2H-2
最適なチェックポイントを選択するトランザクショナル・メモリ
○伊藤悠二,塩谷亮太,五島正裕,坂井修一(東大)
近年マルチコア・プロセッサが広く普及し,並列プログラミングを
実行する環境は整っている.しかし,並列プログラムは普及してい
るとは言えない.その原因はロックを用いた同期通信機構にある.
そこで,ロックを用いない同期通信機構として,トランザクショナ
ル・メモリが盛んに研究されている.トランザクショナル・メモリ
では,排他制御が必要な命令列をプログラマはトランザクションと
して指定する.多くの手法では,各スレッドでトランザクションを
並列に投機実行し,もし別のトランザクションと同じアドレスのデ
ータをアクセスした場合,そこまでの処理を破棄して最初からトラ
ンザクションを再実行する.本稿では,トランザクションを最初か
ら全てではなく途中から再実行し,再実行時のペナルティを最小限
にして効率的に実行できる手法を提案する.