情報処理学会 第82回全国大会 会期:2020年3月5日~7日 会場:金沢工業大学 扇が丘キャンパス 情報処理学会 第82回全国大会 会期:2020年3月5日~7日 会場:金沢工業大学 扇が丘キャンパス
~コンピュータパイオニアが語る~「私の詩と真実」
日時:3月6日(金)9:30-11:30
会場:第1イベント会場(6号館 334 多目的ホール)
【セッション概要】情報処理学会歴史特別委員会ではオーラルヒストリのインタビューを進めているが,大先輩のお話は毎回大変示唆に富み印象的なので,これを広く会員の方々,特に若い世代の会員に直接お聞かせ出来ないものかと検討してきた.そして海外の事例なども参考にし,コンピュータパイオニアあるいは情報処理学会会長経験者,またはそれらに相当する経歴の大先輩をお招きして,若い頃の研究生活の思い出や今の若い世代に伝えたい経験談などをお話頂く講演会を企画した.なお本講演会は第70回大会から開催しており今回が第13回目となる.
司会:発田 弘 (沖コンサルティングソリューションズ(株) フェロー)
【略歴】1963年東京大学工学部電子工学科卒業.同年日本電気(株)入社.2002年日本電気(株)退職.同年沖電気工業(株)入社.現在,沖コンサルティングソリューションズ(株)フェロー.1990年〜1991年度本会理事,1994年〜1995年度本会監事,1999年〜2000年度本会副会長,2006年歴史特別委員会委員長,現在に至る.2001年功績賞,2002年フェロー,2005年名誉会員.
9:30-10:30 講演(1) デジタル社会との出会い
細野 昭雄 (株式会社アイ・オー・データ機器 代表取締役会長)
【講演概要】ラジオの組み立てが趣味だった少年時代.創業2年目のウノケ電子工業での高校時代のアルバイトがきっかけで,当時未開のコンピューターに興味を持ち,そのまま就職.この出会いと決断が人生の転機となった.その後,金沢工業大学やベンチャーにて,コンピューター開発にのめり込む.しかし,事業が成長するに従って,単調な量産体制への疑問から,コンピューターを活用しユーザの悩み事を解決することを理念に,周辺機器専業メーカーであるアイ・オー・データ機器を起業.PCからスマホやクラウドに移り行く中でも,その変わらぬ想いについて述べたいと思う.
【略歴】1944年石川県金沢市生まれ.1962年石川県立工業高等学校電気科を卒業し,ウノケ電子工業(現㈱PFU)に入社.1965年金沢工業大学の情報センター職員,1970年(株)バンテック・データ・サイエンス(現㈱NTTデータNJK)勤務を経て,1976年(株)アイ・オー・データ機器を設立,代表取締役社長に就任.同社を経営する傍ら(社)石川県情報システム工業会の会長(現顧問)を務め,地元IT産業の育成に尽力.2017年ICT分野の研究者・ベンチャーの育成支援と地域スポーツ振興を目的にする公益財団法人I-O DATA財団を設立.2017年9月(株)アイ・オー・データ機器代表取締役会長に就任.
 
10:30-11:30 講演(2) 想定外の大展開 =直感を大切に=
喜連川 優 (国立情報学研究所 所長/教授)
【講演概要】70年代の末,東大大型計算機センターにCOBOLのボリュームを始めて作って頂きVSAMをいじった.CRAYに代表されるスパコンが花盛りの時代に,事務データ処理言語COBOLに興味をもつ研究者などいなかった.ほどなく,関係データべースや,ウェブが生まれた.巨大なテキストデータを対象にサーチエンジンが一世を風靡し,加えて,オバマ政権下でビッグデータが大きなブームとなった.データが中心となる情報爆発時代である.更に,今日,AIの燃料としての実世界データが最も重要な企業アセットと見做されるに至っている.この大きなデータの流れを振り返りながら,そもそもITの世界において研究者が持つことが望まれる視座について考えてみたい.
【略歴】国立情報学研究所所長,東京大学生産技術研究所教授.1983年東京大学大学院博士課程修了.情報処理学会会長(2013–2015年),日本学術会議情報学委員長(2014-2016年)などを務める.データベース工学の研究に従事.ACM SIGMOD E. F. Codd Innovations Award,電子情報通信学会功績賞,情報処理学会功績賞,全国発明表彰「21世紀発明賞」,C&C賞などを受賞.2013年には紫綬褒章,2016年にはレジオン・ドヌール勲章を受賞.ACM,IEEE,電子情報通信学会,情報処理学会フェロー.