情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス
ソウル協定と情報専門分野の認定
日時:3月15日(木)9:30-12:00
会場:第4イベント会場(56号館 101)
【セッション概要】情報専門分野の大学学部教育課程について,国際的に相互認証を行うためにソウル協定が2008年に始まり,JABEEも設立メンバとして加盟している.2016〜2017年度にJABEEの継続加盟の審査があり,継続加盟が承認された.このことも含め,現在のソウル協定の状況,情報分野のJABEE認定の状況,他の国の基準や審査方法の違いや受信状況について報告をする.また,現在日本ではJABEEの受審状況が他国に比べて著しく低い.このことを含め,受審校からみた教育プログラムの認定のあり方と受審をして得られた点や苦労などについて講演を行う.その上で,高度な情報技術者を教育するための大学教育について,企業関係者からの講演を行う.以上を含め,教育課程の認定について,受審プログラムおよび企業関係者を含めたパネル討論を行う.
司会:掛下 哲郎 (佐賀大学 大学院 工学系研究科 知能情報システム学専攻 准教授)
【略歴】1989年九州大学工学研究科博士後期課程(情報工学専攻)修了.工学博士.現在,佐賀大学工学系研究科知能情報システム学専攻准教授.ソフトウェア工学,データベース,情報専門教育に関する研究に従事.2012年本会優秀教育賞受賞.2016年度より情報処理学会アクレディテーション委員会副委員長.2017年度文部科学省委託事業「先導的大学改革推進委託事業」にて海外動向調査WG主査を務める.
9:30-9:55 講演(1) ソウル協定の状況
玉井 哲雄 (法政大学 理工学部創生科学科 教授)
【講演概要】ソウル協定は発足から10年が経過した.当初6つの国・地域の加盟でスタートしたが,その後2つの国・地域の正式加盟が認められ,さらに4つの国・地域の暫定加盟が認められている.ソウル協定はエンジニアリング分野のアクレディテーションに関する国際相互協定であるワシントン協定をモデルとしているが,性格の違いから規程や運営方法に違いもある.本講演では,ソウル協定のこれまで経緯をたどりながら,現在の状況と今後の展望,日本の加盟団体であるJABEEの活動状況などを概観する.
【略歴】法政大学理工学部教授,東京大学名誉教授,博士(工学),専門分野はソフトウェア工学(モデル化手法,要求工学).
 
9:55-10:20 講演(2) 情報分野のJABEEについて
佐渡 一広 (群馬大学 社会情報学部 教授)
【講演概要】現在の情報分野におけるJABEEの状況と,新しい認定基準を特に情報専門系固有の事項について講演する.始めに,受審状況を中心に講演する.現状では日本は他国に比べて著しく受審状況が悪い状況である.それを踏まえて,海外におけるソウル協定の受審状況との違いと日本における問題点について触れる.次に,現在JABEEが検討している認定基準の改定,およびそれにともない情報専門分野におけるCS,IS,IT,情報一般の4分野の個別基準の改定案を述べる.個別基準では,米国などの状況や情報処理学会のJ17プロジェクトの状況を踏まえた改定を予定している.また,各分野の学習内容の違いや教育レベルとしての目安の検討をおこなっており,この状況についても講演する.
【略歴】1983年東京工業大学理工学研究科情報科学専攻博士後期課程単位取得退学,理学博士.1983年より群馬大学工学部助手,1987年同助教授,1993年群馬大学社会情報学部助教授,2010年同教授.2008年情報処理教育委員会監事,2016年より同副委員長,2014年よりアクレディテーション委員会委員長.
 
10:20-10:45 講演(3) JABEE認定プログラムからみたJABEE
河野 浩之 (南山大学 理工学部機械電子制御工学科 教授)
【講演概要】南山大学理工学部は,2000年度に数理情報学部として設置され,2006年度に情報技術専修コースを開始し,J-CAC試行審査受審の支援を得ながら,2009年度にJABEE認定に至りました.現在,CS(コンピュータ科学)分野の情報技術専修コース(システム数理学科・ソフトウェア工学科・機械電子制御工学科)として,2015年度に認定延長されています.そこで,JABEE認定プログラムの立場から,JABEE認定に至るまでの学部・学科内の変化,2009年度以後の外部変化への対応(例えば,3つのポリシー策定など),そして,2015年度に3年間の認定延長が認められるまでの対応,現状に関して報告します.なお,2010年に「南山大学情報理工学部におけるJABEEへの取り組みと課題」(電子情報通信学会,技術者教育と優良実践研究会)を報告しましたが,その後,学部改組ならびに学科改組に伴うカリキュラムの変更などを経験することになりましたので,その対応などを反映させた内容を報告します.
【略歴】1985年京都大学工学部数理工学科卒業.1990年同大学大学院博士課程研究指導認定退学.同年同大学工学部助手.1996年京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻助教授.2004年南山大学数理情報学部情報通信学科教授.現在,南山大学理工学部機械電子制御工学科教授.博士(工学).SFU,UCI,ウィーン大学において客員研究員.阪神高速道路電気通信委員会委員等.国立国会図書館電子図書館課非常勤調査員(2002年-2012年).データマイニング,情報システム等の研究に従事.
 
