近年、高齢化の進展により、認知症の前段階にあたる軽度認知障害（Mild Cognitive Impairment、以下MCI）をもつ高齢者への対応が課題となっている。日常を健康的に過ごし、生活習慣病予防のためには外出による適度な運動と気分転換が不可欠であるが、MCI傾向あるいは境界状態にある高齢者にとって、外出は乗り越えるべき障壁や不安が多く存在するため、家族等の理解や支援が必要である。しかし、前述の高齢者は物忘れが目立つものの一般に自立した生活が可能であることから、適度に家族や介助者から外出時の支援が受けられる仕組みが望ましい。本稿では、MCI傾向にある高齢者の外出時の不安を軽減しつつ、外出を促すためのシステムの在り方について考察した結果を報告する。