情報処理学会 第82回全国大会 会期:2020年3月5日~7日 会場:金沢工業大学 扇が丘キャンパス 情報処理学会 第82回全国大会 会期:2020年3月5日~7日 会場:金沢工業大学 扇が丘キャンパス
地域で自走するプログラミング教育
日時:3月7日(土)13:10-15:10
会場:第2イベント会場(23号館 218)

【セッション概要】Society 5.0の時代に向けて、2020年から小学校で開始されるプログラミング教育は学校現場での準備も進みつつあるが、地域住民を主体としたプログラミング教育のモデルが各地域で出現している。石川県内においても、金沢市、かほく市、加賀市において地域と行政が連携したプログラミング教育が実施されており、全国的に見ても先進的な事例も多い。さらに、これらのモデルは既に県内外の各市町への展開や、教育委員会と連携し学校教育にも導入が開始されはじめている。本パネルセッションでは、今後、地域主体で自走できるプログラミング教育のモデルとはどのようなものか議論する。

司会全体:松田 孝 (合同会社MAZDA Incredible Lab 代表)
【略歴】東京学芸大学教育学部卒,上越教育大学大学院修士課程修了,東京都公立小学校教諭,指導主事,主任指導主事を経て,2016年4月から小金井市立前原小学校に着任.全国に先駆け一人一台の情報端末をど真ん中においたICTの授業実践と新しい学びのトリガーとしてのプログラミング授業を積極的に推進してきた.3/31に36年間務めた教育公務員を辞職し,4/1より現職.Society5.0の新しい「学び」のPerspectiveを教育実践の事実として描き,政策提言に向かうシンクタンクの代表として奔走中.
講演 地域で自走するプログラミング教育  ー総務省「地域ICTクラブ」の取り組み成果を踏まえて
松田 孝 (合同会社MAZDA Incredible Lab 代表)
【講演概要】2017年より3年間,総務省の地域ICTクラブの実証に委員として関わり,そこで得た情報をもとに全国各地域での取り組みの様子やその組織化について紹介する.特に総務省がこの七月に取りまとめた「地域ICTクラブ設立・運営に関するガイドライン(初版)」から地域ICTクラブの設立や継続的な運営に関わる知見やノウハウ等を広く共有したい.地域課題の整理,地域ICTクラブのコンセプト,キーパーソンの確保,メンター育成やプログラミング講座の開設,そしてビジネスモデル等についての整理を行う.さらに小学校においてプログラミング教育が必修化される中にあって,地域主体で自走できるプログラミング教育の重要性や学校教育との連携のあり方についても言及し,討論に繋げたいと考える.
【略歴】東京学芸大学教育学部卒,上越教育大学大学院修士課程修了,東京都公立小学校教諭,指導主事,主任指導主事を経て,2016年4月から小金井市立前原小学校に着任.全国に先駆け一人一台の情報端末をど真ん中においたICTの授業実践と新しい学びのトリガーとしてのプログラミング授業を積極的に推進してきた.3/31に36年間務めた教育公務員を辞職し,4/1より現職.Society5.0の新しい「学び」のPerspectiveを教育実践の事実として描き,政策提言に向かうシンクタンクの代表として奔走中.
 
講演(1) 産学官連携から始まる地域で自走するプログラミング導入事業
浅岡 正教 (一般社団法人FAP 代表理事(金沢市/氷見市))
【講演概要】2020年から小学校で「プログラミング教育」が必修化されます.「ふれる.あそぶ.プログラミング.」は,4歳から12歳の子どもたちを対象に,プログラミング教育のスタートをスムーズに受け入れられるように,多様なプログラミング要素を取り入れた教室を2017年より,金沢市を中心に有志にて行い,2018年10月に「一般社団法人FAP」として法人化を行い,事業化しました.「ふれる.あそぶ.プログラミング.」の特徴は特定のカリキュラムはなく,多様なガジェット(ロボットからiPadアプリなど)を用意,それを用いて,子どもたちがまずテクノロジーに「ふれて,あそぶ」ことを目的としております.というのは,地方では,都心のように身近にテクノロジーに触れる場があまりないため,子供たちはテクノロジーに慣れていません.そこで私たちはまず,「ロボットと友達になるために」.そして,それらのコンテンツをマニュアルで完備し,公民館などで自主的にPTAや育友会などの地域コミュニティが中心となって「プログラミング教室」を実施,自走する地域の「寺子屋」的な存在になりつつあります.なぜ,そのように自走できるようになったのか,金沢市および氷見市にて産学官連携にて事業の実施形態についてお話をさせていただきます.
【略歴】北陸大学法学部卒,営業職を経て,(株)ユアブレインズ入社.スキャナなどの組込システムや業務アプリケーション開発など様々なシステム開発に従事.2017年より金沢市が主催するテクノロジーイベント「金沢ベンチャーITフェスティバル」実行委員,同志社女子大学での講師などの講演活動を開始.また同年に金沢市のプログラミング教育導入事業「金沢市キッズプログラミング教室」を企画・運営を委託.それをきっかけに,「一般社団法人FAP」を設立,WRO(World Robot Olympiad) 2018 金沢大会小学生部門予選実行委員なども行う.近年は,日本マイクロソフト社のビジネスコミュニティの地方版「石川・金沢IoTビジネス共創ラボ」を複数のIT企業とともに設立に携わり,金沢市のLPWA網の整備,eスポーツ(electric sports)の普及活動,コンサルティング事業も行う.
 
