FIT2016 第15回情報科学技術フォーラム 開催日:2016年9月7日(水)~9日(金) 会場:富山大学キャンパス
イベント企画
実世界でのビッグデータ分析・実データ利活用の実際
9月8日(木) 9:30-12:00
第2イベント会場(共通教育棟A棟2階A21)
【セッション概要】 情報技術の発展と普及によって実世界におけるあらゆる活動から膨大なデータが生み出され、それらがビッグデータとして収集、蓄積されるようになっている。このビッグデータの活用が注目されており、医療分野等のデータや地域資源のオープンデータの分析を活用したビジネスサービスや社会分析・地域振興活動など産学官民で様々な取り組みが進められている。本企画では、ビッグデータを扱う各研究プロジェクトや企業の取り組みにおいて実データを活用した実社会の問題解決や実証実験の事例をご紹介いただき将来の展望について議論する。大規模データ分散処理等の基礎技術研究をもとに、実データの利用や実世界のニーズに即した応用や実証実験などについて議論を行う。
司会:新谷 隆彦(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授)
【略歴】 1999年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。1998年日本学術振興会特別研究員、2000年(株)日立製作所中央研究所研究員、主任研究員を経て、2011年から電気通信大学大学院情報システム学研究科准教授。現在に至る。データマイニング、並列分散処理、ライフログマイニングの研究に従事。
9:30-10:00 講演(1) NAISTにおけるビッグデータ解析の取り組み
鈴木 優(奈良先端大学院大学 情報科学研究科 特任准教授)
【概要】 奈良先端科学技術大学院大学には三つの研究科(情報科学、バイオサイエンス、物質創成)があり、実験データなどの大量のデータが日々蓄積されている。また、奈良先端科学技術大学院大学が立地する「けいはんな地区」には様々な自治体、企業、及び研究所があり、様々なデータが蓄積されている。これらのデータを解析することによって、新たな知を構築する必要がある。奈良先端科学技術大学院大学では「多元ビッグデータ解析に基づく知の創出研究拠点事業」において、ビッグデータ研究体制の構築と共に、これらのデータ解析を行うことができる人材育成についての取り組みを行っている。本講演では、これらの取り組みとして、Twitterのポジネガ分類、スマートシティに向けた消費電力の可視化、蝶の食性の推定などの事例を紹介する。
【略歴】 2004年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年立命館大学情報理工学部講師。2009年京都大学大学院情報科学研究科特定研究員。2010年名古屋大学情報基盤センター研究員、特任助教、2014年奈良先端科学技術大学院大学特任准教授。現在に至る。データ工学、ソーシャルメディア解析の研究に従事。
10:00-10:30 講演(2) 自己情報コントロール機構を持つプライバシ保護データ収集・解析基盤の構築と個別化医療・ゲノム疫学への展開
佐久間 淳(筑波大学 システム情報系 教授)
【概要】 個人情報は個人化されたサービスを生み出す源泉になるが、プライバシへの配慮が重要である。特に、一度自分の手元を離れると、自分のデータがどう流通し、どう利用されるのかをコントロールすることができないという不安がある。JST CREST BigData基盤領域のプロジェクト「自己情報コントロール機構を持つプライバシ保護データ収集・解析基盤の構築と個別化医療・ゲノム疫学への展開」では、高度なデータ解析技術と暗号技術を組み合わせ、個人情報を公にせずに暗号化したままデータ収集・解析が可能な計算基盤を構築している。特に応用領域を個人ゲノム活用と個別化医療に定め、
1. プライバシを保護したまま疫学を行う秘密計算の大規模化・高速化
2. プライバシを保護したまま疾患リスク予測を行う秘密計算の設計とプロトタイプシステム構築
3. 疾患リスク予測における自己情報コントロール機構の設計
4. エクソン全領域関連解析による心筋梗塞発症に関連するSNP情報および臨床情報のデータベース構築
などに取り組んでいる。講演ではこれらのプロジェクトの中間成果について述べる。
【略歴】 2003年3月東京工業大学大学院総合理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年4月日本アイ・ビー・エム株式会社入社、東京基礎研究所に配属。2004年7月、東京工業大学総合理工学研究科助手、2007年4月同助教、2009年4月、筑波大学大学院システム情報工学研究科准教授、2016年4月同教授。現在に至る。機械学習と知識発見、セキュリティとプライバシの研究に従事。
10:30-11:00 講演(3) 航空交通の運用データとその活用
岡 恵(国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所 航空交通管理領域 主任研究員)
