5J-2
決定論的ジャンプ過程の長期予測に適したデータサンプリング手法の検討
○大塚陽介,鈴木智也(茨城大)
株価変動など不等時間間隔で変動するシステムを観測する場合,変動毎に現象を捉える方法と,物理時間に基づいて等時間間間隔で現象を捉える方法がある.
システムの特徴を忠実に捉えるには前者が適切であるが,観測データ間の時間間隔が短いため予測を行う際には,1ステップ予測を反復させることで予測経過時間を確保する必要がある.この際,もしシステムに非線形性が内在すれば,反復予測によって予測誤差は指数関数的に拡大してしまう.
一方,物理時間によるサンプリングでは観測データ間の時間間隔を可変できるので,少ない反復回数で長期予測を実現できる.しかしサンプリング間隔を拡大するほど,元のシステムの特徴を破壊してしまう.つまりサンプリング間隔には,観測データの質と予測反復回数に関するトレードオフが存在する.
そこで本研究は,決定論性を有するジャンプ過程を数理モデル化し,数値シミュレーションを通じてこのトレードオフを検証したところ,たとえシステムの特徴を破壊したとしても,予測反復回数を減らした方が高精度の予測を実現できることが分かった.