◎野瀬泰史・菱山玲子（早大）

機械翻訳を介した多人数による多言語コミュニケーションでは，コミュニケーションモデルの改良がよりスムーズな会話環境の成立に寄与すると考えられる．しかし，このモデルの改良のための知見を得るには，会話データ分析が必要となる．本研究では，非対面型コミュニケーションを伴う多言語ゲーミングを利用し，参加者による自律的かつ動的な会話タグ付け行為を動機づけることで良質な会話タグを獲得した．この会話タグを利用した文脈プロトコル分析から多言語環境特有のコミュニケーション上の課題とその克服プロセスを把握した．この知見に基づき，誤訳の未克服状態の解消や複雑な会話の輻輳を解消するための方略モデルを提案した．