特別トラック(1)
ユビキタスコンピューティング −都市と,家庭と,自動車内と−
●基調講演(1) 3月25日(火)13:05-14:00[T1A会場(研究所棟4F 401)]
「ユビキタスコンピューティングの目指すもの:将来像と現状」
徳田 英幸(慶大)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長兼環境情報学部教授 1975年 慶應義塾大学工学部卒,1977年 同大学大学院工学研究科修士課程修了,1983年 ウオータールー大学計算機科学科博士課程修了,1990年 カーネギーメロン大学計算機科学部研究準教授, 1996年 慶應義塾大学環境情報学部教授,1997-2001年 慶應義塾常任理事,2001年 同大学大学院政策・メディア研究科委員長
[講演概要]
 "ユビキタスコンピューティング"は,もともと80年代末にゼロックス・パロアルト研究所のMark Weiser氏がポストPC時代のコンピューティング環境として提唱した.本来の"ユビキタス"とはラテン語で「(神々が)同時に至る所にいる(ある);遍在する」ということを意味している.しかし,彼が,本当に意図したところは,意識せず,ストレスなく,自然に我々のタスクを遂行でき,それをコンピュータやネットワークがそっと支援してくれるといったコンピューティング環境である.ユビキタスコンピューティング環境実現に向けての最大のチャレンジは,現在のインターネット環境を さらに発展させ,身のまわりに存在する"あらゆる物"がネットワークにつながり,もっと"ストレスなく,安心して"人々の生活を支える社会基盤として機能するユビキタス ネットワーク環境へと進化させることである.本講演では,ユビキタスコンピューティング環境実現に向けての課題と将来像について述べる.
 
●基調講演(2) 3月25日(火)14:00-15:00[T1A会場(研究所棟4F 401)]
「ユビキタスコンピューティングテストベッドの目指すもの」
森川 博之(東大)
昭62 東大・工・電子卒.平4 同大学院博士課程修了.現在,同大学・創域・基盤情報・助教授.工博.平9〜10 コロンビア大学客員研究員.コンピュータネットワーク,ユビキタスネットワーク,モバイル/分散コンピューティング等の研究に従事.IEEE, ACM, ISOC,情報処理学会,映像情報メディア学会,情報理論とその応用学会各会員.丹羽記念賞,電子情報通信学会篠原記念学術奨励賞,論文賞,情報処理学会論文賞等受賞.
[講演概要]
「ユビキタスコンピューティング」や「どこでもコンピュータ」といった言葉が示唆する世界への扉が今まさに開こうとしている.デバイスの小型・高性能・省電力化,時間や場所を選ばずにインターネット接続ができる小型無線端末,サービスのプラグ・アンド・プレイを実現する自動設定技術などがユビキタスへの原動力となっている.本講演では,来るべきユビキタス時代に向け,特にユビキタスネットワーキングという観点からアプリケーション シナリオを示し,その技術的課題を明らかにするとともに,構築を進めているSTONEルームテストベッドを紹介する.さらに,STONE ルームでの実験を介して得られた知見に基づいた,ユビキタスコンピューティング時代の創出に向けての道筋を示す.
 
●特別講演 3月26日(水)15:30-17:30[T1A会場(研究所棟4F 401)]
「情報家電における混合音認識の重要性:聖徳太子コンピュータ」
奥乃 博(京大)
1972年東京大学教養学部基礎科学科卒業. NTT,科学技術振興事業団,東京理科大学を経て,2001年京都大学大学院情報学研究科知能情報学 専攻教授. 博士(工学).スタンフォード大学客員研究員,東京大学工学部客員助教授.推論機構,音環境理解,ロボット聴覚等の研究に従事. 人工知能学会論文賞,IEA/AIE-2001 最優秀論文賞,テレコム技術賞奨励賞,IEEE/RSJ IROS-2002中村賞finalist.本学会英文図書出版委員.
[講演概要]
 音声認識システムがPCに標準装備されるようになり,音声でさまざまな機器に指示したいという夢は手の届く範囲に入ってきた. しかし,音声指示をしたところ,想定していた機器とは違う機器に命令が行き,大混乱を引き起こすというのは,漫画などでの定番のドタバタ劇である. 従来の音声認識システムは,音声という単一音源を想定してシステムが構築されており,複数の音源から同時に音が生じる場合には,音声認識の精度が大きく低下する. 我々は,通常システムが聞く音は混合音であるという立場に立ち,混合音分離の研究に取り組んできた.
 本講演では,実環境での混合音分離での課題,ヒューマノイドロボット用聴覚機能の課題を挙げ,上半身ヒューマノイドに搭載した実時間複数話者追跡, 体の動きを伴った聴覚機能であるアクティブオーディションなどについて解説を行い,3話者同時発話認識について報告をする.
 
