情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス
〜コンピュータパイオニアが語る〜「私の詩と真実」
日時:3月13日(火)13:20-15:30
会場:第3イベント会場(63号館 02-02)
【セッション概要】情報処理学会歴史特別委員会ではオーラルヒストリのインタビューを進めているが,大先輩のお話は毎回大変示唆に富み印象的なので,これを広く会員の方々,特に若い世代の会員に直接お聞かせ出来ないものかと検討してきた.そして海外の事例なども参考にし,コンピュータパイオニアあるいは情報処理学会会長経験者,またはそれらに相当する経歴の大先輩をお招きして,若い頃の研究生活の思い出や今の若い世代に伝えたい経験談などをお話頂くシンポジウムを企画した.なお本シンポジウムは第70回大会から開催しており今回が第11回目となる.
司会:浦城 恒雄 (東京工科大学 名誉教授)
【略歴】1959年東京大学理学部物理学科卒業.1991年日立製作所研究開発推進本部長.1995年同所技師長.1999年東京工科大学教授.2007年同大名誉教授.
13:30-14:30 講演(1) Algolの影
筧 捷彦 (NPO 情報オリンピック日本委員会 理事長)
【講演概要】Algol 60のrevised reportが出た翌年に計算機もプログラミングも知らずに大学に入り,卒論でFortran処理系を作るのに“An Algol 60 compiler”と日本工業規格Fortran 3000/5000/7000の初校を渡された.Algol 68に対抗すべく日本から提案したAlgol Nの改訂グループに入れてもらったのは大学院に進んでからのことであった.気がつけば,日本工業規格のAlgol 3000/5000/7000の言語・入出力の改訂作業に始まって,Pascal・Ada・C・C++の日本工業規格策定に相続いて当たっていた.本会規格調査会のSC 22委員長,経済産業省日本工業標準調査会標準部会情報技術専門委員,日本規格協会規格調整分科会主査も務めた中で,多くの情報技術の日本工業規格制定に立ち会うことになった.その極みにRubyの日本工業規格制定,そして国際規格化にも参画できたのは幸いであった.
【略歴】1970年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了,1970年東京大学工学部助手,1974年立教大学理学部講師・助教授,1986年早稲田大学理工学部教授,2016年早稲田大学名誉教授.プログラミング言語の定義・処理系・規格化および情報教育に従事.1995経済産業大臣表彰,2001本会標準化功績賞,2006日本ソフトウェア科学会功績賞,2008藍綬褒章.本会・日本ソフトウェア科学会名誉会員.数学教育学会・ACM各会員.NPO情報オリンピック日本委員会理事長,情報科学国際交流財団理事長.
 
14:30-15:30 講演(2) IT産業の変遷と人材育成
鶴保 征城 (学校法人・専門学校 HAL東京 校長)
【講演概要】この半世紀の間,半導体の驚異的な進歩を背景に,機器は大型コンピュータからパソコンや携帯機器へ,ネットワークは固定電話網からモバイルやインターネットに大きく様変わりした.これに伴いIT産業は,ハードからソフトへ,さらにアプリケーションやインターネット関連に拡大している.ビジネス面では,MicrosoftやGoogle,Amazonのような巨大企業を輩出した.残念ながら日本は,ビジネス,人材の両面でこのような大きな流れに乗っているとは言い難い.本講演では,まずIT産業の変遷を概観し,インターネット関連ビジネスの急成長について考察する.ついでこのような変遷が社会や文化に与える影響や人材教育問等を議論する.最後に次の世代への期待を述べる.
【略歴】元NTT研究所所長,NTTソフトウェア社長.1966年電々公社入社,電子交換機DEX,オンラインリアルタイム処理用コンピュータDIPS,ソフトウェア開発プラットフォーム等の開発に従事.2003年から高知工科大学教授,(独)情報処理推進機構ソフトウェアエンジニアリング・センター所長,2009年学校法人HAL東京校長.2001年情報処理学会会長.情報処理学会フェロー,名誉会員,電子情報通信学会フェロー.