FIT2015第14回情報科学技術フォーラム 開催日:2015年9月15日(火)~17日(木) 会場:愛媛大学城北キャンパス
イベント企画
オノマトペ利活用技術の最前線
9月16日(水) 15:30-17:30
第3イベント会場(講義棟1階 講11)
【セッション概要】 本企画では、従来主に自然言語処理的観点から取り組まれてきた「オノマトペ」の利活用技術について、近年「質感」というマルチメディア的観点からも注目されはじめていることをふまえて、その最新の研究動向を紹介する。当該分野において様々な側面から先端的な研究を行っている 5名の司会者及び研究者をお招きし、分野全体の研究動向及び各自の研究についてご紹介いただいたうえで、今後の展開についてパネル討論を行う。これにより、マルチメディアやコミュニケーションの分野にも広がりつつあるオノマトペの利活用技術に関する動向を共有し、新しい研究の発展の契機となる議論をすることを狙っている。
司会 オノマトペの利活用研究のこれまでそしてこれから:小松 孝徳(明治大学 総合数理学部 専任准教授)
【略歴】 2003年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。2003年公立はこだて未来大学システム情報科学部助手。2007年信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点助教、2012年信州大学繊維学部准教授、2013年明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科准教授、現在に至る。人間の「いい加減な能力」という視点から、人間と人工物とのインタラクションを考察する研究活動に従事。
パネリスト オノマトペ感性評価、自動生成、色彩推薦システムによる商品宣伝広告への利活用:坂本 真樹(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授)
【略歴】 1998年東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。1998年東京大学助手、2000年電気通信大学電気通信学部情報通信工学科講師、同学部人間コミュニケーション学科准教授、総合情報学専攻准教授を経て、2015年4月より同専攻教授。専門は認知科学、感性情報学。言語と五感の関係性を被験者実験により分析し、その知見を工学的に応用した研究に従事。
パネリスト コミック工学とオノマトペ:松下 光範(関西大学 総合情報学部 教授)
【略歴】 1995年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻制御工学分野博士前期課程修了。同年日本電信電話株式会社入社。2008年関西大学総合情報学部准教授。2010年同教授、現在に至る。情報編纂、ヒューマンコンピュータインタラクションに関する研究に従事。博士(工学)。
パネリスト Web大規模画像データを用いた画像とオノマトペの関係分析:柳井 啓司(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 総合情報学専攻 教授)
【概要】 Web上にはキーワードが関連付けられた「単語付き画像」が多数存在する。本講演では、オノマトペに関係した「単語付き画像」をWebから大量に収集し、オノマトペと画像の関係を分析した結果について報告する。近年、大規模物体認識のためのデータセットで学習した Deep Convolutional Neural Network (DCNN) の活性化信号を bag-of-features や Fisher Vector などの代わりに画像特徴ベクトルとして用いることが物体認識やシーン認識、属性認識など様々な認識に対して有効であることが示されている。特に、DCNN 特徴を利用して、物体の質感や状態に関する直感的な印象を表す擬音語であるオノマトペの画像からの認識可能性について分析を行った結果を報告する。
【略歴】 1995年東京大学工学部計数工学科卒業。1997年東京大学大学院情報工学専攻修士課程修了。1997年電気通信大学情報工学科助手。2003年~2004年文部科学省在外研究員として米国アリゾナ大学に滞在。2006年電気通信大学情報工学科准教授。2015年電気通信大学大学院総合情報学専攻教授。博士(工学)。一般物体認識、マルチメディアデータマイニングなどに興味がある。情報処理学会、電子情報通信学会、人工知能学会、ACM、IEEE-CSの会員。
パネリスト オノマトペによる料理レシピの検索:渡辺 知恵美(筑波大学 システム情報系 助教)
【概要】 オノマトペは形容詞や文章などで伝えきれないあいまいなニュアンスを伝えるのに重宝される言葉であり、事物の印象を伝える際によく使われる。本講演では料理レシピを対象にレシピの印象による検索システム「オノマトペロリ」の開発について紹介する。オノマトペロリでは料理レシピに含まれる材料、調理法、レビューに含まれる語とオノマトペとの共起度を用いて、レシピとオノマトペとの適合度を求め、料理レシピをランキングすることでオノマトペと印象の近いレシピを提示する。また、料理表現におけるオノマトペ間の類似関係を考慮するために各オノマトペとレシピを味に関する15次元の印象語特徴空間にマッピングし、特徴空間内の距離に基づいたレシピとオノマトペの適合度算出法を定義した。これらの適合度算出法を使って料理レシピのランキングすることにより、オノマトペを含まないレシピも対象に指定されたオノマトペと印象の近い料理レシピを検索することができる。
【略歴】 1975年生。筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻助教。2003年お茶の水女子大大学院人間文化研究科博士後期課程修了。同年奈良女子大学理学部情報科学科助教、2005年お茶の水女子大学理学部情報科学科講師、2013年現職に至る。データベースシステムに関する技術、特にアウトソーシングデータベースにおけるプライバシ保護化処理、プライバシリスク提示などの研究活動に従事。情報処理学会、日本データベース学会会員。博士(理学)。