イベント企画
モビリティのためのCV/PR技術
9月3日(木) 9:30-12:00
第1イベント会場
【セッション概要】 人口が減少する現代日本においては、人々の移動や運送の一部を担う、自動運転車や自律的に稼働するロボット、産業機器への要求が高まっています。また、昨今の新型コロナウイルス「COVID-19」の世界的大流行に伴い、人と人との接触を避けるためのロボット技術へのニーズも飛躍的に高まっています。このような、自動運転やロボットのモビリティを実現するためには、実世界を計測・認識する技術が必要不可欠です。例えば、カメラの画像に基づいた、自己位置計測(SLAM)や周囲の環境の三次元形状復元技術(SfM)、機械学習を用いた物体検出や人物画像解析技術は、今最も注目されている技術の一つです。本企画では、モビリティのためのCV/PR技術をテーマとして、2名の研究者の方にご講演をお願いしました。
司会:大石 岳史(東京大学 生産技術研究所 准教授)
【略歴】 2005年東京大学大学院学際情報学府博士課程修了、博士(学際情報学)。同大学院情報学環特任講師などを経て、2011年より現職。国立情報学研究所・客員准教授、京都先端科学大学・客員教授。アジア各国の大仏像やアンコール遺跡などの巨大構造物の3次元モデル化・解析、複合現実感技術による飛鳥京や平城京など失われた文化財の復元展示に関する研究に従事。
司会:冨岡 誠(キヤノン株式会社 デジタルビジネスプラットフォーム開発本部 )
【略歴】 2015年大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了、2015年4月より現職。複合現実感や移動体のためのカメラを用いた三次元計測、特にVisual SLAMの技術開発に従事。
10:00-11:00 講演(1) Visual SLAMと深層学習を用いた3Dモデリング
櫻田 健(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 主任研究員)
【概要】 Visual SLAMはロボティクスやAR/VRを目的に世界中で活発に研究が行われています。Structurefrom Motion (SfM)と比較して、Visual SLAMではリアルタイムにカメラ姿勢と3次元形状を推定するため、計算量を削減する様々な工夫が施されています。さらに、Inertial Measurement Unit (IMU)と組み合わせることでよりロバストな推定が可能となります。さらに、深層学習の発展に伴い、単眼画像から奥行きを推定し、その結果をVisual SLAMに応用する研究なども盛んに行われれています。これらについて、ECCV2020に採択されたプライバシー保護機能を有したVisual SLAMなども含めてご紹介します。
【略歴】 2015年東北大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員(DC2)、カーネギーメロン大学客員研究員、東京工業大学博士研究員、名古屋大学助教を経て、2018年4月より産業技術総合研究所に主任研究員として勤務。3D勉強会@関東を運営。コンピュータビジョン、特にカメラやレーザセンサを用いた空間モデリングに関する研究に従事。筆頭論文にCVPR、ICRAなど。ACCV2014 Best Application Paper Honorable Mention Award等を受賞。
11:00-12:00 講演(2) 深層学習を活用した自動運転とその判断根拠
山下 隆義(中部大学 工学部情報工学科 准教授)
【概要】 深層学習は画像や音声、自然言語などのメディア情報処理には欠かせない技術となり、自動運転やロボットなどへの応用が期待されている。深層学習を活用することで著しい進歩が各分野で見られる一方で、なぜそのように判断したのか、という判断根拠の理解に対する関心も高まっている。本講演では、我々が取り組んでいる自動運転やロボットにおける深層学習の活用事例について述べ、またどのような判断根拠に基づいて認識及び各種制御を行っているかを紹介する。加えて、我々が参画している東京臨海部における自動運転の走行実験に関する取り組みについても紹介する。
【略歴】 2002年奈良先端科学技術大学院大学博士前期課程修了、2002年オムロン株式会社入社、2011年中部大学大学院博士後期課程修了(社会人ドクター)、2014年中部大学講師、2017年中部大学准教授。日本ディープラーニング協会有識者会員。人の理解に向けた動画像処理をメインテーマとして。自動運転やロボットへの画像認識応用、判断根拠の可視化に関する研究にも従事。画像センシングシンポジウム高木賞(2009年)、電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ論文賞(2013年)、電子情報通信学会PRMU研究会研究奨励賞(2013年)、画像の認識・理解シンポジウム(MIRU) 長尾賞(2019年)、画像の認識・理解シンポジウム(MIRU) フロンティア賞(2019年)受賞。