抄録
G-016
両耳聴ヘッドトルソにおける音の回折が両耳間時間差に及ぼす影響について
○霜山竜一(日大)
動物は,低い周波数の音を音圧の両耳間時間差(ITD)で,高い周波数の音をその強度差(ILD)で音源方向を推定することが知られている。動物を用いた生理学実験によると,鳥類と哺乳類では,内耳部で音の周波数弁別が行われ,各周波数に応じて特定の位相で神経パルスが聴覚中枢へと送られる点は同じであるが,この後の,ITDを推定するメカニズムが異なる。 本研究では,両耳聴ヘッドトルソを用いて測定された2系統の音圧の位相差の周波数特性から時間差を算出した。位相差の多義性に起因して時間差が多義的になることや,頭部や外耳による音の回折が時間差に及ぼす影響について述べる。