日時:3月2日(水)13:00-13:50
会場:第1イベント会場 (70周年記念講堂)
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【講演概要】室内での実験が困難な地球科学、ことに毎日天気予報を求められる宿命にある気象学においては、コンピュータシミュレーションが仮説検証や予測の重要な手段となっている。天気予報は、毎日結果が検証できるが、近年では地球温暖化に伴う百年以上先の予測も求められている。 本講演では、気象や気候のコンピュータモデルの構成、計算の特徴、結果の検証法や予測に必要な観測データの同化技術などについてご説明する。予測と言っても、好きなだけ先までどんな現象でも当たるわけではない。そして、どんな予測でも不確実性は避けられない。このことは、人類にとって初めて体験する地球温暖化の問題では深刻である。よくわかってから対策を練っている余裕はないからである。また、気象や気候の予測情報を社会・産業のさまざまな面で利活用してゆく動き(端的に言うと、気温や雨量などの物理量から例えば米の収穫量に変数変換する作業)が活発である。気象予測に関わるこのような面にも触れてみたい。 【略歴】1957年大阪府生まれ。京都大学理学部卒業後、気象庁に入庁。UCLA大気科学専攻博士課程修了。気象庁予報部、気象研究所、東大気候システム研究センターを経て2010年より現職。気候のコンピュータモデルを用いて、異常気象や気候変動、地球温暖化の研究を行っている。2007年より気象庁に設置された異常気象分析検討会で会長を務める。2010年6月、日産科学振興財団・第17回科学賞を受賞。 |