情報処理学会 第82回全国大会 会期:2020年3月5日~7日 会場:金沢工業大学 扇が丘キャンパス 情報処理学会 第82回全国大会 会期:2020年3月5日~7日 会場:金沢工業大学 扇が丘キャンパス
これからの一般情報教育why, what, how
日時:3月5日(木)9:30-12:00
会場:第1イベント会場(6号館 334 多目的ホール)

【セッション概要】我々を取り巻く社会と技術の変化,初等中等教育での情報教育進展の中,高等教育としての一般情報教育は,常に見直されてきた.一般情報教育委員会では,カリキュラム標準J17の中で一般情報処理教育の知識体系の改定を行い,“GEBOK2017.1”を発表している.その後も,新しい知識体系普及のため,これに基づいた教科書作成等のプロジェクトを進めてきた.本イベントでは,これからの一般情報教育why, what, howをキーワードに,一般情報教育の現状と将来像について報告する.また,一般情報教育として,なぜ,何を,どのように実施するのかについて,出版予定の一般情報教育教科書執筆者をパネラーに,フロアーとともに議論を深めたい.

司会:喜多  一 (京都大学 国際高等教育院 教授)
【略歴】京都大学 大学院 工学研究科 博士後期課程
研究指導認定退学,工学博士,京都大学工学部助手,東京工業大学助教授,大学評価・学位授与機構 教授,京都大学 学術情報メディアセンター教授を経て現職,専門はシステム工学,情報教育
9:30-9:50 講演(1) 一般情報教育に求められるのは
稲垣 知宏 (広島大学 情報メディア教育研究センター 教授)
【講演概要】一般情報教育委員会では,これからの一般情報教育について,なぜ,何を,どのように行うべきなのかについて検討を重ね,全国実態調査,海外調査,一般情報教育モデルの構築,ルーブリックの検討,情報プレースメントテスト開発等,さまざまな活動を行ってきた.現在は,カリキュラム標準J17の中で実施した全国調査等をベースに改定した一般情報処理教育の知識体系“GEBOK2017.1”をベースに,これに基づく教科書の作成,プレースメントテストの開発を進めている.本講演では,一般情報教育委員会の活動成果に基づき,一般情報教育の抱える課題と最近の動向,将来へ向けた期待について,why, what, howという形にまとめて報告する.
【略歴】1995年広島大学大学院理学研究科博士課程修了.博士(理学).広島大学総合情報処理センター助手,広島大学総合科学部講師,広島大学情報メディア教育研究センター准教授などを経て,2015年から教授.一般情報教育の知識体系更新等に取り組んできた.主な研究分野は情報教育,情報倫理教育,計算物理学など.情報処理学会一般情報教育委員会委員長.
 
9:50-10:10 講演(2) 初等中等教育と一般情報教育の将来像
和田 勉 (長野大学 企業情報学部 教授)
【講演概要】高等学校普通教科「情報」は2003年度に全国で必履修教科として開始された.その世代が大学に入学した2006年度には,新入生は高等学校普通教科「情報」の内容は理解済みだという前提のもとでその上の内容の一般情報教育を準備した大学が少なくなかったが,実際に入学した学生は必ずしもそうではなかった.その後2013年度からの2科目選択必履修制への移行を経て状況は徐々に変化したものの,大学での新入生への一般情報教育に際して全員に対する具体的な入学前既習事項を想定することは非現実的だという状況は,情報セキュリティに関する具体的知識などいくつかの事項を除けばそれほど変わっていない.その中で,2022年度からは高等学校共通教科情報科は「情報I」が必履修で「情報II」が選択,と変わり,またその世代が大学に入学する2025年度入試の共通テストにおいて「情報I」の試験が開始されることが期待されている.また2020年度からは小学校においてプログラミング教育が必須として課され,2027年度にはその世代が大学に入学する.このような状況の中,本会で一般情報教育委員会・情報入試委員会・初等中等教育委員会の3つに所属している立場から,大学一般情報教育の近未来の姿について私なりの展望を述べる.
【略歴】1978年早稲田大学理工学部電気工学科卒業,1983年筑波大学大学院数学研究科単位取得満期退学,同年東京大学生産技術研究所第3部技官,1984年より長野大学講師・助教授を経て現・企業情報学部教授.2006年大韓民国高麗大学師範学部コンピュータ教育学科招聘教授.2013年4月より本会初等中等教育委員会委員長.本会一般情報教育委員会委員,情報入試委員会各委員.本会シニア会員,学会活動貢献賞受賞.
 
10:10-12:00 一般情報教育why, what, how
パネル司会:喜多 一 (京都大学 国際高等教育院 教授)
【略歴】京都大学 大学院 工学研究科 博士後期課程
研究指導認定退学,工学博士,京都大学工学部助手,東京工業大学助教授,大学評価・学位授与機構 教授,京都大学 学術情報メディアセンター教授を経て現職,専門はシステム工学,情報教育
パネリスト:高橋 尚子 (國學院大学 教授)
【略歴】大学在学中に女子大初のマイコンクラブを結成. 卒業後, 女性SE第一期生として富士通入社, 業務システムの移行や標準化に携わる. その後ASCIIでビジネスパソコンスクール開校, OAインストラクタを経て, ライティング業のナウハウスとして独立. 1995年から大学で非常勤講師を始め, 2007年から國學院大學経済学部で情報教育に就き, 2016年から全学の一般情報教育をマネジメントしている.情報処理学会 情報教育担当理事,一般情報教育委員会副委員長,情報入試委員会委員,などを務める.
パネリスト:中鉢 直宏 (帝京大学 高等教育開発センター 講師)
【略歴】2007年9月社会理工研究科博士課程単位取得後退学,2008年より青山学院大学附置情報科学研究センター,パートタイム職員を経て2014年より島根大学教育・学生支援機構教学企画IR室助手,2016年より帝京大学高等教育開発センターIR推進室助教,2018年より帝京大学高等教育開発センターIR推進室講師として現在に至る.2017年情報処理学会山下記念研究賞.情報教育及び,情報システム教育,データリテラシーなどに興味を持つ.情報処理学会,情報システム学会,教育工学会,2018年年度より一般情報教育WG委員,2018年年度より情報システム学会研究普及委員長・評議員
パネリスト:徳野 淳子 (福井県立大学 学術教養センター 准教授)
【略歴】2005年 北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 博士後期課程修了.博士(情報科学).2005年 東京農工大学 産官学連携・知的財産センター 研究員.2006年 東京農工大学 総合情報メディアセンター 特任助手.2009年 福井県立大学 学術教養センター 専任講師,2016年同准教授.
パネリスト:堀江 郁美 (獨協大学 経済学部経営学科 教授)
【略歴】1994年津田塾大学学芸学部数学科卒業.(財)日本情報処理開発協会(現一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC))勤務の後,1999年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻修士課程修了,2004年同大学院博士課程単位取得満期退学.同年津田塾大学学芸学部情報科学科助手を経て,2007年より獨協大学経済学部経営学科専任講師,2010年より同大学准教授,2019年より同大学教授.博士(学術).教育支援システム,小学生のためのプログラミング教育,情報抽出,構造分析などに興味を持つ.