【セッション概要】J07の後継としてまとまったJ17を紹介する.理工系情報専門学科の専門教育カリキュラム標準としてのJ90, J97の伝統の上に,一般情報教育も含めたカリキュラム標準J07が生まれてから10年が経った.2016年には,日本学術会議から情報学分野の学部教育参照基準が刊行され,全大学を対象とする情報学教育のアンケート調査も行われた.これらを踏まえて,一般教育・専門基礎教育から情報学専門教育までを視野に入れたカリキュラム標準J17の策定作業が行われた.その狙いと,仕上がった根幹部分の紹介を行うとともに,J17のカバー範囲を広げていくための方策についての議論を深める.
司会:筧 捷彦 (早稲田大学 名誉教授) |
 | 【略歴】1968年東京大学工学部計数工学科卒業.1970年同大学院修士課程修了.1970年東京大学工学部助手.1974年立教大学理学部情報工学科講師,1978年助教授,1986年早稲田大学理工学部数学科教授,1991年情報学科,2016年定年退職.名誉教授.プログラミング言語の定義・処理系,ソフトウェア科学に興味を持つ.本会情報処理教育委員会J17 WG主査.本会フェロー・名誉会員,日本ソフトウェア科学会会員,ACM会員. |
10:05-12:00 パネル討論 J17 - 情報教育の参照基準とともに |
【討論概要】J17の中核となるCS, IS, CE, SE, IT の専門教育5領域カリキュラム標準が仕上がった.これらは,J07を踏まえつつ,ACM/IEEE-CS/AIS による相応するカリキュラム標準の進展を睨みつつまとめられた.アメリカでは,そのカリキュラム標準の相互の位置付けを俯瞰できる図式の形にまとめようとするプロジェクト CC2020が進んでいる.そのプロジェクトに加わっている高田パネリストには,そのCC2020の進行状況を報告していただく. J17では,J07に引き続き,日本独自に一般情報教育カリキュラム標準 J17-GE も仕上がった.このGE, CS, IS, CE, SE, IT が相互にどのような位置付けにあるかを少しでもわかりやすくするために,これらのカリキュラム標準は,それぞれ,日本学術会議が策定した情報学分野の学部教育に対する参照基準への参照が付してある. J17では,また,この10年の間に情報分野で特に注目を集めてきているサイバーセキュリティとデータサイエンスに関して,その知識項目・スキル項目を抽出して,一般教育/専門基礎/専門に分類した側面別カリキュラム標準も用意した.そして,各カリキュラム標準は,この側面別カリキュラム標準の項目への参照を付して,相互にカバーするものの比較ができるように作られている. このパネル討論では,GE(稲垣), CS(角田), IS(松永) の各パネリストに,それぞれのカリキュラム標準が,参照基準・側面別カリキュラム標準に照らしてどのような位置付けになっているかを報告していただく.1年前に行った大学における情報教育の現状調査からは,多種多様な情報教育が行われていることがわかった.準備が進んでいる情報教育の参照基準も含めて,GE/CS/IS/CE/SE/ITのカリキュラム標準を超えて,広く大学での情報教育に対する指針となるものへと広げていくことについて,フロアも交えて展望を深める. |
パネル司会:萩谷 昌己 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授) |
 | 【略歴】1982年3月東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了.1982年4月京都大学数理解析研究所助手.1988年3月京都大学理学博士.1988年10月京都大学数理解析研究所助教授.1992年4月東京大学理学部助教授.1993年4月東京大学大学院理学系研究科助教授.1995年11月東京大学大学院理学系研究科教授.2001年4月〜東京大学大学院情報理工学系研究科教授.2010年4月〜2013年3月東京大学大学院情報理工学系研究科研究科長.2011年10月〜2017年9月日本学術会議会員. |