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第5回「通信、放送、ITの連携による新たなコンシューマサービスの出現」
第5回の概要
スマートフォン、タブレット端末が登場し、携帯電話におけるワンセグ放送が普及するなど、テレビ受像機以外での通信機能を有するコンシューマデバイスでの放送が一般的となっています。さらには、インターネットを用いて、蓄積したあるいはライブの放送番組のストリーミング放送も始まっています。このように、通信放送の融合が叫ばれて久しいですが、真に、通信、放送、ITが連携しつつある状況に鑑み、第5回では、通信、放送、ITの連携に向けた、放送事業、CATV事業、IT事業、通信事業の観点から、将来のサービスのあり方について議論します。
コーディネータ:長谷川 亨 (株式会社KDDI研究所 IP・ネットワーク部門 執行役員)
【略歴】1982年京大・工・情報卒。1984年同大学院修了。同年KDD(現KDDI)入社。以来、プロトコルの形式記述、次世代インターネットの研究に従事。2003年電波産業会電波功績賞受賞。2006-2007年度情報処理学会理事。2010年本学会フェロー。ICNP、P2P等、国際会議TPCチェア多数。情報学博士。
プログラム
SESSION.1 9:30-10:40
次世代STBとマルチデバイスケーブルサービス
【講演概要】2011年4月、日本ケーブルラボにおいて、次世代ケーブルセットトップボックス(STB)の技術標準仕様が策定されました。これは、従来のSTBの役割であったケーブルテレビ信号の受信再生機能に加えて、アプリケーション実行環境、並びに、充実したネットワーク機能を備えることにより、様々なデバイスとの連携が可能となっています。この次世代ケーブルSTBにより、放送と通信が連携した新しいコンテンツナビゲーション、インターネットコマースと連携した生活密着サービス、ホームセキュリティや安全安心サービス、といった多様な付加価値サービスが、様々な端末から利用可能となります。本講演では、KDDIが、CATV業界との連携事業を展開する通信事業者として、次世代ケーブルSTBの技術仕様の標準化に取り組んできた経緯から、その技術的特徴を解説するとともに、期待される次世代サービスを紹介します。
講師:宮地 悟史 (KDDI株式会社 メディア・CATV推進本部 商品・技術開発部 技術開発グループ グループリーダ)
【略歴】1995年、国際電信電話(株)入社。以来、同社研究所(現KDDI研究所)にて、動画像圧縮符号化方式、画質評価方式、IPビデオ伝送方式等の研究開発 に従事。2008年、KDDI本社技術開発部門にて、次世代STBの試作開発を経て、2010年10月より、現部門にて、次世代ケーブルテレビ サービスに関わる技術開発、並びに、標準化に従事。
SESSION.2 10:50-12:00
スマートフォン向け放送局「NOTTV」の開局に向けて
【講演概要】株式会社mmbiでは、2012年4月の「マルチメディア放送」サービス開始に向け準備を進めております。「マルチメディア放送」では、モバイル端末で、従来のテレビ放送のような「リアルタイム型放送」を高品質・高画質で視聴できるとともに、映像ファイルなど多様なコンテンツを自動的に受信・蓄積し、後から視聴できる「蓄積型放送」が可能です。また、これらとSNS(Twitter、Facebook等)を組み合わせることができ、放送と通信の連携という新たな価値(サービス)が、視聴者により便利で幅広い楽しみ方をお届けします。講演では、限りないポテンシャルを有した「マルチメディア放送」を通して、私たちが目指す「モバイル・スマートテレビ」の世界をご紹介いたします。
講師:石川 昌行 (株式会社mmbi 取締役 経営企画部長)
【略歴】1999年4月 エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社入社。2000年4月 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ プラットフォームビジネス部担当部長。2000年9月 同社 MM企画部担当部長。2002年7月 同社 クロスメディアビジネス部担当部長。2003年7月 同社 エマージングビジネス部担当部長。2004年7月 同社 マルチメディアサービス部担当部長。2008年7月 同社 フロンティアサービス部担当部長。2009年1月 株式会社マルチメディア放送 代表取締役社長。2010年6月 同社 取締役 経営企画部長。2011年4月 株式会社mmbi 取締役 経営企画部長。現在に至る。
 お昼休み 12:00-13:10
 
SESSION.3 13:10-14:20
放送通信連携システム Hybridcast®
【講演概要】近年、放送のデジタル化とブロードバンド環境の普及が進み、高品質なデジタル放送と多様なインターネットのサービスを多くの人が利用できるようになりました。NHKでは、このような時代に即したより魅力的な放送サービスの実現を目指して、基盤システムの研究開発に取り組んでいます。本講演では、放送と通信のそれぞれの優れた特徴を生かした放送通信連携システムHybridcast®の概要と、その実用化に向けた技術的な取り組みを紹介します。
講師:砂崎 俊二 (NHK放送技術研究所 次世代プラットフォーム研究部 主任研究員)
【略歴】1986年NHK入局。福岡放送局、放送技術局にて番組制作、放送技術研究所にてセキュリティ技術、蓄積型放送方式の研究、技術局にて番組制作設備の開発・整備などを経て、現在、放送技術研究所次世代プラットフォーム研究部主任研究員。Hybridcast®、ソーシャルネットワークの研究に従事。
SESSION.4 14:30-15:40
ストリーミング放送のこれから
【講演概要】ストリーミングが社会のさまざまな場所で用いられるようになり、一般化・大規模化を迎えている。一方、ゼロ年代にはストリーミングに用いられる技術のコモディティ化、国際標準化が急速に進んだ。なかでもH.264やHTTPなどの利用は広範囲に渡り、多くの配信アプリケーションで採用されている。ここでは、プロトコルやフォーマットをキーにして、ストリーミング放送の技術進化を確認しつつ、将来像について見通してみたい。
講師:山本 文治 (株式会社インターネットイニシアティブ アプリケーションサービス部 デジタルコンテンツ配信課 シニアエンジニア)
【略歴】1995年に早稲田大学第二文学部西洋文化専修を卒業、同年株式会社アイアイジェイメディアコミュニケーションズに入社。2005年10 月より株式会社インターネットイニシアティブにて勤務。主にストリーミング業務に従事している。
SESSION.5 15:50-17:00
[パネル討論] 通信、放送、IT連携の将来と課題
【討論概要】通信、放送、IT連携の将来と課題について、通信事業者、放送事業者、OTTの観点から議論します。

司   会:長谷川 亨 (株式会社KDDI研究所 IP・ネットワーク部門 執行役員)
パネリスト:宮地 悟史 (KDDI株式会社 メディア・CATV推進本部 商品・技術開発部 技術開発グループ グループリーダ)
      石川 昌行 (株式会社mmbi 取締役 経営企画部長)
      砂崎 俊二 (NHK放送技術研究所 次世代プラットフォーム研究部 主任研究員)
      山本 文治 (株式会社インターネットイニシアティブ アプリケーションサービス部 デジタルコンテンツ配信課
              シニアエンジニア)