抄録
RJ-002
笑顔の表出過程に着目した印象形成に及ぼす顔部位効果
○佐藤和人(秋田県大)・門脇さくら(スマートデザイン)・間所洋和(秋田県大)
本研究では,情動喚起ビデオによる快・不快刺激後の「喜び」表情の表出過程に着目し,顔部位が刻む表出リズムを相互情報量の観点から定量的に解析することにより,人間の心理状態に起因する表情表出時の複雑性や曖昧性を客観的に表現することを試みた.評価実験では,被験者10名(男女各5名)を対象に,各顔領域(顔全体,顔上部,顔下部)が刻む時系列変化の相互情報量を求め分析した結果,以下の点が明らかとなった.
・各顔領域が刻む表出リズムにおける相互情報量の大小関係や順序関係から表情の印象を推定可能
・表出リズムの相互情報量は表情表出時の自然さや不自然さの程度を測る指標として有効
・女性被験者は,男性被験者に比べて意図的に「喜び」表情を創ることが容易で,かつ不一致表出の影響を受け難い