情報処理学会ホームページ
FIT2013第12回情報科学技術フォーラム 開催日:2013年9月4日(水)~6日(金) 会場:鳥取大学鳥取キャンパス FIT2013 第12回情報科学技術フォーラム HOME 一般社団法人情報処理学会 一般社団法人電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 一般社団法人電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーショングループ
イベント企画
HOME > プログラム > 開催イベント企画 >人文科学における時空間情報の活用
人文科学における時空間情報の活用
9月4日(水)09:30-12:00
第2イベント会場(共通教育棟 C棟 2F C21)
【セッション概要】GPSや地理情報システム(GIS)の普及により、空間情報を手軽に扱えるようになってきた。時間や空間は、様々な情報を整理し、結びつけるための接点としてますます重要になっている。これは現代の情報に限らず、歴史、考古、文化といった人文分野の情報にも当てはまる。近年様々な資料が「デジタルアーカイブ」の掛け声のもと蓄積されてきたことに伴い、人文分野においても時空間情報を活用した研究が盛んに行われるようになってきている。本企画では、時間や空間に関する可視化や解析の情報技術の動向を俯瞰しつつ、これらが人文分野の諸課題にどのように貢献できるのか、一方で、こうした応用が情報分野にどのような課題をもたらすのかについて議論を行う。
司会:原 正一郎(京都大学 地域研究統合情報センター 教授)
  【略歴】1987年、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(医学博士)。1989年に大学共同利用機関学術情報センター助手に着任、1991年より大学共同利用機関国文学研究資料館助教授をへて、2006年より現職、2010年より副センター長。特定の地域について異なるテーマ(視点)から得られた情報を総合的に研究する、あるいは同一テーマについて地域間で比較研究する、このような地域研究を支援する情報学的パラダイム(地域情報学)の構築を目指している。
09:30-09:35 オープニング
09:35-10:00 講演-1 地図の多様性を維持するための社会文化環境
有川 正俊(東京大学 空間情報科学研究センター 教授)
【講演概要】大手IT企業のIT地図サービスは極めてよくできていて、あらゆる場面で移動を快適に支援して、費用もかからず、水や空気と同じように、それにありがたみを感じなくなってしまうほど浸透している。一方、地図自体には価値を見出さないという社会文化環境の認識が進みつつある。このような強靭でグローバルなIT地図サービスは、ローカルな地図を絶滅させてしまうという懸念もある。現在の地図は、欧米の地図が発展し、科学的合理主義に基づき、位置や空間関係の正確さに偏重しているとも解釈できる。本発表では、現在主流のIT地図サービスが持つ問題点を人文科学および時空間情報処理の観点から具体的に明らかにし、今後あるべき地図の多様性を実現する社会文化環境の方向性に関して解説する。
  【略歴】1988年九州大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了。1992年九州大学博士(工学)取得。九州大学助手、京都大学助手、広島市立大学助教授を経て、現在は東京大学空間情報科学研究センター教授。専門は、空間情報工学、地図学、ユビキタスマッピング。人間中心の地図表現・インタラクションに興味を持つ。日本地図学会常任委員長、国際地図学会ユビキタスマッピング委員会代表。
10:00-10:25 講演-2 人文科学における時間情報の活用
関野 樹(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 准教授)
【講演概要】地理情報システム(GIS)の普及により、空間情報を使った研究が人文科学の諸分野でも浸透してきている。その一方で時間情報は、歴史研究をはじめとする人文科学において不可欠な要素であるにもかかわらず、依然として可視化や解析のための十分な環境が整備されていない。本講演では、時間情報の可視化や解析のためのソフトウェア、空間情報で用いられるベースマップや地名辞書などに相当する時間基盤情報の構築といった、時間情報をGISと同じ水準で利活用するための取り組みについて紹介するとともに、データ構築での「~頃」や「江戸前期」といったあいまいな表現の扱いなど、時間情報にかかる人文分野固有の様々な課題についても言及する。
  【略歴】1998年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。2002年に総合地球環境学研究所・研究推進センター助教授に着任後、現在は同研究高度化支援センター情報基盤部門長・准教授。時間情報を使った解析・可視化のためのソフトウェアの開発やデータ構築を主に手掛ける。
10:25-10:50 講演-3 ウェブGISを用いた空間時間データ可視化分析共同研究環境
BOURDON Julien(京都大学 地域研究統合情報センター 研究員)
