情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス 情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス
物理モデリングによるシームレスな仮実相互接続
日時:3月15日(金)12:30-15:00
会場:第4イベント会場(A棟 A203)
【セッション概要】コンピュータグラフィクスでは,写実的描写のために様々な光学・力学フォワードシミュレーションを行う.このモデリング技術とCVによるセンシング技術やAI技術とが融合することにより,コンピュータ内で認識と再構成のループを回すことができ,モデルパラメータだけでなく,高度な表現とセンシングのためのモデル獲得そのものが可能となると考えられます.フィジカル世界とサイバー世界とのシームレスな接続の足がかりとなるこの技術の基礎と応用をグラフィクス,ビジョン,機械学習,HCI,VR,ロボティクス研究者とともに論じます.
司会:森島 繁生 (早稲田大学 先進理工学部)
【略歴】1959年,和歌山県生まれ.早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授.工学博士.1987年,東京大学大学院電子工学博士課程修了.同年,成蹊大学工学部電気工学科専任講師に.同助教授,教授を経て2004年,早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授に就任,現在に至る.その間,1994〜95年にトロント大学コンピューターサイエンス学部客員教授,1999〜2014年に明治大学非常勤講師,1999〜2010年に国際電気通信基礎技術研究所客員研究員,2010〜2014年にNICT招聘研究員も務めた.1991年,知的通信の先駆的研究により電子情報通信学会業績賞を,2010年電気通信普及財団テレコムシステム技術賞を受賞.
12:30-12:45 講演(1) 実世界と仮想世界の接続と物理モデリング
森島 繁生 (早稲田大学 先進理工学部)
【講演概要】実世界ではすべての事象が物理則に支配されているため,実世界でのインタラクションは自然な形で相互に影響し合う.一方,仮想世界はすべてがネットワーク上で繋がっているという空間連続性がある.そこで,仮想世界の空間連続性と,物理則というインタラクションの共通土台を有する実世界の双方の優位性を生かせるシームレスな仮実相互接続を考え,その実現に必要な技術基盤について論じる.特に,物理モデリングを共通土台とするセンシングとシンセシスの基盤に相互にリンクする形で,高度な認識技術とリアリティの高い視覚・触覚などの知覚提示技術,および直感的なインタラクション技術やロボティクス技術等を融合することで,実世界と同じ物理則に支配され,実世界と同じインタラクションが可能なサイバー世界を構築するという方向性を考える.
【略歴】1959年,和歌山県生まれ.早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授.工学博士.1987年,東京大学大学院電子工学博士課程修了.同年,成蹊大学工学部電気工学科専任講師に.同助教授,教授を経て2004年,早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授に就任,現在に至る.その間,1994〜95年にトロント大学コンピューターサイエンス学部客員教授,1999〜2014年に明治大学非常勤講師,1999〜2010年に国際電気通信基礎技術研究所客員研究員,2010〜2014年にNICT招聘研究員も務めた.1991年,知的通信の先駆的研究により電子情報通信学会業績賞を,2010年電気通信普及財団テレコムシステム技術賞を受賞.
 
12:45-13:00 講演(2) 実世界シンセシス
楽 詠灝 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
【講演概要】コンピュータグラフィックスとは何か,その定義は色々考えることができますが,「人間の知覚を誤差メトリックとし,図形情報のモデリング(加工)とレンダリング(出力)を扱う学問」と考えることができると思います.形状等のグラフィカルなデータを入力とし,モデリングはその編集やシミュレーションによる動的変形等の加工を扱い,レンダリングは,我々に知覚できる形でのデバイスへの出力を扱います.これらの方法を通じて,私たちが知覚できる世界をコンピュータの中で再現する,というのがグラフィックスの大きな方向性の一つです.本講演では,私たちの目に見える世界をコンピュータで再構成するための,物の見え方と動きを扱う光学と力学に基づく物理モデリングについて紹介し,光学と力学の予測シミュレーション手法や,光学と力学の物理則を考慮した形状設計手法による実世界シンセシスについて論じます.
【略歴】東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻助教.2011年同大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻博士後期課程修了.博士(情報理工学).物理モデリングに基づくコンピュータグラフィックスの研究に従事し,光学や流体などの物理シミュレーション手法,物理則を考慮した形状設計法や物理的タスクを実行するロボットの開発等を中心に活動してきた.2011年度情報処理学会山下記念研究賞受賞.日本学術振興会海外特別研究員として,米国コロンビア大学での滞在経験あり.
 
13:00-13:15 講演(3) 実世界での光のふるまいのセンシング
舩冨 卓哉 (奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授)
【講演概要】光線は空間を直進するだけでなく,反射・屈折・散乱など,実世界の物体によってさまざまにふるまう.本講演では,実世界における光線のふるまいをセンシングする技術,及びそれを用いて実世界を認識する技術について近年の取り組みを紹介する.
【略歴】2006年日本学術振興会特別研究員DC2.2007年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了.2007年京都大学学術情報メディアセンター助教.2014年Stanford University,Computer Science Department客員助教.2015年奈良先端科学技術大学院大学准教授,現在に至る.3次元モデル,Computational photographyに関する研究に従事.博士(情報学).
 
