プログラム
開催概要
本セミナー4回目となる本年は、JPEGのDCT(離散コサイン変換)採用30年、MPEG発足30年のアニバーサリーイヤーであると同時に、2月には平昌五輪の8K国際放送が行われ、12月には4K/8K TV実用放送が始まるなど画像の広帯域化・高画質化が一層身近となる年でもある。現在はインターネットにおいても画像・音声のモバイル視聴や取得・共有が加速度的に広まっている一方、多チャネル音声や360°画像などの様々な新しいメディア情報も台頭している。このように音声・画像・マルチメディア情報は、その多様性と流通量、重要性が爆発的に拡大中であり、その効率的な圧縮符号化技術の必要性がますます高まっている。
JPEG・MPEGをワーキンググループに擁するISO/IEC JTC 1のSubcommitteeであるSC 29は、音声・画像・マルチメディア情報符号化をスコープとし、過去に静止画符号化規格JPEG・JPEG2000、動画符号化規格MPEG-2・MPEG-4 AVC・HEVC、メディア伝送規格MMT、ストリーミング規格MPEG-DASH、音声符号化規格MP3・AAC・ALS、高ビット深度・3D・スケーラブル拡張や画像探索規格などを標準化し、産業界に多大な貢献を成し遂げた。またSC 29はITU-Tと合同でさらなる高圧縮を追究する次世代動画符号化規格VVCの標準化を本年4月から本格始動したばかりであり、音場やライトフィールド、360°画像、高ダイナミックレンジ画像、ポイントクラウド、ホログラフィ、ゲノム情報の符号化に関する時宜を得た標準化作業も進めている。日本はSC 29の国際幹事国としてこれらの活動全体にわたる貢献をしているところである。
今回のセミナーでは、実際に標準化に携わっている研究者から、年3-4回行われている標準化国際会合、特に10月JVET/MPEGマカオ会合、JPEGバンクーバー会合の最新情報を反映した技術解説をいただく。加えて、画像符号化の標準化と連動する知的財産権についての動向を特許庁より紹介いただく。様々な層の参加者にSC 29規格技術群を深く横断的にご理解いただける大変貴重な機会であり、講演のほかに、聴講者と講師陣との交流(定員あり)の場も設け気軽に質問や意見交換が可能な場として活用いただきたい。
3次元音響は、空間上のあらゆる方向からの音の再生を可能にすることで、これまでにない臨場感を実現している。またスピーカの位置や数に依存しないオブジェクトベース音響は、3次元音響と組み合わせて映画やゲームの分野で使用されており、近年では、放送分野においても使用されつつある。本セミナーでは、3次元音響およびオブジェクトベース音響の制作事例とMPEG-H 3D Audioのリアルタイム符号化装置の開発事例、またオブジェクトベース音響の符号化方法について解説する。
【略歴】1991年、東京都立大学電気工学専攻修士課程修了。同年新日本製鉄(株)入社。以来、音声音響符号化技術に関する研究開発に従事。2003年、ソニー入社。近年は3次元音響符号化システムの研究開発とMPEG-H 3D Audio標準化活動に従事。ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11/AUDIO小委員会 幹事(2012年11月~)。ARIB音声符号化方式作業班 委員(2007年7月~)。2014年、第62回電気科学技術奨励賞及び電気科学技術奨励会会長賞、2016年、第24回日本音響学会技術開発賞、2016年、経済産業省国際標準化貢献者表彰、2018年、情報規格調査会標準化貢献賞、各受賞。
【略歴】2001年、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。同年日本放送協会入局。2004年より同協会放送技術研究所にて、放送システムにおける音声符号化方式、3次元音響方式における信号処理、音響トランスデューサの研究開発およびMPEG・ARIBでの標準化活動に従事。
ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11/AUDIO小委員会 幹事(2016年9月~)。ARIB音声符号化方式作業班 委員(2015年6月~)。2008年、第16回日本音響学会技術開発賞、2009年、第35回放送文化基金賞、2013年、第45回市村学術賞貢献賞、第21回日本音響学会技術開発賞、2015年、映像情報メディア未来賞フロンティア賞、2016年、第24回日本音響学会技術開発賞、2016年、第28回関東地方発明表彰奨励賞、各受賞。博士(工学)。
MPEG作業グループは映像・オーディオの符号化国際規格を作ったことで知られている。しかしMPEG-2 SystemsやISOBMFF、MMT、DASHなどのシステム規格など、映像・オーディオ以外も扱う汎用マルチメディア国際規格も作成している。
Genomic Information Representation(遺伝子情報表現)の国際標準化は野心的な試みであるが、これまでのノウハウが活かされ、現在第1版がほぼ完成し第2版への準備が始まっている。この例を解説し、MPEG作業グループのこうした新規分野への取り組み方についても言及する。
【略歴】1980年、早稲田大学卒。2004年博士(情報科学)。1985~(株)アスキーにてパソコンOS、システムLSI、アプリケーションソフトウエアの開発に従事。その後マルチメディア符号化の研究開発とMPEG標準策定等に従事。現在、ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11/SYSTEMS 小委員会主査。国際標準化貢献者表彰受賞、2004年より東京工芸大学准教授。
MPEG-7は、画像・映像コンテンツを検索するためのメタデータ体系を規定する規格であり、その中で様々な検索用途に合わせて画像・映像のビジュアル特徴量の標準化を行っている。本講演では、MPEG-7で近年進めてきた標準化プロジェクトとして、画像に映る実世界物体を検索するためのMPEG-7 CDVS規格(2015年発行)と大規模映像データベースから物体・シーンを検索するための記述子MPEG-7 CDVA(標準化審議中)について、その動向および採用されているビジュアル特徴量技術について解説する。
