ホーム > 第6回「センサ、デバイスによる新たな情報と高度交通システム」
第6回の概要
高度交通システム(ITS)は、自動車、鉄道等から、歩行者に至るまで、ありとあらゆる交通におけるさまざまな問題点に関して、情報技術の面から統合的なアプローチでその解決を目指すシステム一般を指します。今回のセミナーでは、これまでのそしてこれからの高度交通システムを支える基盤技術から、IT技術の発展・浸透に伴って実用が始まりつつある新たなセンサ技術やスマートフォンなどの今後のより安全・安心な交通環境の実現に寄与することが期待されている新技術まで、幅広い分野のトピックに関して、各分野の専門家をお呼びして紹介して頂きます。
コーディネータ:梅津 高朗 (大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 助手)
【略歴】2002年に大阪大学大学院情報科学研究科助手に着任、2005年に同研究科より博士号(情報科学)を取得。2007年より同研究科助教、現在に至る。2004年より、情報処理学会高度交通システム研究会運営委員。現在は同研究会幹事。モバイルコンピューティング、特に高度交通システムの研究に従事。
プログラム
SESSION.1 10:20-11:30
OSS分散処理基盤Hadoopの概要と交通分野での応用
【講演概要】大量データを対象とする分散処理の実現にあたりオープンソースソフトウェアHadoopの活用が進んでいる。車両から収集されるプローブデータの蓄積・処理など、交通分野での応用も現実のものとなりつつある。本講演では、Hadoopの一般的な特徴や応用例を紹介するとともに、タクシーや携帯ナビサービスから収集されたプローブデータを対象とした実証(経済産業省 委託事業)について紹介する。
講師:濱野 賢一朗 (株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部 シニアエキスパート)
【略歴】株式会社びぎねっと 取締役副社長、リナックスアカデミー 学校長を経て、2009年より株式会社NTTデータ。オープンソースソフトウェア導入・運用に関する支援業務に従事。
SESSION.2 11:30-12:20
センシングによる列車運行の安全性向上への取り組み
【講演概要】鉄道総研では、車両上や沿線等に設置した各種センサ等の情報に基づいて車両自体が危険状態を検知し、事故を回避するために適切な状態を確保するように制御する「知能列車」の検討を進めており、線路内への障害物の進入や車軸軸受の劣化などの異常状態の検知、検知後の乗務員に対する情報提供や減速制御の方法、車上での正確な位置速度検知手法などの研究開発に取り組んでいる。ここでは、現在検討中の主な内容について紹介する。
講師:関 清隆 (公益財団法人鉄道総合技術研究所 信号通信技術研究部 部長)
【略歴】1981年東京大学理学部情報科学科卒業。同年日本国有鉄道入社。1987年より財団法人鉄道総合技術研究所。鉄道の通信システムやアプリケーションに関わる研究開発に従事。
 お昼休み 12:20-13:20
 
SESSION.3 13:20-14:30
センサネットワークとヒューマンプローブによる街の可視化
【講演概要】東京電機大学を中心としたOSOITEプロジェクトでは、都市情報センシングに取り組んでいる。これは、「24時間細粒度」でセンシングすることにより、都市の状態・活動を可視化してみたいという思いから来ている。インフラ型センサネットワークと、人+センサ+携帯電話からなるヒューマンプローブを群馬県館林市で展開した結果を踏まえて、今後のセンシングの活用方法を考えてみる。
講師:戸辺 義人 (東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授)
【略歴】1986年東大電気修士。株式会社東芝、慶應義塾大学を経て、2002年から東京電機大学。博士(政策・メディア)。2006年~2011年、JST CREST OSOITEプロジェクトにて、センサネットワークとヒューマンプローブによる街中センシングに取り組む。
SESSION.4 14:30-15:40
ドライバに安全を提供する車載カメラ応用システム ~安心・安全なクルマ社会に貢献~
【講演概要】世界的に交通事故削減の動きが加速し、自動車への安全運転支援装置の装着が進んでいる。車載カメラは、見るだけのモニタリング装置から画像認識を融合することで知的な判断を行う安全運転支援装置へ進化してきており、事故防止を担う重要なコンポーネントになってきている。本講演では自動車事故を未然に防ぐアクティブセーフティを支える車載カメラ応用について、日立グループの研究開発の取り組みを含めて紹介する。
講師:川股 幸博 (株式会社日立製作所 日立研究所 スマートシステム研究部)
【略歴】1993年 神戸大学大学院工学研究科修士課程修了。同年(株)日立製作所日立研究所入所。現在、(株)日立製作所日立研究所スマートシステム研究部所属。現在までに、車載向け地上デジタル放送システム、カーナビゲーション、車載カメラといった車載情報システムの研究開発に従事。
SESSION.5 15:50-17:00
東日本大震災におけるITS Japanの取り組み ~通行実績・道路規制情報~
【講演概要】過去の震災時には、国土交通省が通行止め情報を配信するだけでなく、民間企業と研究機関が協力し通行実績情報を提供するなど、被災地支援に重要となる円滑な移動の確保に向けた取り組みが行われてきた。東日本大震災において、さらに大きな支援効果を生み出すために民民、官民が連携して「通行実績・道路規制情報」を初めて共同で作成し配信した。ITS Japanにおける取り組みの経緯、実施内容と効果について具体的な事例を挙げ紹介する。
講師:林 昌仙 (特定非営利活動法人 ITS Japan 交通物流プロジェクト 常務理事)

【略歴】1982年 日産自動車株式会社入社、シャシー設計、商品企画、法務渉外に従事。1998年~2002年、VICSセンター開発部に出向。帰任後、法規認証業務等に従事。2010年より特定非営利活動法人ITS Japan交通物流プロジェクトにて勤務(現職)。