抄録
RL-004
Proxy re-encryptionを用いたマルチユーザ向け完全準同型暗号の提案
柴田崇夫(電通国際情報サービス)・○松澤智史・武田正之(東理大)
完全準同型暗号は,暗号化した状態で計算が可能な暗号系である.しかし,既存研究の多くは単一の鍵ペアのみを想定しており,複数のユーザによる利用を考慮していない.そこで本稿では,Proxy re-encryptionによる鍵の付け替えを用いた,復号権限の委任に基づくマルチユーザ向け完全準同型暗号を提案する.これによりあるユーザの暗号文を,復号権限を委任されたユーザの鍵ペアを用いて復号・計算することが可能となる.秘密鍵の直接譲渡による復号権限の委任と比べて提案手法は,ユーザの管理する秘密鍵のデータサイズが小さく済む,復号権限の委任の追加・失効が容易であるといった特徴を持つ.