●パネル討論(1) 3月25日(火)15:15-17:15[T1A会場(研究所棟4F 401)]
「ユビキタスコンピューティングのインフラストラクチャ及び関連技術の構想と展望」
[講演概要]
 ユビキタスコンピューティングの重要なインフラとなる街角無線LAN構想とその利用形態などを描いていただく.
 このようなインフラストラクチャの下,人間活動を支援するプラットフォームや携帯機器の研究開発も進んでいる.特に街中でのIP通信が近い将来どのようなものになるか,その未来像を提供すべく,街中の無線LANインフラストラクチャ構想と,そこにおけるPC以外の新しい機器に焦点をおいて討論していただく.
司会:伊藤 日出男(産総研)
1959年:福岡県に生まれる.1978年:東北大学工学部に入学.1984年:同大学工学部電子工学科修士課程修了.1984年:通産省工業技術院 電子技術総合研究所に入所.2001年:独立行政法人 産業技術総合研究所に改組.サイバーアシスト研究センターデバイス研究チーム長として 現在に至る.ビーム偏向半導体レーザ,室内測位通信システムと携帯情報通信端末(マイボタン) の研究開発に従事.
パネリスト:小野田 哲也(NTT-ME)
'88早大卒/ '90早大院了/ '90NTT伝送研入所.光加入者系,高速ファイル転送等の研究開発に従事. '99〜'00 Carnegie Mellon大客員研究員. '00〜'01 IEEE ComSoc Asia Pacific Board (APB) Secretary '02〜'03 APB Info. Service /Tech. Affairs Committee Vice Chair.'01〜NTT-MEにてCDN,公衆無線LANサービスの構築に従事.工学博士( '02早大).
パネリスト:梅田 英和(スカイリー・ネットワークス)
1972年東京都八王子市生まれ.株式会社スカイリー・ネットワークス設立(2001/7〜)有限会社グラム・デザインで開発した「Boogie」を 基盤として,ワイヤレス市場での基本ソフトウェア,開発ツール及び通信サービスを提供する会社として設立.同社 代表取締役最高経営責任者に就任.セミナー講師,記事執筆など新技術の普及活動を活発に行う.
パネリスト:中村 圭祐(ソフトバンクBB)
 昭和53年4月:電子部品卸売商社入社.昭和57年3月:立命館大学基礎工学部卒業.平成6年8月:ソフトバンク株式会社入社.ソフトバンク・ ネットワーク・センター(大阪センター)に出向し,ネットワーク教育関連業務に従事.平成9年8月:ソフトバンク・テクノロジー株式会社 設立に伴い転籍,大阪センターにてネットワーク関連業務に従事.平成 11年8月:本社(東京)に転勤.平成13年11月:BBテクノロジー (現ソフトバンクBB)に出向,Yahoo!BBモバイル事業の立ち上げに従事.平成15年2月:ソフトバンクBB株式会社に転籍(現職).
パネリスト:長谷 良裕(鷹山)
 京大理院修士了(地球物理学),阪大工院博士後期課程了(通信工学),工学博士.郵政省電波研(現通信総研)入所以来,高速移動通信 研究室長,第二研究チームリーダー,企画室長,上席研究員等を歴任し,各種無線通信システムの研究開発に従事.その間に米テキサス大 客員研究員,TAO成層圏無線プラットフォームR&Dプロジェクト統括サブリーダー,横浜国大助教授等を併任.通信総研を2002年9月末 退職し,10月より現職.電子情報通信学会会員,米国IEEE上級会員.
 
●パネル討論(2) 3月27日(木)14:30-17:00[T1A会場(研究所棟4F 401)]
「ユビキタスコンピューティング:都市と自動車内と」
[講演概要]
「ユビキタス」というコンピュータとネットワークに関する新しい考え方が,21世紀のライフスタイルやビジネス,さらには社会までを変えると言われている.
本パネル討論では,このユビキタスコンピューティング/ネットワークの概念,およびそれがもたらす未来社会のイメージや具体像を明らかにするとともに, その実現のための様々な取り組みの事例を議論する.

