情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス
子ども達に,いま必要なマナビ:プログラミング的思考や読解力の必要性と教育のあり方は?
〜データなどの確かな根拠に裏付けされた実態と展望〜
日時:3月13日(火)9:30-12:00
会場:第1イベント会場(57号館 201)
【セッション概要】明日の超スマート社会を担う子ども達に必要な学びや教育を,データや実績に裏付けされた形で様々な立場から展望します.具体的には,確かな根拠に立脚して子ども達の学びや理解の現状を捉えたうえで,特に読解力やプログラミング(的思考)に着目し,必要な学びを徹底討論します.
司会:鷲崎 弘宜 (早稲田大学 教授/国立情報学研究所 客員教授/システム情報 取締役)
【略歴】早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所 所長・教授,国立情報学研究所 客員教授,(株)システム情報 取締役.IEEE CS Membership at Large for Professional and Educational Activities Board, IEEE CS Japan Chapter Vice-Chair, SEMAT Japan Chapter Chair, IPSJ International AI Programming Contest: SamurAI Coding Director, ISO/IEC/JTC1 SC7/WG20 Convenor, I. J. Agile and Extreme Software Development Editor-in-Chief. プログラミング学習環境の調査とルーブリック策定を進めるプロジェクト G7プログラミングラーニングサミット 実行委員会会長.
9:30-9:35 趣旨説明
9:35-10:30 基調講演 初等教育におけるプログラミング「的」教育の必要性と,プログラミング教育の不必要性
新井 紀子 (国立情報学研究所 社会共有知研究センター長・教授)
【講演概要】2017年3月に,新学習指導要領が公示され,新しい目標のひとつとして,初等教育段階から「プログラミング的思考」を育成することが掲げられました.本指導要領は,AIやロボットが日常生活および労働環境に一般的に普及する近未来を前提として,それらの動きの仕組みを数理的に理解した上で,単に仕事を奪われることなく,AIやロボットと差別化しうる能力を高め,それらと協働することで労働生産性が高く,格差の少ない,幸福度の高い社会の担い手を育成することを目指しています.本講演では,2011年から国立情報学研究所が中心となって進めてきた「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトを通じて,深層学習を含む統計的手法の可能性と限界を踏まえつつ,AIやロボットと差別化しうる人間に求められる,しかも公教育で育成可能な能力とは何かを議論します.その上で,中高校生2万5千人以上を対象として行った「リーディングスキルテスト」(基礎的読解力テスト)の結果から,どのような読解力段階において,どのような「プログラミング的教育」が可能かつ有効かを,具体的に検討したいと考えています.
【略歴】東京都出身.一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業,イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD).東京工業大学より博士(理学)を取得.専門は数理論理学.数学以外の主な仕事として,教育機関向けのコンテンツマネージメントシステムNetCommonsや,研究者情報システムresearchmapの研究開発がある.2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める.2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導.主著に「ハッピーになれる算数」「生き抜くための数学入門」(イーストプレス),「数学は言葉」(東京図書),「コンピュータが仕事を奪う」(日本経済新聞出版社),「ほんとうにいいの?デジタル教科書」(岩波書店),「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(東洋経済新報社)など.一般社団法人 教育のための科学研究所 代表理事・所長.
 
10:30-12:00 パネル討論 小学校からのプログラミング教育は本当に必要なのか?どうあるべきか?
【討論概要】2020年からの小学校におけるプログラミング的思考の教育導入が決まり,幼少期からのプログラミング学習&教育が一大ブームを巻き起こしています.一方で,自治体全体での取り組み例はまだまだ限られています.このような中,すべての子どもへの一律の教育は本当に必要でしょうか? どのような形が望ましいのでしょうか? それぞれデータや実績に裏付けされた以下のポジショントークにより実態を多面的に捉えたうえで,展望を徹底討論します.
「1: すべての学校でのプログラミング教育をどう実現するのか: 佐和伸明(柏市教育委員会学校 教育部学校教育課 副参事)」
「2: 必修化された小学校でのプログラミング教育の,現状の課題とそれに対する取り組み: 後藤義雄(日本STEM教育学会 プログラミング教育研究会代表)」
「3: G7プログラミングラーニングサミットにおける学習ツール調査とルーブリック: 鷲崎弘宜,齋藤大輔(早稲田大学)」
モデレータ:鷲崎 弘宜 (早稲田大学 教授/国立情報学研究所 客員教授/システム情報 取締役)
【略歴】早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所 所長・教授,国立情報学研究所 客員教授,(株)システム情報 取締役.IEEE CS Membership at Large for Professional and Educational Activities Board, IEEE CS Japan Chapter Vice-Chair, SEMAT Japan Chapter Chair, IPSJ International AI Programming Contest: SamurAI Coding Director, ISO/IEC/JTC1 SC7/WG20 Convenor, I. J. Agile and Extreme Software Development Editor-in-Chief. プログラミング学習環境の調査とルーブリック策定を進めるプロジェクト G7プログラミングラーニングサミット 実行委員会会長.
パネリスト:新井 紀子 (国立情報学研究所 社会共有知研究センター長・教授)
【略歴】東京都出身.一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業,イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD).東京工業大学より博士(理学)を取得.専門は数理論理学.数学以外の主な仕事として,教育機関向けのコンテンツマネージメントシステムNetCommonsや,研究者情報システムresearchmapの研究開発がある.2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める.2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導.主著に「ハッピーになれる算数」「生き抜くための数学入門」(イーストプレス),「数学は言葉」(東京図書),「コンピュータが仕事を奪う」(日本経済新聞出版社),「ほんとうにいいの?デジタル教科書」(岩波書店),「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(東洋経済新報社)など.一般社団法人 教育のための科学研究所 代表理事・所長.
パネリスト:佐和 伸明 (柏市教育委員会 学校教育部学校教育課 副参事)
【略歴】柏市・松戸市小学校教諭,柏市立教育研究所指導主事,柏市立柏第二小学校教頭を経て現職.1990年代からICT教育に関わる.「タブレット端末を活用した21世紀型コミュニケーション力の育成」(日本教育情報化振興会)など共著本多数.現在は,プログラミング教育の推進等,子供たちがこれからの時代をたくましく生き抜くことための教育企画を担当.
パネリスト:後藤 義雄 (日本STEM教育学会 プログラミング教育研究会 代表)
【略歴】2002年東京大学大学院理学系研究科修了.コンサル会社を経て2007年にベネッセコーポレーションに入社.幼児〜高校生向けのオンライン学習サービスの開発をリードし,2011年に米シリコンバレーに会社を立ち上げ赴任.教育系スタートアップとSTEMやプログラミング教育のサービスを開発.日本では2015年より子ども向けプログラミング教育を展開.2017年に日本STEM教育学会を立上げ,プログラミング教育研究会SIGを開始.2007年IPA未踏ソフトウェア創造事業採択プログラマ.2男2女,4児の父.
パネリスト:齋藤 大輔 (早稲田大学 教育学部・基幹理工学部)
【略歴】2015年東海大学情報通信学研究科修士課程修了.修士(情報通信学).同年より早稲田大学基幹理工学研究科博士後期課程に在学中.同大学教育学部助手.ソフトウェア工学,プログラミング学習に関する研究に従事.