情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 情報処理学会 第80回全国大会 会期:2018年3月13日~15日 会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス
アジャイル開発の事例に則した契約の一例提案
日時:3月13日(火)13:20-15:50
会場:第4イベント会場(56号館 101)
【セッション概要】2015年9月に発足した情報処理に関する法的問題(LIP)研究グループでは,アジャイル型のソフトウェア開発委託時の契約モデルを作ることを目標に活動を重ねてきた.これまでのソフトウェア開発委託契約のモデルはウォーターフォール開発を想定したものであり,アジャイル型の多くの開発委託契約はそれらを踏襲していること,調査の結果,アジャイル開発の現状は,比較的小規模でお互いの信頼関係の上で成り立っていることもわかってきた.これらの現状を踏まえ,本イベントでは,企業で実務に携わっている人,学術的な立場からのアジャイル開発に関する講演に引き続き,弁護士からは,アジャイル開発を実施していく上で最低限,ITシステム開発ベンダとITシステムの発注者が守らなければならない事項を盛り込んだ契約例を提示する.パネルディスカッションでは講演をうけて会場からの質問を盛り込んだ討論を行う.
司会:高岡 詠子 (上智大学 理工学部 教授)
【略歴】慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).専門分野はデータベース,多言語情報システム,スマフォ/タブレットアプリ,医療情報,情報教育.現在,本会教育担当理事,本会から山下記念研究賞,学会活動貢献賞受賞,主な著書:チューリングの計算理論入門,シャノンの情報理論入門(講談社ブルーバックス),「計算事始め('13)」および「情報科学の基礎('07)」.
13:20-13:40 講演(1) アジャイルソフトウェア開発の本質と日本での課題
居駒 幹夫 (はこだて未来大学 客員教授)
【講演概要】ダイナミックに変化を続けるビジネス環境に俊敏に対応するため,世界的にアジャイルソフトウェア開発方法が実質的に標準開発方法になりつつあります.一方,国内ではユーザ企業からITベンダに対してソフトウェア開発を数ヶ月という長い期間で開発委託するケースが多く,アジャイル開発が普及しないだけでなく,その開発方法に対して「計画的で無い」「設計品質が保てない」といった誤解が蔓延している状況です.本講演では,アジャイル開発の本来の意味,講演者の経験による国内,国外(欧米印)の実態,国内ビジネススキームでアジャイル開発契約を考える際のポイントについて概説します.
【略歴】1980年北海道大学工学部電子工学科卒.同年(株)日立製作所入社.大規模ソフトウェアの品質保証,ソフトウェア生産技術,アジャイル開発を含む各種のソフトウェア開発プロセスモデル策定,普及,教育に従事.2017年はこだて未来大学客員教授.博士(情報学).
 
13:40-14:00 講演(2) アジャイル開発の落とし穴
木下 史彦 (永和システムマネジメント アジャイル事業部 事業部長)
【講演概要】「アジャイル開発を導入すればすべてうまくいく!!」
本当でしょうか?
ここ数年でアジャイル開発への注目度は急激に高くなり,多くの企業で導入・実践されるようになりました.しかし,さまざまな制約や誤解によって,すべてがうまくいっているとは言えない状況です.
アジャイル開発に取り組む企業が陥りがちな落とし穴を紹介し,どうすればうまくいくのか,そして,契約にはどういったことを盛り込んでおくべきなのか,考えていきたいと思います.
【略歴】1998年同志社大学工学部卒.2005年頃からエクストリーム・プログラミングを開発現場で実践.2010年には「価値創造契約」を提唱し,ソフトウェア受託開発の新しい形を示した.現在は「アジャイル開発を通じてハッピーな開発現場を増やす」ことをモットーにコンサルティング・コーチング活動に従事.監訳書に『アジャイルプラクティス』(オーム社),『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』(オライリー)がある.
 
14:00-14:40 講演(3) アジャイル開発の事例に則した契約の一例提案
平岡 敦 (たつき総合法律事務所)
【講演概要】ウォーターフォール開発よりも,ユーザとベンダ間の関係性がより濃密となるアジャイル開発において,どのようにユーザ及びベンダの義務を規定すれば,アジャイル開発を成功に導くことができるのかについて,契約の一例を示しつつ考察する.
【略歴】1990年,早稲田大学第一文学部人文専修卒業.1990年,(株)シーエーシー入社.2000年,司法試験合格.2002年,ひかり総合法律事務所入所.2007年,たつき総合法律事務所開設.システムエンジニアの経験を活かし,IT関連紛争の解決,ライセンス契約等の各種契約書の作成・チェック等の予防法務を多く手がけている.IT企業の顧問多数受任.
 