司会:森川 博之(東大)
(略歴は「基調講演(2)」を参照)
パネリスト:中島 秀之(産総研)
1983年,東京大学大学院情報工学専門課程修了(工学博士).人工知能,特に知識表現,推論などを状況依存性の観点から研究.最近は マルチエージェントならびに複雑系の情報処理に興味を持っている.産業技術総合研究所サイバーアシスト研究センター長.北陸先端科学技術大学院大学客員教授.認知科学会会長,ソフトウェア科学会理事,人工知能学会会員,情報処理学会理事,マルチエージェント システム国際財団理事.主要編著書:知的エージェントのための集合と論理(共立出版),思考(岩波講座認知科学8),記号の世界(岩波書店),Prolog(産業図書).
http://www.carc.aist.go.jp/~nakashim
パネリスト:屋代 智之 (千葉工大)
 平成2年慶應義塾大学理工学部計測工学科卒業.平成10年同大学大学院理工学研究科博士課程修了.同年より千葉工業大学工学部情報 ネットワーク学科専任講師.現在同大学情報科学部情報ネットワーク学科助教授.博士(工学).LANの媒体アクセス制御方式,高度道 路交通システム(ITS),モバイル・コンピューティング等の研究に従事.高度交通システム研究会幹事.著書「コンピュータネットワー ク」(オーム社)等.電子情報通信学会,人工知能学会,IEEE各会員.
パネリスト:舩橋 哲也 (NTTコミュニケーションズ)
1982年:横浜国立大学大学院卒.同年電電公社入社.1999年:NTTコミュニケーションズ発足に伴い,NTTコミュニケーションズ株式会社 ネットワーク事業部ネットワーク企画部設備計画部門長.2000年5月: 経営企画部ローカルアクセスタスクフォースサービス企画部門担当部長. 2002年3月:現職.
パネリスト:安田 豊 (KDDI)
 1975年京都大学修士卒(電子工学専攻).同年よりKDD研究所にてディジタル衛星通信,誤り訂正方式等の研究開発に従事(1984年 工学博士).1984年インマルサット(国際移動衛星機構)出向,1994年アステル東京出向などを経て,1998年KDD本社IMT-2000推進室長, 2000年同社執行役員.2000年10月の3社合併後KDDI理事,移動体技術本部モバイルIT部長,2001年技術開発本部ITS推進部長を経て 2002年6月から現職.
パネリスト:瀬戸 洋一 (日立)
 (1979年 慶応義塾大学工学研究科修了(電気工学),同年(株)日立製作所入社 システム開発研究所配属,以来,衛星画像処理, 医療画像処理,地理情報処理,ITS,情報セキュリティの研究開発に従事.セキュリティビジネスセンタ センタ長を経て,現在,同研究所情報セキュリティ担当主管研究員.情報処理学会,IEEE各会員,ISO SC37委員長,ISO SC17 WG11主査. INSTAC JIS化主査,工学博士(慶大),技術士(情報工学).)
 
●チュートリアル(1) 3月26日(水)9:30-12:00[T1A会場(研究所棟4F 401)]
「誰でもできる日曜プログラミング(1) −自分だけのインターネットブラウザを作る−」
講師: 天野 真家(東芝)
(株)東芝研究開発センター.1973年京都大学大学院・工・電気・修士.自然言語処理の研究に従事.日本語ワードプロセッサー,機械翻訳システム等の自然言語処理の研究開発,ICOTプロジェクト,EDRプロジェクトなどに従事.本会理事.
[講演概要]
 Windowsのインターネット・エクスプローラのコンポーネントを利用して、ボーランド(株)のDelphiという言語で、ボタンを貼り付けていくだけの操作で 簡単なブラウザを作ります。ブラウザ作りを通して、ビジュアルなプログラミング環境を各自のPCに構築し、またAPIの利用の仕方の入り口を経験することにより、 家庭で日曜プログラミングができる下地を作ることを目標にしています。なお、時間があれば、ブラウザのエラー処理など、20〜30行程度のコードの書き方も 試みる予定です。
 
●チュートリアル(2) 3月27日(木)9:30-12:00[T1A会場(研究所棟4F 401)]
「誰でもできる日曜プログラミング(2) −自分だけのJavaアプレットを作る−」
講師: 瀬川 淳一(東芝)
(株)東芝研究開発センター.1999年九州大学大学院システム情報科学研究科知能システム学専攻修士課程修了.同年(株)東芝入社.
XML関連の研究,開発に従事.
[講演概要]
 プログラミング経験があまり無い初心者の方々を対象に,簡単なJavaアプレットを作成する講義を行います.講義内容は,開発環境のインストールに始まり, Javaアプレットの説明,Javaアプレット作成の実習,Javaアプレットを読み込むHTMLの作成実習を予定しています.実習として作成して頂くJavaアプレットは, 簡単なミニゲームを想定しており,初心者の方でも受講することにより,手軽に作成することが可能です.プログラミングに興味はあるのだが,機会が 無いために始められないという方々が,これを機にプログラミングを始めて頂ければと考えてます.なお,Javaの開発環境にはボーランド(株)が個人・ 教育用として無償提供しているJBuilder 7 Personalを用いる予定です.