情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス 情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス
「情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発」(3)
日時:3月14日(木)12:30-15:00
会場:第2イベント会場(A棟 AB02)
【セッション概要】文部科学省の大学入学者選抜改革推進委託事業に,大阪大学が代表機関となり,東京大学,情報処理学会が連携して取り組み,情報分野での現行の入学選抜における課題や問題点を調査・分析の上,その改善に向けた実践的で具体的な手法の研究・開発を行って3年目(最終年)となる.特に「思考力・判断力・表現力」の評価に関する考え方,学習指導要領改訂の方向性などに留意し,学力を適切に評価するための革新的な手法の開発に取り組んでいる.思考力・判断力・表現力を評価する枠組み,問題作成手順,「情報科」試行用CBTシステムおよびそれを用いた模擬試験の実施状況等,得られたいくつかの成果について,報告し,議論したい.
司会:角田 博保 (情報処理学会 情報入試委員会 委員長 (元 電気通信大学))
【略歴】1974年東京工業大学理学部情報科学科卒業.1976年同大学院修士課程修了.1981年同大学院博士課程単位取得退学.1982年電気通信大学計算機科学科助手.1990年同大学情報工学科講師,1992年助教授,2007年准教授,2016年定年退職.理学博士.計算機システムのヒューマンインタフェース,教育支援システム,文字列処理等に興味を持つ.情報処理学会情報入試委員会委員長.ACM会員.
12:30-12:50 講演 2018年度事業概説
萩原 兼一 (大阪大学 大学院情報科学研究科 特任教授)
【講演概要】文部科学省大学入学者選抜改革推進委託事業を大阪大学が受託機関,東京大学および情報処理学会が連携機関として2016年10月に受託し,高校科目「情報科」に関する大学入試評価手法の研究開発を実施しています.2022年度の高校入学生から次期学習指導要領が学年進行で実施され,「情報I」が共通必履修科目,「情報II」が選択科目となる予定です.2025年度の大学入学者選抜から,この学習指導要領のもと,知識・技能のみならず,より思考力・判断力・表現力も評価する入試問題を出題することが求められています.本事業では,その要求を満たす個別入試の問題はどのようなものであるかを明確にし,試験問題を体系的に作問できる仕組みを作り,さらにその試験を実施するCBT(Computer Based Testing)システムを開発することを研究開発の目標としています.本講演では最終年度である2018年度に実施した事業の概略を説明します.
【略歴】1974年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業.1979年同大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.工学博士.1992-1993年文部省在外研究員(米国メリーランド大).1993年奈良先端科学技術大学院大学教授.1994-2017年大阪大学教授.並列処理の研究に従事.2005-06年情報処理学会理事,同関西支部長.1997年より同アクレディテーション委員.J97策定WG委員.2013-14年理工系情報学科・専攻協議会会長.大学改革支援・学位授与機構情報工学部会委員.
 
12:50-13:10 報告(1) 思考力・判断力・表現力を評価する問題作成手順と作題例
久野 靖 (電気通信大学 情報理工学研究科 教授)
【講演概要】文部科学省による大学入学者選抜改革推進委託事業の一環として,情報科における思考力・判断力・表現力を評価する問題の作成方法について検討してきた.昨年度まででこれらの力の定義やその妥当性について検討したが,今年度はこれらの力を評価する問題の作問手順(マニュアル)の開発を行った.本講演では開発した手順の概要ならびにその手順に従う作問例を紹介し,情報科における思考力・判断力・表現力を評価する試験問題のあり方について検討する.
【略歴】1984年 東京工業大学理工学研究科情報科学専攻博士後期課程単位取得退学.同年 同大学理学部情報科学科助手.1989年 筑波大学講師.1990年 同助教授.2000年 同教授.2016年 電気通信大学教授.理学博士(1986年 東京工業大学),筑波大学名誉教授.
 
13:10-13:40 報告(2) 評価のためのルーブリックの作題例
松永 賢次 (専修大学 ネットワーク情報学部 教授・学部長)
【講演概要】本委託事業では,高等学校の「情報科」で修得した思考力・判断力・表現力を評価する入試問題を作成する際の指標となる,分野ごとのルーブリックを作成してきた.新学習指導要領とその解説が公表されたことにあわせ,その内容を精査した.その結果,共通教科情報(特に情報I)で扱う内容を11の分野に分け,各分野に対して数段階のルーブリックとなった.このルーブリックに基づき入試問題の題材となりうるサンプル問題を用意した.どのような思考力・判断力・表現力を問える問題を作成できたのか示す.
【略歴】1994年慶應義塾大学大学院理工学研究科管理工学専攻後期博士課程単位取得後退学.専修大学経営学部講師,助教授を経て,現在,同大学ネットワーク情報学部教授・学部長,同大学情報科学センター長.2005年度〜現在 情報処理学会情報システム教育委員会委員(2012〜2013年度委員長)を務めJ07-IS, J17-ISの作成に関与.2013年度〜現在 同学会アクレディテーション委員.
 