【講演概要】ある地域や社会を理解するために、人文科学は空間時間データを多用している。近年、このデータの可視化や分析に地理情報システム(GIS)が利用されているものの、GISで作成されたデータの共同使用まだ難しい。専門家の以外のユーザにとっては使いにくく、研究にとって重要な中間結果やデータソースも公開されにくい。全てをウェブ上で実行できる環境を整えると、専門的なソフトウェアがなくても使いやすいインターフェースで空間時間データの分析と可視化が可能になる。そのために各研究プロジェクトのデータの種類に合わせて、Web上のシステムで分析を行う共同研究環境が構築されるべきである。本講演では、「東南アジア上座仏教マッピング」という課題を例に、ウェブGISの地理参照システムと移動可視化を考慮した設計について報告する。
  【略歴】京都大学地域研究総合情報センター研究員。地域研で、パターン分析および多言語資料群の可視化、地域研究に関するデータの空間時間解析に関する研究を進めている。フランス・カーン大学(Caen Basse-Normandie)を2005年卒業後、イギリス・シェフィールド大学(Sheffield)に留学。フランス・サンテティエンヌ大学(Saint-Etienne)にて2007年修士号を取得。京都大学情報学研究科社会情報学専攻の博士課程で「多言語サイトのパターン可視化」に関する研究を進めた。
10:50-11:15 講演-4 VR-AR技術を用いた多元的デジタルアーカイブズ・シリーズ
渡邉 英徳(首都大学東京 システムデザイン学部 准教授)
【講演概要】講演者らは、時代の経過とともに散逸していく歴史資料をネットワーク経由で収集し、デジタル・アースのVR空間と、スマートフォンのAR空間に集積して公開する「多元的デジタルアーカイブズ」を構築してきた。これまでに、南太平洋の島国ツバル、長崎・広島原爆、東日本大震災、そして沖縄戦をテーマとしたアーカイブズ・シリーズを公開している。これらのアーカイブズ・シリーズの目的は、公開されていなかった資料をオープンデータ化し、データ同士の時空間的な関連性を提示することによって、事象についての多面的な理解を促すことである。さらにアーカイブズ構築活動のバックボーンとして、オンライン・オフラインで人々を繋ぐ「記憶のコミュニティ」を形成することを企図している。本講演では、講演者らのこれまでの活動について紹介する。
  【略歴】情報アーキテクト。情報デザイン、ネットワークデザイン、Webアートを研究。首都大学東京システムデザイン学部准教授、京都大学CIAS客員准教授。代表作に「ヒロシマ・アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」など。1997年東京理科大学理工学部建築学科卒業(卒業設計賞受賞)、1999年同大学院修了。2013年筑波大学大学院修了。博士(工学)。
11:15-12:00 パネル討論
司会:原 正一郎(京都大学 地域研究統合情報センター 教授)
 【略歴】1987年、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(医学博士)。1989年に大学共同利用機関学術情報センター助手に着任、1991年より大学共同利用機関国文学研究資料館助教授をへて、2006年より現職、2010年より副センター長。特定の地域について異なるテーマ(視点)から得られた情報を総合的に研究する、あるいは同一テーマについて地域間で比較研究する、このような地域研究を支援する情報学的パラダイム(地域情報学)の構築を目指している。
パネリスト:有川 正俊(東京大学 空間情報科学研究センター 教授)
  【略歴】1988年九州大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了。1992年九州大学博士(工学)取得。九州大学助手、京都大学助手、広島市立大学助教授を経て、現在は東京大学空間情報科学研究センター教授。専門は、空間情報工学、地図学、ユビキタスマッピング。人間中心の地図表現・インタラクションに興味を持つ。日本地図学会常任委員長、国際地図学会ユビキタスマッピング委員会代表。
パネリスト:関野 樹(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 准教授)
  【略歴】1998年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。2002年に総合地球環境学研究所・研究推進センター助教授に着任後、現在は同研究高度化支援センター情報基盤部門長・准教授。時間情報を使った解析・可視化のためのソフトウェアの開発やデータ構築を主に手掛ける。
パネリスト:BOURDON Julien(京都大学 地域研究統合情報センター 研究員)
  【略歴】京都大学地域研究総合情報センター研究員。地域研で、パターン分析および多言語資料群の可視化、地域研究に関するデータの空間時間解析に関する研究を進めている。フランス・カーン大学(Caen Basse-Normandie)を2005年卒業後、イギリス・シェフィールド大学(Sheffield)に留学。フランス・サンテティエンヌ大学(Saint-Etienne)にて2007年修士号を取得。京都大学情報学研究科社会情報学専攻の博士課程で「多言語サイトのパターン可視化」に関する研究を進めた。
パネリスト:渡邉 英徳(首都大学東京 システムデザイン学部 准教授)
  【略歴】情報アーキテクト。情報デザイン、ネットワークデザイン、Webアートを研究。首都大学東京システムデザイン学部准教授、京都大学CIAS客員准教授。代表作に「ヒロシマ・アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」など。1997年東京理科大学理工学部建築学科卒業(卒業設計賞受賞)、1999年同大学院修了。2013年筑波大学大学院修了。博士(工学)。