13:15-13:30 講演(4) 機械学習によるモデル構築
シモセラ エドガー (早稲田大学 理工学術院 専任講師)
【講演概要】近年,機械学習技術ではシミュレーションや大規模なデータのモデル化が可能になってきました.本講演では,簡単な生成モデル及び条件付き生成モデルからリアルタイムのインテラクティブなモデルまで画像生成や画像変換に焦点を当て,実践的な例を使って紹介します.
【略歴】早稲田大学 理工学術院の講師.2011年BarcelonaTech工学科卒業,2015年同大学でPh.D.を取得.2015年8月より早稲田大学に勤務.2018年3月まで早稲田大学 理工学術院総合研究所の研究院講師.2018年8月まで科学技術振興機構のさきがけ研究員.コンピュータビジョンとコンピュータグラフィクスと機械学習,特に画像処理に関する研究に従事,筆頭論文にCVPR,ICCV,IJCV,SIGGRAPHなど.
 
13:30-13:45 講演(5) インタラクションのためのディスプレイとハプティクス
長谷川 晶一 (東京工業大学 精密工学研究所 准教授)
【講演概要】リアルタイム物理シミュレーション技術をベースに,バーチャルヒューマン,力触覚インタフェースとそのためのレンダリング手法,バーチャルリアリティについて研究を進め,自然で精緻なインタラクションの有効性を示してきました.これらを踏まえて,本講演では,サイバー世界を介して空間的に離れた人同士の協調作業やコミュニケーションを支援するため,実世界を拡張する形でバーチャル世界を提示するARアプローチや,そのためのディスプレイおよび力触覚・温覚を含むハプティクスを介したリアリスティックな知覚提示手法について論じます.
【略歴】1997年東京工業大学工学部電気電子工学科卒業.1999年同大学大学院知能システム科学専攻修士修了.同年ソニー(株)入社.2000年東京工業大学精密工学研究所助手.2006年9月博士(工学).2007年電気通信大学知能機械科准教授.2010年東京工業大学精密工学研究所准教授.2016年未来研に改組現在に至る.EuroHaptics 2004 Best Paper Award,EuroGraphics 2004 Best Paper Award,ACE2005,2012 Best Paper Award,日本バーチャルリアリティ学会論文賞,貢献賞など受賞.バーチャルヒューマン,物理シミュレーション,力触覚,ヒューマンインタフェースロボット,エンタテインメント工学の研究に従事.
 
13:45-14:00 講演(6) インタラクションのためのインタフェイス
坂本 大介 (北海道大学 大学院情報科学研究科 情報理工学専攻 複合情報工学講座 ヒューマンコンピュータインタラクション研究室 准教授)
【講演概要】本講演ではヒューマンコンピュータインタラクションの中でも特にテーブルトップインタフェースや,モバイル端末のためのインタフェース,さらに家庭用ロボットのためのユーザインタフェースについて紹介する.現代においては一人のユーザが複数台の情報端末を持ち,家庭用ロボットを含めた様々な情報資源に常に接続しながら生活をすることが一般的になってきているが,一方でそのインタフェース設計については未だ検討の余地があるものが多い.特にロボットのような新しい存在に対しては,そのインタラクションそのものが未熟であるとも言える.本講演では私がこれまでに行ってきた研究の中でも特に次世代の生活において基盤となり得るコンセプトやアイデアについて共有する.
【略歴】2008年公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科 博士(後期)課程修了.博士(システム情報科学).国際電気通信基礎技術研究所(ATR)でインターン,東京大学で日本学術振興会特別研究員PD,JST ERATO 五十嵐デザインインタフェースプロジェクト 研究員,東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻助教,特任講師を経て現在,北海道大学大学院情報科学研究科 准教授.人とロボットを含む情報環境とのインタラクション設計に関する研究に従事.
 
14:00-14:15 講演(7) 人とロボット,環境とのインタラクション
塩見 昌裕 (株式会社 国際電気通信基礎技術研究所 知能ロボティクス研究所 室長)
【講演概要】多くのロボットが日常環境で人々と関わり合いながら社会の役割を担いつつあり,人がロボットと安心して関わりあえるための研究開発の重要性が増しています.それに伴い,人間理解に関する基礎研究と,工学的な技術開発の両面を併せ持つHuman-Robot Interactionに関する研究が進んでいます.特に,人々が活動する実環境下で実際にロボットが役割を持って活動するフィールド研究が盛んに行われており,ロボットによる情報提供や道案内,チラシ配りや見守りといったサービスが実現されてきました.本講演では,講演者がこれまでに取り組んできたフィールド実験を通じて見出してきた課題や,近年取り組み始めたソーシャルタッチに関する研究と共に,これまでのHuman-Robot Interactionに関する研究成果について紹介します.
【略歴】2007年大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).現在,ATR知能ロボティクス研究所,エージェントインタラクションデザイン研究室 室長としてコミュニケーションロボットの研究に従事. ネットワークロボット,コミュニケーションロボット,集団とロボットの相互作用,ソーシャルタッチインタラクションに興味を持つ.
 