13:40-14:10 報告(3) CBT V2システムと試行結果
西田 知博 (大阪学院大学 情報学部 教授)
【講演概要】本事業では,これまで情報入試研究会として実施してきた大学情報入試全国模擬試験を出発点とし,「思考力・判断力・表現力」を評価するという視点も加えた「情報科」大学入学者選抜をCBTシステムの開発とそれを用いた試行試験を行ってきた.2017年に開発したV1システムは従来の紙ベースの試験をCBT化したものであったが,2018年には CBTならではの機能を取り入れたV2システムを開発した.また,その機能を使って「思考力・判断力・表現力」を評価する試行試験の問題を作成した.ここでは,V2システムの概要と,大学1年生と高校生を対象に行った試行試験の結果について紹介する.
【略歴】1991年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業,1996年同大学基礎工学研究科単位取得満期退学.博士(情報科学).大阪大学情報処理教育センター助手,大阪学院大学情報学部講師,准教授を経て,現在同大学教授.情報処理学会論文誌教育とコンピュータ編集委員長,同学会メディア知能情報領域委員会財務委員,コンピュータと教育研究会運営委員.情報入試委員会委員,情報規格調査会SC36専門委員会委員などを務める.
 
14:10-15:00 総合討論 2025年の大学入学者選抜に向けて
【討論概要】本セッションで報告されてきた内容を題材として,今後の大学入学者選抜における,情報学の観点での評価について,議論を行う.特に,2025年度入試での実現可能性について,検討を行う.
パネル司会:辰己 丈夫 (放送大学 教養学部情報コース 教授)
【略歴】1991年早稲田大学理工学部数学科卒業.2014年筑波大学博士(システムズ・マネジメント).1993年早稲田大学情報科学研究教育センター助手.その後,神戸大学.東京農工大学を経て.現在,放送大学教授.2016年より本会情報処理教育委員会幹事.他に,教科書委員会,会誌編集委員会,初等中等教育委員会,教員免許更新講習委員会,一般情報教育委員会など各委員.
パネリスト:萩原 兼一 (大阪大学 大学院情報科学研究科 特任教授)
【略歴】1974年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業.1979年同大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.工学博士.1992-1993年文部省在外研究員(米国メリーランド大).1993年奈良先端科学技術大学院大学教授.1994-2017年大阪大学教授.並列処理の研究に従事.2005-06年情報処理学会理事,同関西支部長.1997年より同アクレディテーション委員.J97策定WG委員.2013-14年理工系情報学科・専攻協議会会長.大学改革支援・学位授与機構情報工学部会委員.
パネリスト:久野 靖 (電気通信大学 情報理工学研究科 教授)
【略歴】1984年 東京工業大学理工学研究科情報科学専攻博士後期課程単位取得退学.同年 同大学理学部情報科学科助手.1989年 筑波大学講師.1990年 同助教授.2000年 同教授.2016年 電気通信大学教授.理学博士(1986年 東京工業大学),筑波大学名誉教授.
パネリスト:松永 賢次 (専修大学 ネットワーク情報学部 教授・学部長)
【略歴】1994年慶應義塾大学大学院理工学研究科管理工学専攻後期博士課程単位取得後退学.専修大学経営学部講師,助教授を経て,現在,同大学ネットワーク情報学部教授・学部長,同大学情報科学センター長.2005年度〜現在 情報処理学会情報システム教育委員会委員(2012〜2013年度委員長)を務めJ07-IS, J17-ISの作成に関与.2013年度〜現在 同学会アクレディテーション委員.
パネリスト:西田 知博 (大阪学院大学 情報学部 教授)
【略歴】1991年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業,1996年同大学基礎工学研究科単位取得満期退学.博士(情報科学).大阪大学情報処理教育センター助手,大阪学院大学情報学部講師,准教授を経て,現在同大学教授.情報処理学会論文誌教育とコンピュータ編集委員長,同学会メディア知能情報領域委員会財務委員,コンピュータと教育研究会運営委員.情報入試委員会委員,情報規格調査会SC36専門委員会委員などを務める.