3U-05
シミュレーションによるCACCの渋滞改善効果の調査
○今枝勇太,渡邊 晃,旭 健作(名城大)
ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の分野では自動車交通の効率化を主な目的として,1990年代から精力的にさまざまな研究開発が行われてきた.中でも渋滞を改善するための取り組みとして,すでにETCの普及による料金所部での渋滞の改善が図られた.しかし,下り坂から上り坂に変わる道路上の地形の一つである「サグ部」での無意識な減速が原因で後続車両に遅れが伝わり発生する渋滞は改善されておらず自動車交通の効率化における大きな課題となっている.
この「サグ部」で発生する渋滞の対策として車間距離,相対速度から自車の加速度を自動制御する車間距離制御装置(Adaptive Cruise Control:ACC)や,近年開発が進められている前方車両の加速度情報を通信装置で伝達し,相対速度を組み込んだ通信利用協調型車間距離制御装置(Cooperative Adaptive Cruise Control:CACC)がある.これらの技術を使うことで前方車両の減速による遅れの伝播を無くし,渋滞を改善することができる. 
既存の研究では,CACCの車両数が4台のみの場合や,車群を形成している車両すべてがCACCを搭載されているという前提があった.本研究ではより現実の道路交通に近づけるため,車群を10台以上で形成し,徐々に普及するであろうCACC搭載車が非搭載車と混在する環境を想定する.そして,先頭車両がある速度から減速し別の速度へ変化した場合,車群の中のCACC搭載車両の比率を変化させてシミュレーションを行い,CACCの普及率による渋滞改善効果と,CACCとACCの事故回避能力の差をシミュレーションにより検証した.

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