14:50-15:50 パネル討論 「ソフトウェア開発委託契約で今何が問題か?」  〜アジャイル型開発の事例に則した契約モデルの提言に向けて〜
【討論概要】講演で,企業で開発に携わっている実務家から「アジャイルソフトウェア開発の本質と日本での課題」の説明を受け,さらに,アジャイルソフトウェア開発の実例に続き,弁護士からのアジャイル開発を実施していく上で最低限,ITシステム開発ベンダとITシステムの発注者が守らなければならない事項を盛り込んだ契約例の提案をする.これを受けて,会場からのコメントを交え,望ましい契約の内容について議論する.
パネル司会:高岡 詠子 (上智大学 理工学部 教授)
【略歴】慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).専門分野はデータベース,多言語情報システム,スマフォ/タブレットアプリ,医療情報,情報教育.現在,本会教育担当理事,本会から山下記念研究賞,学会活動貢献賞受賞,主な著書:チューリングの計算理論入門,シャノンの情報理論入門(講談社ブルーバックス),「計算事始め('13)」および「情報科学の基礎('07)」.
パネリスト:市毛 由美子 (のぞみ総合法律事務所 パートナー)
【略歴】中央大学法学部法律学科卒業.1989年 4月 弁護士登録((第41期)).1989年 4月 日本アイ・ビー・エム(株)法務部.1994年 4月 都内法律事務所にて弁護士活動.2007年12月 のぞみ総合法律事務所 パートナー弁護士.主な取扱分野.コンピュータ関連(ソフトウェアを含む)の取引法,知的財産権,独占禁止法,コンプライアンス統制環境整備,株主総会,資本政策その他会社法関連法務,研究開発法務,ベンチャー企業における法務戦略支援,その他各種契約(IT関連,ライセンス契約,代理店契約,研究開発契約等).
パネリスト:平岡 敦 (たつき総合法律事務所)
【略歴】1990年,早稲田大学第一文学部人文専修卒業.1990年,(株)シーエーシー入社.2000年,司法試験合格.2002年,ひかり総合法律事務所入所.2007年,たつき総合法律事務所開設.システムエンジニアの経験を活かし,IT関連紛争の解決,ライセンス契約等の各種契約書の作成・チェック等の予防法務を多く手がけている.IT企業の顧問多数受任.
パネリスト:木下 史彦 (永和システムマネジメント アジャイル事業部 事業部長)
【略歴】1998年同志社大学工学部卒.2005年頃からエクストリーム・プログラミングを開発現場で実践.2010年には「価値創造契約」を提唱し,ソフトウェア受託開発の新しい形を示した.現在は「アジャイル開発を通じてハッピーな開発現場を増やす」ことをモットーにコンサルティング・コーチング活動に従事.監訳書に『アジャイルプラクティス』(オーム社),『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』(オライリー)がある.
パネリスト:居駒 幹夫 (はこだて未来大学 客員教授)
【略歴】1980年北海道大学工学部電子工学科卒.同年(株)日立製作所入社.大規模ソフトウェアの品質保証,ソフトウェア生産技術,アジャイル開発を含む各種のソフトウェア開発プロセスモデル策定,普及,教育に従事.2017年はこだて未来大学客員教授.博士(情報学).
パネリスト:中野 安美 (ニッセイ情報テクノロジー株式会社 上席スペシャリスト)
【略歴】ニッセイ情報テクノロジー(株)上席スペシャリスト.生命保険分野を中心に多数のシステム開発にプロジェクトマネージャとして従事.2015年よりアジャイル開発を始める.現在は社内展開・推進に向け,アジャイル関連の教育やプロジェクト支援を実施.AgileJapan2018実行委員.
パネリスト:稲垣 陽一 (株式会社きざしカンパニー 代表取締役専務)
【略歴】1990年東京大学文学部言語学科卒業,(株)シーエーシー入社,技術研究室に配属.スタンフォード大学コンピュータサイエンス学科客員研究員(1996〜98),きざしサーチエンジンの研究開発を経て,2007年1月より(株)きざしカンパニー代表取締役専務CTOをつとめる.