デザイン思考によるユーザ中心設計手法の一つとしてCustomer Journey Mapがあり，顧客を巻き込んだワークショップが盛んに実施されているが，ユーザの共感を得る要求を合理的に獲得するための具体的手法は明らかになっていない．著者らは，Customer Journey Mapを用いた複数の要求獲得ワークショップにおいて，参加者の発話や行動の記録の質的分析を行った．当該質的分析を通して行ったコーディングにより，ユーザの共感を得ることに影響を及ぼす「方向付けコード」を定義した．本稿では，「方向付けコード」が付与された発話や行動から浮かび上がる一連のプロセスを整理し，ユーザの共感を得るための要求獲得プロセスのあるべき姿について考察する．