門学校に入学.第18回日本情報オリンピック本選出場,第30回全国高専プログラミングコンテスト自由部門 最優秀賞・文部科学大臣賞・情報処理学会若手奨励賞.2020年度「情報科学の達人」プログラム受講生.

14:30-14:40 講演(6) 「情報科学の達人」プログラム:受講生による研究発表(3) Augmented Position Heapの先頭追加オンライン構築

柴田 紘希(東京工業高等専門学校 情報工学科)

柴田 紘希

【講演概要】発表者は,2020年度「情報科学の達人」プログラムの受講生として,同プログラムのメンターであるNTT コミュニケーション科学基礎研究所 石畠正和研究主任のグループで研究活動を行った.プログラムでは文字列を扱うアルゴリズムの研究に取り組み,文字列に対する索引構造のオンライン構築アルゴリズムについての研究を行った.本講演では,プログラムでの研究成果の報告と,プログラムを受講した感想を述べる.

【略歴】2017年に東京工業高等専門学校に入学.第18回日本情報オリンピック本選出場,第30回全国高専プログラミングコンテスト競技部門 最優秀賞・文部科学大臣賞・情報処理学会若手奨励賞.2020年度「情報科学の達人」プログラム受講生.

14:40-15:20 パネル討論 情報科学の達人の育成に向けて

【討論概要】GSC「情報科学の達人」プログラムでは,世界のトップクラスの数学理解,アルゴリズム理解,プログラミング・ソフトウェア開発能力等を持つ高校生・高専生に,最先端の情報学研究に触れてもらい,さらに受講生自身が日本の情報学分野のトップクラスの若手研究者と共同研究を行う.そして,このような共同研究を通して,情報学分野の世界のトップクラスにたどり着ける道を受講生に提供するよう試みる.本パネル討論では,このプログラムを共同で実施する国立情報学研究所,情報オリンピック日本委員会ならびに情報処理学会それぞれの立場から,このプログラムへの期待と初年度の総括,次年度の実施にむけての取り組みについて述べる.

パネル司会

岡部 寿男(京都大学 学術情報メディアセンター)

岡部 寿男

【略歴】1988年京都大学大学院工学研究科修士課程修了,京都大学博士(工学).2002年より現職.インターネット技術,並列・分散システムとアルゴリズム,ネットワークセキュリティなどの研究に従事.2018・2019年度本会副会長.JST GSC「情報科学の達人」サブコーディネータ

パネリスト

河原林 健一(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系)

河原林 健一

【略歴】1998年慶応大学理工学部卒,2001年慶応大学理工学研究科後記博士課程終了(理学博士).2003年東北大学情報科学研究科助手,2006年国立情報学研究所助教授,2009年より同教授,2019年より同副所長.現在ビッグデータ数理国際センター長,およびJST ACT-X「数理・情報のフロンティア」の総括.離散数学,アルゴリズム,理論計算機科学からAI,データマイニングの研究に従事.2008年度IBM科学賞,2012年度日本学術振興会賞,日本学士院学 術奨励賞.SODA’13 Best paper.JST GSC「情報科学の達人」コーディネータ

パネリスト

筧 捷彦(特定非営利活動法人情報オリンピック日本委員会)

筧 捷彦

【略歴】1970年東京大学大学院卒業後,同校助手,立教大学助教授などを経て1986年早稲田大学理工学部(現,基幹理工学部)教授に就任,2016年には同校名誉教となる.情報処理技術の標準化と情報教育推進に注力し,ACM-ICPC日本ICPC Board 議長,パソコン甲子園プログラミング部門審査委員長など,多数コンテストの委員経験をもつ.U-22プログラミング・コンテストには2015年より審査委員長として関与,現在は情報オリンピック日本委員会理事長,情報科学国際交流財団理事長なども兼任する. JST GSC「情報科学の達人」サブコーディネータ

パネリスト

高橋 尚子(國學院大学)

高橋 尚子

【略歴】大学在学中に女子大初のマイコンクラブを結成. 卒業後, 女性SE第一期生として富士通入社, 業務システムの移行や標準化に携わる. その後ASCIIでビジネスパソコンスクール開校, OAインストラクタを経て, ライティング業のナウハウスとして独立. 1995年から大学で非常勤講師を始め, 2007年から國學院大學経済学部で情報教育に就き, 2016年から全学の一般情報教育をマネジメントしている.情報処理学会 情報教育担当理事,一般情報教育委員,情報入試委員会委員,などを務める.

パネリスト

石畠 正和(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 研究主任)

石畠 正和

【略歴】2013年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了,博士(工学).2010年から2013年まで日本学術振興会特別研究員(DC1).2013年から2016年までNTTコミュニケーション科学基礎研究所研究員.2016年から2018年まで北海道大学大学院情報科学研究科特任助教(NTTより出向).2018年より現職.2008年人工知能学会研究会優秀賞,2013年人工知能学会論文賞受賞.