能には、流派がいくつかありその流派ごとに歌い方がに差異がある。また、同じ流派でも演者によっても歌い方や音高（音階の中での一つの音の高低）に違いがある。しかし、謡本（謡の楽譜）での表現はほぼ同じものであり、謡本の解釈によって歌い方が変わってくる。そのため、楽譜の旋律的要素（音高や音価（音の長さ）、またその変化）と実際の音響信号の旋律的要素に差があるという問題点がある。この問題点は楽譜と実際の音響信号を用いた処理を行う時に不都合が生じる。本研究では、この問題点の解消のために実際の音響信号に基づき謡本よりも旋律的要素を表せている楽譜とその処理手順を提案する。