14:15-15:00 パネル討論 物理モデリングによるシームレスな仮実相互接続
【討論概要】1)形状などのグラフィカルな入力データから,我々が知覚できる画像や音声などを生成する実世界のシンセシス手法を研究するコンピュータグラフィックス,2)実世界をセンシングし,観測された画像や音声などの情報から,因果をバックワードに辿り,原因となる入力状態や物理則を認識するコンピュータビジョン,3)データ駆動型のモデル化と物理則に基づくシミュレーションを組み合わせたモデル獲得のループ構築やモデル獲得手法そのものの深化を図れる機械学習,4)人間中心のインタラクションのためのディスプレイやハプティクスを活用した知覚提示技術,5)ストレスのないインタラクションのためのインタフェース設計,6)人々が活動する実環境下で実際にロボットが役割を持って活動するロボティクス技術,7)フォトリアリスティックかつ個性を反映可能なインタラクティブな人物表現技術などの様々な方向から,物理モデリングに基づくシームレスな仮実相互接続について論じる.
パネル司会:森島 繁生 (早稲田大学 先進理工学部)
【略歴】1959年,和歌山県生まれ.早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授.工学博士.1987年,東京大学大学院電子工学博士課程修了.同年,成蹊大学工学部電気工学科専任講師に.同助教授,教授を経て2004年,早稲田大学先進理工学部応用物理学科教授に就任,現在に至る.その間,1994〜95年にトロント大学コンピューターサイエンス学部客員教授,1999〜2014年に明治大学非常勤講師,1999〜2010年に国際電気通信基礎技術研究所客員研究員,2010〜2014年にNICT招聘研究員も務めた.1991年,知的通信の先駆的研究により電子情報通信学会業績賞を,2010年電気通信普及財団テレコムシステム技術賞を受賞.
パネリスト:楽 詠灝 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
【略歴】東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻助教.2011年同大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻博士後期課程修了.博士(情報理工学).物理モデリングに基づくコンピュータグラフィックスの研究に従事し,光学や流体などの物理シミュレーション手法,物理則を考慮した形状設計法や物理的タスクを実行するロボットの開発等を中心に活動してきた.2011年度情報処理学会山下記念研究賞受賞.日本学術振興会海外特別研究員として,米国コロンビア大学での滞在経験あり.
パネリスト:舩冨 卓哉 (奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授)
【略歴】2006年日本学術振興会特別研究員DC2.2007年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了.2007年京都大学学術情報メディアセンター助教.2014年Stanford University,Computer Science Department客員助教.2015年奈良先端科学技術大学院大学准教授,現在に至る.3次元モデル,Computational photographyに関する研究に従事.博士(情報学).
パネリスト:シモセラ エドガー (早稲田大学 理工学術院 専任講師)
【略歴】早稲田大学 理工学術院の講師.2011年BarcelonaTech工学科卒業,2015年同大学でPh.D.を取得.2015年8月より早稲田大学に勤務.2018年3月まで早稲田大学 理工学術院総合研究所の研究院講師.2018年8月まで科学技術振興機構のさきがけ研究員.コンピュータビジョンとコンピュータグラフィクスと機械学習,特に画像処理に関する研究に従事,筆頭論文にCVPR,ICCV,IJCV,SIGGRAPHなど.
パネリスト:長谷川 晶一 (東京工業大学 精密工学研究所 准教授)
【略歴】1997年東京工業大学工学部電気電子工学科卒業.1999年同大学大学院知能システム科学専攻修士修了.同年ソニー(株)入社.2000年東京工業大学精密工学研究所助手.2006年9月博士(工学).2007年電気通信大学知能機械科准教授.2010年東京工業大学精密工学研究所准教授.2016年未来研に改組現在に至る.EuroHaptics 2004 Best Paper Award,EuroGraphics 2004 Best Paper Award,ACE2005,2012 Best Paper Award,日本バーチャルリアリティ学会論文賞,貢献賞など受賞.バーチャルヒューマン,物理シミュレーション,力触覚,ヒューマンインタフェースロボット,エンタテインメント工学の研究に従事.
パネリスト:坂本 大介 (北海道大学 大学院情報科学研究科 情報理工学専攻 複合情報工学講座 ヒューマンコンピュータインタラクション研究室 准教授)
【略歴】2008年公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科 博士(後期)課程修了.博士(システム情報科学).国際電気通信基礎技術研究所(ATR)でインターン,東京大学で日本学術振興会特別研究員PD,JST ERATO 五十嵐デザインインタフェースプロジェクト 研究員,東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻助教,特任講師を経て現在,北海道大学大学院情報科学研究科 准教授.人とロボットを含む情報環境とのインタラクション設計に関する研究に従事.
パネリスト:塩見 昌裕 (株式会社 国際電気通信基礎技術研究所 知能ロボティクス研究所 室長)
【略歴】2007年大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).現在,ATR知能ロボティクス研究所,エージェントインタラクションデザイン研究室 室長としてコミュニケーションロボットの研究に従事. ネットワークロボット,コミュニケーションロボット,集団とロボットの相互作用,ソーシャルタッチインタラクションに興味を持つ.