講演(2) 石川県かほく市,他での4年間の取り組み
久保田 旭 (株式会社PFU CSR推進部(かほく市))
【講演概要】2016年 かほく市教育委員会生涯学習から始めた こどもプログラミング体験教室.こどもたちの反応が驚くほど良く保護者/教育委員会関係者から早くも注目された.2018年の「2020年プログラミング教育必修化」の発表で話題急加速するも,かほく市では土壌を作り始めていたため,2019年春から全6小学校の総合の時間に組込むことができた.また,早くからの地道な取組みが功を奏し,かほく市の他にも県教委/市教委/学校単位での連携が進み,幾つもの取組みが既に実施できている.今回は,これらの取組みを紹介し,実施してきた状況や乗り越えてきた課題を説明する.
【略歴】1988年 (株)PFU 入社,ソフト開発エキスパートとして従事.社内技術伝承もサブミッション.2015年 夏休みイベント「PFU ものづくり教室」で扱ったIchigoJamに惚れ込んで,非営利団体 PCN金沢 を始動し 土日にイベント開催する.2017年 総務部CSR部門に異動,本活動が本業となる.2018年 かほく市,他の小学校に出向く日々が始まり今日に至る.
 
講演(3) 加賀市のプログラミング教育への取り組みについて
中 裕也 (株式会社インテトラス 代表取締役(加賀市))
【講演概要】加賀市では2020年度のプログラミング教育の必修化に先立ち,2017年度から市内の全小学校,中学校においてプログラミングの授業が実施されている.プログラミング教育を含めた,加賀市の人材育成への取り組みを紹介しながら,立ち上げ当初から実際に学校を訪問し400時間以上のプログラミング授業やクラブ活動をを実施していく中で感じたプログラミング教育必修化にむけた課題や教育現場の現状をお伝えする.学校教育の中でのプログラミングはレベルも平均化せざるを得ず,好きな子には物足りず,興味のない子にはおもしろくないものとなりがちである.その中から才能を持った子にはさらに勉強の場を用意してあげる必要があり課外活動の場の整備も重要である.KAGAものづくりラボの運営からみえてきた自治体,教育委員会,家庭が一体となった教育環境の構築についてもお話したい.
【略歴】2006年 金沢大学大学院卒業 2006年 NECソリューションイノベータ入社 主に東京でシステムエンジニアとして業務に従事 2016年 起業を目指してNECソリューションイノベータ退社 加賀市地域おこし協力隊として加賀市役所に勤務 2018年 (株)インテトラス創業 現在は小学生,中学生へのプログラミング教育を行う一方,KAGAものづくりラボの運営に携わる.
 
講演(4) プログラミング教育を支援するメンターの育成について
河並 崇 (金沢工業大学 工学部 情報工学科 准教授)
【講演概要】2020年度から小学校において開始されるプログラミング教育を目前に控え,数多くのプログラミング体験教室や学校教育に向けた教材の開発が進んでいる.これらの体験教室や教材は優れたものが多いが,それらを実施するためには特定の訓練を積んだ講師やメンターが必要とされていることが多い.講演者はこれまで「おもちゃハック」という玩具の改造を題材としたSTEM教育教材を開発し,体験教室を実施してきた.また,その派生として学校教育におけるSTEM教材も開発を行っている.本講演では,これらの事例を紹介するとともに,協力者や指導者となるメンターをどのように育成するかを提案する.
【略歴】2000年金沢工業大学工学部情報工学科卒業.2005年同大大学院工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).(独)(現 国立研究開発法人)産業技術総合研究所研究員を経て,2009年金沢工業大学講師,2016年同准教授(現職).コンピュータアーキテクチャ,センサーネットワークシステム,組込みシステム,若年層向けSTEM教育の研究に従事.2018年金沢市プログラミング活用人材育成検討委員.2020年情報処理学会第82回全国大会プログラム副委員長.
 
