情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス
高度IT技術者「CITP」の活躍
日時:3月14日(水)15:30-18:00
会場:第2イベント会場(57号館 202)
【セッション概要】高度情報処理技術者の資格制度である「認定情報技術者」(CITP)制度の運用を2014年度に開始して以来,すでに約7000名のCITPが認定され,多くの企業で活躍している.デジタル・トランスフォーメーションが叫ばれている中,本セッションでは,時代のニーズに即した価値の創造に向けて,企業の内外で活躍しているCITPについて紹介する.あわせて,ITスキル標準の動向や,技術士資格とCITPの連携についても紹介する.
司会:芝田 晃 (三菱電機株式会社 インフォメーションシステム業務部 主席技師)
【略歴】1978年東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程修了(工学修士),同年三菱電機(株)入社.2001年よりCMMIを用いたプロセス改善に従事.2005年CMMIリード・アプレイザ,CMMI入門コース・インストラクタ資格を取得,現職に至る.2001年より本会コンピュータ博物館実行小委員会委員.2008年より本会にて高度IT人材資格(現CITP)の制度設計を担当.個人認証審査委員会委員長を経て,2016年度より資格制度運営委員会委員長.2004年および2016年に学会活動貢献賞を受賞.
15:30-16:00 講演(1) ITスキル標準の動向
平山 利幸 (独立行政法人情報処理推進機構 IT人材育成本部 調査役)
【講演概要】クラウド,データアナリティクス,モバイル,ソーシャルといったいわゆる第3のプラットフォームや,IoT・AI活用の本格化を背景にIT投資の在り方が変化している.それに伴い,IT人材が活躍する領域も,新しいビジネスなどの価値創造からサイバーセキュリティでの信頼性確保まで,既存の垣根を越えた経済・社会活動の発展に重要な役割を担う立場へと広がっている.政府においても,ソサエティ5.0や第4次産業革命の実現に向けた人材やスキルの育成について検討がなされている.本講演では,こうした政府の検討に対応し,独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で策定を進めている「ITSS+」の方向性について紹介する.
【略歴】経済産業省にてIT人材育成政策の立案に従事.2002年に公表したITスキル標準(ITSS)は構想段階から担当.産学協働実践的IT教育訓練支援事業の企画,情報処理技術者試験のアジア展開などを推進.2016年に(独)情報処理推進機構(IPA)に出向,現職に至る.
 
16:00-16:30 講演(2) CITP資格制度の現状
芝田 晃 (三菱電機株式会社 インフォメーションシステム業務部 主席技師)
【講演概要】本学会は2013年に認定情報技術者(CITP)制度の新設を発表し,翌2014年には個人認証,2015年には企業認定の本運用を開始した.既に約7,500名のCITPが誕生している.企業認定では,8つの企業または企業グループの社内資格制度が認定を受けている.CITPのコミュニティにおいては,有志による分科会活動が活発に行われている.医療,土木,建築等の分野では,専門の資格を有する者が業務に従事しているが,情報の分野においてもその責任性に鑑みて,有資格者による業務遂行が望まれる.2016年に新設された「情報処理安全確保支援士」に加え,2017年には「ITSS+」が発表される等,情報技術者のスキルや資格に対する関心が高まっており,CITPの活躍が期待される.本講演では,CITP制度の概要を紹介するとともに,これまでの実績,今後の方向について述べる.
【略歴】1978年東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程修了(工学修士),同年三菱電機(株)入社.2001年よりCMMIを用いたプロセス改善に従事.2005年CMMIリード・アプレイザ,CMMI入門コース・インストラクタ資格を取得,現職に至る.2001年より本会コンピュータ博物館実行小委員会委員.2008年より本会にて高度IT人材資格(現CITP)の制度設計を担当.個人認証審査委員会委員長を経て,2016年度より資格制度運営委員会委員長.2004年および2016年に学会活動貢献賞を受賞.
 