【略歴】2003年、早稲田大学大学院理工学研究科電子・情報通信学専攻修士課程修了。同年、日本電気株式会社(NEC)入社。現在、NECデータサイエンス研究所主任研究員。画像・映像認識、画像・映像検索技術の研究開発および事業化、また、ISO/IEC 15938(MPEG-7)のVideo SignatureとCDVS標準化のプロジェクトエディタとして国際標準化活動に従事。2012年、情報処理学会情報規格調査会より標準化貢献賞を受賞。ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11/SYSTEMS/MPEG-7 SG委員。
【略歴】2015年、徳島大学大学院システム創生工学専攻博士前期課程修了。同年、三菱 電機(株)入社。以来、映像を対象とした機械学習、信号処理技術の研究開発に従事。2017年よりISO/IEC 15938(MPEG-7)の標準化活動に参画し、2018年からはCDVAのプロジェクトエディタとして活動に従事。
360度パノラマ画像や映像を簡単に撮影できる全天球カメラの普及と、大手SNSプラットフォームによる360度画像への対応により、360度コンテンツのニーズが高まりつつある。国際標準化団体のISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 1では、現在、この360度コンテンツの国際規格としてJPEG 360とそのベースとなるJUMBF(JPEG Universal Metadata Box Format)の審議が行われている。本公演では、このJPEG 360とJUMBFについての標準化動向と技術内容を解説する。また、他のJPEGの最新のプロジェクト動向も紹介する。
【略歴】1990年、大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。2010年、大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了。1990年,(株)リコー入社。以降、画像処理、符号化、画像通信、画像暗号化などの研究開発に従事。1998年よりJPEG 2000の規格開発に関わり、JPEG XR、JPEG Systems、JPEG 360などの規格化作業に参加。2012年、情報処理学会情報規格調査会標準化貢献賞、2017年、経済産業省産業技術環境局長表彰、各受賞。博士(情報科学)。
全天球VR動画から次世代自由視点動画までをスコープとする最新技術規格である、MPEG-Iの標準化動向について紹介する。特に、3D動画データの圧縮方式である Point Cloud Coding (PCC)を中心に解説する。Point Cloudは、3次元空間における物体のデータ表現として一般的になりつつあるが、データ量が大きく、伝送や保存が難しいという課題がある。MPEGでは、2017年10月に提案募集(CfP)を行った後、2019年末の標準化完了を目指し、技術改善を続けている。本セッションでは、PCCの最新技術動向について解説する。
【略歴】2004年、早稲田大学大学院国際情報通信研究科修士課程修了。同年、ソニー(株)入社。以来、映像信号処理・圧縮の研究開発に従事。
2012年よりHEVC標準化活動、2017年よりMPEG PCC標準化活動に参画。現在、SC 29/WG 1小委員会委員、SC 29/WG 11/VIDEO 小委員会エキスパート。
ITU-T SG16(VCEG)及びISO/IEC SC 29/WG 11(MPEG)は、2018年4月会合において、新しい映像符号化規格Versatile Video Coding(VVC)の標準化を開始した。VVCは、2020年10月の規格策定を目指すが、新規パーティション構造、アフィン予測、適応ループフィルタ等が早くも規格ドラフトに採用され、現時点でも既にHEVC(High Efficiency Video Coding)を大きく上回る符号化効率を実現しつつある。本講演ではVVCの主要候補技術と映像符号化の最新トピックについて説明する。
【略歴】1999年4月、シャープ株式会社入社。以後、同社において、動画モバイル端末や液晶テレビAQUOSの動画録再機能開発に従事、2011年よりHEVC(High Efficiency Video Coding)の標準化活動に参加。ループフィルタ、動き予測、変換係数符号化への技術提案、コア実験参加などで貢献。
HEVC version1以降は、スケーラブル符号化(SHVC、MV-HEVC/3D-HEVC)などの拡張規格に参加、HEVC Conformance version2の規格勧告草案エディタとして活動。最近のJVET(Joint Video Experts Team)では、メモリバンド評価や並列処理などの活動を主導。
特許庁では、平成28年度特許出願技術動向調査において「次世代動画像符号化技術」を調査テーマとして取り上げ、統計調査を実施した。本調査では、次世代動画像符号化技術に関連する国内外の特許出願約16,000件、標準関連文書約5,000件、論文約2,000件を読み込み、その内容について、要素技術、技術課題等の観点により作成した技術区分に峻別し、統計的な分析を行った。本調査で得られた統計結果を報告する。
【略歴】2013年、東京大学工学部卒業。2015年、同大大学院情情報理工学系研究科修士課程了。同年、特許庁入庁。以来、動画像符号化・配信技術に関する発明の審査に関する事務に従事。2017年より、技術動向調査「次世代動画像符号化」に関する業務を担当。2018年、審査官に昇任。
正会員 | 35,000円(税込) |
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一般非会員 | 45,000円(税込) |
学生(会員・非会員) | 10,000円(税込) |
【注意事項】
情報処理学会 短期集中セミナー会場:
機械振興会館[〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館6階66会議室]
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請求書と共に「送金連絡票」をE-mailでお送りいたします。「送金連絡票」に必要事項をご記入のうえseminar@itscj.ipsj.or.jpまでご返信ください。
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