【概要】 データマイニングやビッグデータは第4の科学パラダイムと呼ばれ、2015年に改訂された日本再興戦略にもそれらを活用した変革が記載されるなど、現在注目を集め期待されている分野である。航空交通分野においても研究開発の裾野の拡大・促進を図ることを目的として、国土交通省航空局の所有するデータのうち研究開発に有用な情報を提供するという方針が決定された。それを受けて、2012年度の一定期間における定期航空便の時刻・位置等のデータ(CARATS オープンデータ)の一般公開が2015年2月より開始された。オープンデータが多くの大学や研究機関で使用され、航空交通システムの改善に役立てられることが期待されている。講演ではオープンデータの概要を説明し、これまでに当研究所で行ったデータを活用した研究例について報告する。また、データ公開により期待される便益およびデータの活用により解決が期待されている課題等について報告する。
【略歴】 1994年熊本電波工業高等専門学校情報工学科卒業。1996年山口大学工学部知能情報システム工学科卒、運輸省電子航法研究所入省。その後組織改編が行われ現職。入省より航空管制に関する研究に従事。関西空港滑走路増設や関東空域再編時に管制官参加のリアルタイムシミュレーションを行うなど行政に協力する研究を行ってきた。日本航空宇宙学会航空交通管理部門委員。
11:00-11:30 講演(4) 実世界ビッグデータ解析と可視化
豊田 正史(東京大学 生産技術研究所 准教授)
【概要】 我々は、大規模な業務用ドライブレコーダデータや、スマートフォンのGPS・加速度データ等の交通データの収集・蓄積を行うプロジェクトを実施している。これらの交通ビッグデータを用いて、運転者の運転挙動分析や要注意箇所の抽出による安全運転の促進、路面性状のモニタリングによるインフラ維持管理等の実証実験を行っており、その成果を紹介する。
【略歴】 1999年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。同年科学技術振興事業団計算科学技術研究員。2001年東京大学生産技術研究所学術研究支援員、同大学同研究所産学官連携研究員、同大学生産技術研究所特任助教授、助教授を経て現在、同大学生産技術研究所准教授。ウェブマイニング、実世界ビッグデータ分析、ユーザインタフェースに興味を持つ。ACM、IEEE CS、日本ソフトウェア科学会各会員。
11:30-12:00 パネル討論
【概要】 実世界でのビッグデータ分析、実データ利活用における課題、求められる技術に関して、様々な立場から議論する。
司会:新谷 隆彦(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授)
【略歴】 1999年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。1998年日本学術振興会特別研究員、2000年(株)日立製作所中央研究所研究員、主任研究員を経て、2011年から電気通信大学大学院情報システム学研究科准教授。現在に至る。データマイニング、並列分散処理、ライフログマイニングの研究に従事。
パネリスト:鈴木 優(奈良先端大学院大学 情報科学研究科 特任准教授)
【略歴】 2004年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年立命館大学情報理工学部講師。2009年京都大学大学院情報科学研究科特定研究員。2010年名古屋大学情報基盤センター研究員、特任助教、2014年奈良先端科学技術大学院大学特任准教授。現在に至る。データ工学、ソーシャルメディア解析の研究に従事。
パネリスト:佐久間 淳(筑波大学 システム情報系 教授)
【略歴】 2003年3月東京工業大学大学院総合理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年4月日本アイ・ビー・エム株式会社入社、東京基礎研究所に配属。2004年7月、東京工業大学総合理工学研究科助手、2007年4月同助教、2009年4月、筑波大学大学院システム情報工学研究科准教授、2016年4月同教授。現在に至る。機械学習と知識発見、セキュリティとプライバシの研究に従事。
パネリスト:岡 恵(国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所 航空交通管理領域 主任研究員)
【略歴】 1994年熊本電波工業高等専門学校情報工学科卒業。1996年山口大学工学部知能情報システム工学科卒、運輸省電子航法研究所入省。その後組織改編が行われ現職。入省より航空管制に関する研究に従事。関西空港滑走路増設や関東空域再編時に管制官参加のリアルタイムシミュレーションを行うなど行政に協力する研究を行ってきた。日本航空宇宙学会航空交通管理部門委員。
パネリスト:豊田 正史(東京大学 生産技術研究所 准教授)
【略歴】 1999年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。同年科学技術振興事業団計算科学技術研究員。2001年東京大学生産技術研究所学術研究支援員、同大学同研究所産学官連携研究員、同大学生産技術研究所特任助教授、助教授を経て現在、同大学生産技術研究所准教授。ウェブマイニング、実世界ビッグデータ分析、ユーザインタフェースに興味を持つ。ACM、IEEE CS、日本ソフトウェア科学会各会員。