地域主体で自走できるプログラミング教育モデルとは
【討論概要】4名のパネラーによる事例紹介を踏まえ,「地域ICTクラブ設立・運営に関するガイドライン(初版)」をもとに各事例を整理するとともにそれぞれの取り組みの強みについて確認する.
その確認をしていく中で地域で自走するためのビジネスモデルについても討論したい.また学校教育で行われるプログラミング教育との連携をはじめ,将来のIT人材育成に向けたプログラミングの内容や子どもたちに育んでいきたい資質・能力について討論して,それぞれの取り組みのさらなる充実と地域の活性化へ繋がる方向性を見出していく.
パネル司会:松田 孝 (合同会社MAZDA Incredible Lab 代表)
【略歴】東京学芸大学教育学部卒,上越教育大学大学院修士課程修了,東京都公立小学校教諭,指導主事,主任指導主事を経て,2016年4月から小金井市立前原小学校に着任.全国に先駆け一人一台の情報端末をど真ん中においたICTの授業実践と新しい学びのトリガーとしてのプログラミング授業を積極的に推進してきた.3/31に36年間務めた教育公務員を辞職し,4/1より現職.Society5.0の新しい「学び」のPerspectiveを教育実践の事実として描き,政策提言に向かうシンクタンクの代表として奔走中.
パネリスト:浅岡 正教 (一般社団法人FAP 代表理事(金沢市/氷見市))
【略歴】北陸大学法学部卒,営業職を経て,(株)ユアブレインズ入社.スキャナなどの組込システムや業務アプリケーション開発など様々なシステム開発に従事.2017年より金沢市が主催するテクノロジーイベント「金沢ベンチャーITフェスティバル」実行委員,同志社女子大学での講師などの講演活動を開始.また同年に金沢市のプログラミング教育導入事業「金沢市キッズプログラミング教室」を企画・運営を委託.それをきっかけに,「一般社団法人FAP」を設立,WRO(World Robot Olympiad) 2018 金沢大会小学生部門予選実行委員なども行う.近年は,日本マイクロソフト社のビジネスコミュニティの地方版「石川・金沢IoTビジネス共創ラボ」を複数のIT企業とともに設立に携わり,金沢市のLPWA網の整備,eスポーツ(electric sports)の普及活動,コンサルティング事業も行う.
パネリスト:久保田 旭 (株式会社PFU CSR推進部(かほく市))
【略歴】1988年 (株)PFU 入社,ソフト開発エキスパートとして従事.社内技術伝承もサブミッション.2015年 夏休みイベント「PFU ものづくり教室」で扱ったIchigoJamに惚れ込んで,非営利団体 PCN金沢 を始動し 土日にイベント開催する.2017年 総務部CSR部門に異動,本活動が本業となる.2018年 かほく市,他の小学校に出向く日々が始まり今日に至る.
パネリスト:中 裕也 (株式会社インテトラス 代表取締役(加賀市))
【略歴】2006年 金沢大学大学院卒業 2006年 NECソリューションイノベータ入社 主に東京でシステムエンジニアとして業務に従事 2016年 起業を目指してNECソリューションイノベータ退社 加賀市地域おこし協力隊として加賀市役所に勤務 2018年 (株)インテトラス創業 現在は小学生,中学生へのプログラミング教育を行う一方,KAGAものづくりラボの運営に携わる.
パネリスト:河並 崇 (金沢工業大学 工学部 情報工学科 准教授)
【略歴】2000年金沢工業大学工学部情報工学科卒業.2005年同大大学院工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).(独)(現 国立研究開発法人)産業技術総合研究所研究員を経て,2009年金沢工業大学講師,2016年同准教授(現職).コンピュータアーキテクチャ,センサーネットワークシステム,組込みシステム,若年層向けSTEM教育の研究に従事.2018年金沢市プログラミング活用人材育成検討委員.2020年情報処理学会第82回全国大会プログラム副委員長.