情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス 情報処理学会 第81回全国大会 会期:2019年3月14日~16日 会場:福岡大学 七隈キャンパス
国際認定を受けたCITP制度とCITPの活動
日時:3月16日(土)9:30-12:00
会場:第3イベント会場(A棟 A202)
【セッション概要】ITSS(IT Skill Standard)レベル4以上の高度情報処理技術者の資格制度である「認定情報技術者」(CITP: Certified IT Professional)は,IFIP IP3による国際認定を受けた.CITPの認定を受けた技術者は累計9千名となっている.本セッションでは,CITP制度の現状に加えて,コミュニティを形成して積極的に社会貢献を行っているCITPの姿,さらには,日本技術士会との連携について紹介する.
司会:吉野 松樹 (株式会社 日立製作所 IoT・クラウドサービス事業部 シニアプロジェクトマネジャ)
【略歴】1982年東京大学理学部数学科卒業.同年,(株)日立製作所入社.1988年米国コロンビア大学大学院修士課程修了(コンピュータサイエンス専攻).2011年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了.博士(情報科学).情報処理学会フェロー.IEEE,電気学会会員.2018年〜 情報処理学会 資格制度運営委員会副委員長.
9:30-10:00 講演(1) CITP制度の現状
吉野 松樹 (株式会社 日立製作所 IoT・クラウドサービス事業部 シニアプロジェクトマネジャ)
【講演概要】本学会は2013年に認定情報技術者(CITP)制度の新設を発表し,翌2014年には個人認証,2015年には企業認定の本運用を開始した.既に累計9,000名のCITPが誕生している.企業認定では,8つの企業または企業グループの社内資格制度が認定を受けている.CITP制度は2018年2月に,国際的な高度IT人材資格制度の推進組織であるIFIP IP3より,プロフェッショナル資格制度の基準(IP3P)を満たしているとして認定を受け,国際的にも認められる資格制度となった.CITPのコミュニティにおいては,有志による分科会活動が活発に行われている.医療,土木,建築等の分野では,専門の資格を有する者が業務に従事しているが,情報の分野においてもその責任性に鑑みて,有資格者による業務遂行が望まれる.2016年に新設された「情報処理安全確保支援士」に加え,2017年には「ITSS+」が発表される等,情報技術者のスキルや資格に対する関心が高まっており,CITPの活躍が期待される.本講演では,CITP制度の概要を紹介するとともに,これまでの実績,今後の方向について述べる.
【略歴】1982年東京大学理学部数学科卒業.同年,(株)日立製作所入社.1988年米国コロンビア大学大学院修士課程修了(コンピュータサイエンス専攻).2011年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了.博士(情報科学).情報処理学会フェロー.IEEE,電気学会会員.2018年〜 情報処理学会 資格制度運営委員会副委員長.
 
10:00-10:30 講演(2) ISO/IEC 24773によるIT人材資格認証の国際標準化
掛下 哲郎 (佐賀大学 理工学部 知能情報システム学科 准教授)
【講演概要】ISO/IEC JTC1/SC7/WG20では,国際的に通用する高度IT資格制度に関する要求事項の定義を目的としてISO/IEC 24773:2008(ソフトウェア技術者を対象とする資格制度に対する比較の枠組み)の改訂を進めている.既存の情報処理技術者試験や技術士(情報工学)資格は本規格に準拠できないが,CITP制度を活用することで,既存資格を活かしつつ,この問題を解決できる.そのため,CITP制度はIT分野における日本の国際競争力の向上に資する.本規格は改訂途上にあるが,Part 1(共通の要求事項)を中心とする基本部分は国際規格案(DIS, Draft International Standard)投票を通じて承認され,ほぼ完成した.本講演では,Part 1のみならずPart 2(資格制度における知識,スキルおよび業務遂行能力の記述に関するガイドライン),Part 3(システム技術者を対象とする資格制度に関する追加要求事項),Part 4(ソフトウェア技術者を対象とする資格制度に関する追加要求事項)についても最新情報を速報する予定である.
【略歴】1989年九州大学工学研究科博士後期課程(情報工学専攻)修了.工学博士.現在,佐賀大学理工学部知能情報システム学科准教授.ソフトウェア工学,データベース,情報専門教育に関する研究に従事.2012年本会優秀教育賞受賞.本会資格制度運営委員および基準委員会委員長としてCITP制度に参画.本会情報処理教育委員会委員.ISO/IEC JTC 1/SC 7/WG 20委員.ISO/IEC 24773 Part 1, 2, 4 co-editor.本会シニア会員.
 
10:30-11:00 講演(3) 初等中等教育段階におけるプログラミング教育の充実に向けた民間人材の活用と課題
五十嵐 智生 (東京大学 大学院学際情報学府社会情報学コース須藤修研究室)
【講演概要】本研究は,小学校におけるプログラミング教育の義務化に向けて,情報システムを中心とした民間企業がどのような形で支援することが可能なのかを検討した内容を整理したものである.プログラミング教育は科目化されず,プログラミング的思考を既存科目で実現する必要があるが,研究機関,民間企業,地方自治体などの小学校関係者の連携により,英語などで既に実現している外国人指導助手(ALT)制度などを参考にすることで,教育現場の負担を減らしプログラミング教育の実現が可能ではないかということを示した試案を含む検討のまとめである.
<キーワード>プログラミング教育,初等中等教育,官民連携,認定技術者CITP
【略歴】東京大学大学院学際情報学府においてエッジコンピューティング普及と利活用について学際的な見地から研究を行っている.ITサービス会社のデータセンター技術者として勤務しながら,CITPには2015年より参加しプログラミング教育支援グループのリーダーとして活動を行っている.プログラミング教育の充実に向けたCITPと大学による連携とプログラミング教育を実践するための民間人材活用を推進している.
 
11:00-11:30 講演(4) 技術士制度とCITPの連携
児玉 公信 (株式会社 情報システム総研)
【講演概要】技術士は60年の歴史を持つエンジニアの国家資格である.60年の間,技術士制度は何度かの改訂を重ねてきたが,現在,また大きな改訂を実施する.本講演では,技術士とはどのような資格なのか,どのような価値があるのか,大学のアクレディテーションとどう関係するのか,そしてどのような課題を抱えているのかについて概説し,今般実施される技術士制度の改定について触れる.この改定は,専門分野をカリキュラム標準であるJ17に対応づけること,情報処理技術者試験高度合格者に対し一次試験を免除することが中心である.また技術士と本会との関係,とくにCITPとの資格および活動の連携について述べ,プロフェッショナルである技術士とCITPがともに目指すべき技術者としての生き方を提案したい.
【略歴】石油元売り,大学受託研究員,鉄鋼系情報子会社を経て,現在(株)情報システム総研代表取締役社長.企業の基幹情報システム開発のためのプラットフォーム製品の開発および販売,基幹情報システムの再構築のためのコンサルテーションを提供.技術士(情報工学部門),博士(情報学).情報システムと社会環境研究会主査,技術士委員会委員長,文部科学省科学技術・学術審議会専門委員.著書に「UMLモデリング入門」「UMLモデリングの本質」ほか,訳書に「アナリシスパターン」「リファクタリング」ほか.
 
11:30-12:00 質疑