16:30-17:00 講演(3) CITPフォーラムの活動
平林 元明 (情報処理学会CITPフォーラム 代表)
【講演概要】超スマート社会を実現するという国家的取組が始まっている.超スマート社会を実現するためには,それを担う実践的IT人材が必要となる.情報処理学会の認定情報技術者(CITP)制度によって認証された実践的IT人材とはどのような人材なのか.本講演では,社会に求められるその人材像を俯瞰するとともに,CITPのコミュニティであるCITPフォーラムの活動内容を紹介する.CITPフォーラムでは,5つの専門部会(SIG)と3つの委員会を設置し,社会貢献活動,人材育成活動,社会提言などを行っている.これらの活動を実践し,運営してきた経緯や課題対応についても述べる.
【略歴】(株)日立製作所でOSや運用管理ミドルウェアを開発.内閣府情報化参与CIO補佐官として政府情報システムの最適化を推進.CIO補佐官連絡会議情報技術WGリーダ,経済産業省文字情報基盤推進委員会,IPA TRM検討WG主査,文字情報基盤運用検討WG委員長等の政府関連委員会に参画,静岡大学情報学部客員教授,JEITA ITサービス調達政策専門委員会委員長を経て,情報処理学会CITPフォーラム代表.
 
17:00-17:30 講演(4) CITPの活躍事例−デザイン思考を流用した地域復興アイデアソン
土屋 俊樹 (株式会社ハイマックス 第2事業本部第3部 シニアコンサルタント)
【講演概要】CITPコミュニティ/社会価値創造分科会の活動として被災地・石巻にて地域の大学の大学生とともにシビックテック(オープンデータを用いた地域課題解決アプリのアイデアソン)を実施した.社会価値創造分科会では,昨年度より被災地支援・地域振興,IT人材育成を目的に,CITPとしてのプロフェッショナル貢献を議論してきた.デザイン思考の手法を取り入れ,まずは有志にて石巻現地視察を行った.そこで得た気づきをもとに現地にてCITPと大学生による地域課題解決・IT人材育成のためのシンポジウムを開催することにした.様々なステークホルダを巻き込みながら,全国からCITP10数名が現地に集合し,学生たちに交じりながらディスカッションを盛り上げ,盛況のうちに終えることができた.今回の取組みにより今後のCITPコミュニティ活動拡大の足掛かりを掴むことができた.その経過をレポートする.
【略歴】(株)ハイマックス(本社みなとみらい)にて,主に産業・流通業のシステム企画・開発のプロジェクトマネジャーとして従事.また,EU情シス部門向けのIT研修の講座企画から講師までを担当.情報処理技術者(ST,PM,AE,SM,DB,SC).
 
17:30-18:00 講演(5) 技術士資格とCITPの連携
児玉 公信 (株式会社情報システム総研 代表取締役社長)
【講演概要】技術士は60年の歴史を持つエンジニアの国家資格である.この間,技術士制度は何度かの改訂を重ねてきたが,現在,また大きな改訂を検討している.本講演では,技術士とはどのような資格なのか,どのような価値があるのか,大学のアクレディテーションとどう関係するのか,そしてどのような課題を抱えているのかについて概説し,現在予定されている技術士制度の改訂について触れる.この改訂は,専門分野をカリキュラム標準であるJ17に対応づけること,情報処理技術者試験高度合格者に対し一次試験を免除することが中心である.また技術士と本会との関係,とくにCITPとの資格および活動の連携について述べ,プロフェッショナルである技術士とCITPがともに目指すべき技術者像を提示したい.
【略歴】石油元売り,大学受託研究員,鉄鋼系情報子会社を経て,現在(株)情報システム総研代表取締役社長.企業の基幹情報システム開発のためのプラットフォーム製品の販売,基幹情報システムの再構築のためのモデリングおよびアーキテクティングを提供.技術士(情報工学部門),博士(情報学).情報システムと社会環境研究会主査,技術士委員会委員長,文部科学省科学技術・学術審議会専門委員.著書に「UMLモデリング入門」「UMLモデリングの本質」ほか,訳書に「アナリシスパターン」「リファクタリング」ほか.