10:45-11:10 講演(4) 技術者のキャリアパス中におけるJABEEの位置づけについて
中谷 多哉子 (放送大学 教養学部情報コース 教授)
【講演概要】工学系の大学,高等専門学校を卒業した技術者が,プロフェッショナルエンジニア・技術士となり,さらに国際的に通用する技術者となるまでのキャリアパスが「技術者キャリアスキーム」として提案されている.高等教育を受けた卒業生がどのような経験を積んで国際的に通用する技術者に成長していくのか,また,どのような課題に取り組むことが期待されているのか.本講演では,文科省科学技術・学術審議会技術士分科会で検討された技術士に求められる資質能力を紹介した後,技術者が解くべき課題の複雑さという視点と,国際的に通用する技術者という二つの視点から,JABEEによる高等教育の審査を位置づける.
【略歴】東京理科大学応用物理学科卒業後,日本電子計算入社,富士ゼロックス情報システムを経て1995年にエス・ラグーン設立.オブジェクト指向コンサルテーションおよび技術者教育に従事.1998年3月東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).2005年に筑波大学大学院ビジネス科学研究科准(助)教授.2015年より現職.文科省科学技術・学術審議会技術士分科会・制度検討特別委員会委員として,技術士制度の改革に係わる.
 
11:15-12:00 パネル討論 JABEEの問題点について
【討論概要】JABEEによる教育認定がスタートしてから約15年が経過した.その間,国立大学の法人化,機関別認証評価の導入といった国内での教育制度改革の他にも,情報分野の参照基準,情報系カリキュラム標準としてCS2013やJ17等が国内外で策定されてきた.JABEE情報分野においてもSeoul協定が立ち上がり,技術士資格(情報工学)と情報処理学会が立ち上げた認定情報技術者資格(CITP)の連携も進みつつある.文部科学省との協議を経て,JABEE認定基準も2019年度審査より改定される予定である.こうした状況を踏まえ,JABEEの審査,受審,JABEE認定プログラムを受け入れる産業界等の立場から現状のJABEE認定制度が抱える課題を概観し,情報専門学科における教育をより良いものにするための議論を行う.
パネル司会:掛下 哲郎 (佐賀大学 大学院 工学系研究科 知能情報システム学専攻 准教授)
【略歴】1989年九州大学工学研究科博士後期課程(情報工学専攻)修了.工学博士.現在,佐賀大学工学系研究科知能情報システム学専攻准教授.ソフトウェア工学,データベース,情報専門教育に関する研究に従事.2012年本会優秀教育賞受賞.2016年度より情報処理学会アクレディテーション委員会副委員長.2017年度文部科学省委託事業「先導的大学改革推進委託事業」にて海外動向調査WG主査を務める.
パネリスト:佐渡 一広 (群馬大学 社会情報学部 教授)
【略歴】1983年東京工業大学理工学研究科情報科学専攻博士後期課程単位取得退学,理学博士.1983年より群馬大学工学部助手,1987年同助教授,1993年群馬大学社会情報学部助教授,2010年同教授.2008年情報処理教育委員会監事,2016年より同副委員長,2014年よりアクレディテーション委員会委員長.
パネリスト:河野 浩之 (南山大学 理工学部機械電子制御工学科 教授)
【略歴】1985年京都大学工学部数理工学科卒業.1990年同大学大学院博士課程研究指導認定退学.同年同大学工学部助手.1996年京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻助教授.2004年南山大学数理情報学部情報通信学科教授.現在,南山大学理工学部機械電子制御工学科教授.博士(工学).SFU,UCI,ウィーン大学において客員研究員.阪神高速道路電気通信委員会委員等.国立国会図書館電子図書館課非常勤調査員(2002年-2012年).データマイニング,情報システム等の研究に従事.
パネリスト:中谷 多哉子 (放送大学 教養学部情報コース 教授)
【略歴】東京理科大学応用物理学科卒業後,日本電子計算入社,富士ゼロックス情報システムを経て1995年にエス・ラグーン設立.オブジェクト指向コンサルテーションおよび技術者教育に従事.1998年3月東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).2005年に筑波大学大学院ビジネス科学研究科准(助)教授.2015年より現職.文科省科学技術・学術審議会技術士分科会・制度検討特別委員会委員として,技術士制度の改革に係わる.
パネリスト:西 直樹 (日本電気 中央研究所 主席技術主幹)
【略歴】1984年:日本電気(株)入社,2003年:シリコンシステム研究所 部長,2007年:システムIPコア研究所 所長,2012年:グリーンプラットフォーム研究所 所長,2013年10月〜:中央研究所 主席技術主幹(現職).2010〜11年度に情報処理学会財務理事を務めた後,CITP(Certified IT Professional)資格制度の設立・運営に参画.2012年:企業認定制度設計WG座長,2015年1月〜:企業認定審査委員会 副委員長(現職)