情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス 情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス
2018年サイバー事件回顧録〜技術と法制度の両面から〜
日時:3月14日(木)9:30-11:30
会場:第3イベント会場(A棟 A202)
【セッション概要】78回大会より毎年開催している一年間のサイバー事件を振り返る企画.2018年度の上半期だけでも,漫画村などの海賊版サイト問題に端を発したブロッキング対処を巡っての大紛糾や,ケンブリッジ・アナティカ事件を始めとする大手SNSからの情報漏えい問題など,すぐにも思いつく大きな事件がいくつもあった.また,欧州でのGDPRの施行や,GAFAと呼ばれるプラットフォーマーの躍進は我が国にも大きな影響を与えている.情報法政面では,次世代医療基盤法の施行や,著作権法が改正され保護期間の70年への延長・新たな権利制限規定の導入などの施策が行われている.さらに2019年7月からは不正競争防止法にて新たにビッグデータの保護規定が導入される予定である.
これら知的財産・社会基盤整備といった法制と情報技術の関係は,ますます重要な論点になっている.本パネル討論ではそうした法と技術の問題を扱うEIP研究会より,技術者の立場と,サイバー法や情報政策を研究する社会科学の研究者のそれぞれの立場から制度や技術の健全な発展について意見を述べ合うものである.
9:30-11:30 パネル討論 2018年サイバー事件回顧録〜技術と法制度の両面から〜
【討論概要】2019年3月までに起きた,サイバー空間やITに関する様々な事件,問題,法律改正などについて多様な専門家からそれぞれの立場で意見を述べてもらう.
・海賊版サイトのブロッキング問題
・GDPR等の欧米の新しい規制法施行の影響
・プラットフォーマーからの情報漏洩
・著作権法や不正競争防止法の改正
・仮想通貨の流出事件
・後を絶たない個人情報漏洩事件やネットワークへの侵入,その手段として使われる標的型攻撃を始めとする様々なサイバー攻撃,ダークウェブ問題.
・フェイクニュースやデジタルゲリマンダーといった情報の氾濫
・AIと法律の関係
・2020年に控えたオリンピックを見越したサイバーインフラ防御のありかた.
・その他,情報処理学会に関連する分野の様々な事件や裁判例.
等々を扱う予定.
パネル司会:須川 賢洋 (新潟大学 法学部 助教)
【略歴】新潟大学大学院法学研究科修了.修士(法学).専門はサイバー法で,コンピュータ犯罪,デジタル知的財産,情報セキュリティ制度,デジタル・フォレンジックなど,先端技術と法律の関係を中心に研究.共著に「ITセキュリティカフェ?見習いコンサルの事件簿」(丸善),「実践的eディスカバリ?米国民事訴訟に備える」(NTT出版),「デジタル・フォレンジック事典」(日科技連)など.本会「電子化知的財産と社会基盤研究会(EIP)」前幹事.
パネリスト:原田 要之助 (情報セキュリティ大学院大学 教授)
【略歴】1954年京都生まれ.1979年京都大学大学院工学部数理工学専攻修了.電信電話公社(現NTT)の研究所で通信ネットワークの監視,制御システムを開発.1999年から情報通信総合研究所にてセキュリティコンサルやセキュリティ監査に従事.大阪大学工学部大学院工学研究科の特任教授を経て2010年より現職.情報セキュリティマネジメント及びガバナンスを研究.毎年,情報セキュリティ調査を実施している.経産省のIT関連の委員会の委員,2008年から2010年までISACA(情報システムコントロール協会)国際本部副会長,セキュリティマネジメント学会常任理事,日本ITガバナンス協会理事なども歴任.2018年よりEIP研究会主査.
パネリスト:金子 格 (名古屋市立大学 客員准教授)
【略歴】1980年早稲田大学卒.2004年博士(情報科学).(株)アスキーにてパソコンシステムソフトウエア,システムLSI,ASIC,ゲーム機ソフトウエアの開発に従事.その後グラフィックスコミュニケーションラボラトリーズでMPEG標準化の策定等に従事.2004年より東京工芸大学准教授.2018年より名古屋市立大学客員准教授.2015年 国際標準化貢献者表彰受賞.
パネリスト:小向 太郎 (日本大学 危機管理学部 教授)
【略歴】1987年早稲田大学政治経済学部卒.中央大学博士(法学).情報通信総合研究所取締役法制度研究部長・主席研究員,早稲田大学客員准教授等を経て,2016年4月より現職.1990年代初めから,情報化の進展によってもたらされる法制度の問題をテーマとした研究を行う.主著として『情報法入門(第4版)デジタル・ネットワークの法律』(NTT出版・2018年),『情報通信法制の論点分析』(共著,商事法務・2015年),『プライバシー・個人情報保護の新課題』(共著,商事法務・2010年)などがある.
パネリスト:板倉 陽一郎 (ひかり総合法律事務所/理化学研究所APIセンター)
【略歴】2002年慶應義塾大学総合政策学部卒,2004年京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻修士課程修了,2007年慶應義塾大学法務研究科(法科大学院)修了.2008年弁護士(ひかり総合法律事務所).2016年4月よりパートナー弁護士.2010年4月より2012年12月まで消費者庁に出向(消費者制度課個人情報保護推進室(現・個人情報保護委員会事務局)政策企画専門官).2017年4月より理化学研究所革新知能統合研究センター客員主管研究員,2018年5月より国立情報学研究所客員教授.情報ネットワーク法学会前理事,法とコンピュータ学会理事,日本メディカルAI学会監事,情報処理学会電子化知的財産・社会基盤研究会運営委員,総務省・AIネットワーク社会推進会議環境整備分科会及び影響評価分科会構成員,IoT推進コンソーシアム・データ流通促進WG及びカメラ画像利活用SWG委員等を現任.主な取扱分野はデータ保護法,IT関連法,知的財産権法等.
パネリスト:折田 明子 (関東学院大学 人間共生学部 コミュニケーション学科 准教授)
【略歴】1998年慶應義塾大学総合政策学部卒,2000年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了,2002年衆議院議院補欠選挙に公認候補として立候補するも落選.2007年同大学同研究科にて博士(政策・メディア)取得.中央大学ビジネススクール助教,慶應義塾大学特任講師,米国ケネソー州立大学Visiting Assistant Professor,関東学院大学人間環境学部専任講師を経て現職.研究領域はインターネット利用とプライバシー,若年層のリテラシー教育,死後のプライバシーなど.
パネリスト:吉井 和明 (弁護士法人ALAW&GOODLOOP 弁護士)
【略歴】2000年専修大学法学部法律学科卒.2007年明治大学法務研究科(法科大学院)修了.弁護士(弁護士法人ALAW&GOODLOOP).2012年-2016年情報ネットワーク法学会理事,日本弁護士連合会弁護士業務における情報セキュリティに関するワーキンググループ委員.主な取扱分野はIT関連法等.