査読付き論文について


電子情報通信学会情報・システムソサイエティ,ヒューマンコミュニケーショングループおよび情報処理学会が共同開催する情報科学技術フォーラム(FIT: Forum on Information Technology)は,2002年に創設され今回が第9回となる日本の情報科学分野最大の学会大会である.査読採択論文は各分野の講演論文集に収録されている.
 FIT2010では,本フォーラムで最も特徴となるFIT査読付き論文について,情報分野のより一層の活性化を目指すべく,前回と同様の「コンファレンスペーパー」としての査読に加えて,優秀な論文をFITとして電子情報通信学会または情報処理学会の論文誌へ推薦する「論文誌推薦制度」を継続した.査読はこれまでと同様,各分野に分野責任者を置き,各研究会から推薦された担当委員と協力して,それぞれの分野および研究会で独立に論文査読を行った.
 以上の過程を踏まえて,6月11日に,査読会議を開催し,採択論文の決定,船井ベストペーパー賞・FIT論文賞候補論文候補の決定,論文誌への推薦論文候補を決定し,それに引き続きプログラム編成会議でFIT2010プログラムを策定した.論文査読を行った各分野の投稿数,採択件数,採択率は次の通りである.
分野名
投稿数
採択件数
採択率
 A:モデル・アルゴリズム・プログラミング
16
7
43.80%
 B:ソフトウェア
8
2
25.00%
 C:ハードウェア・アーキテクチャ
17
12
70.60%
 D:データベース
6
4
66.70%
 E:自然言語・音声・音楽
10
4
40.00%
 F:人工知能・ゲーム
23
8
34.80%
 G:生体情報科学
2
1
50.00%
 H:画像認識・メディア理解
-
-
-
 I:グラフィクス・画像
22
9
40.90%
 J:ヒューマンコミュニケーション&インタラクション
17
11
64.70%
 K:教育工学・福祉工学・マルチメディア応用
13
3
23.10%
 L:ネットワーク・セキュリティ
8
6
75.00%
 M:ユビキタス・モバイルコンピューティング
21
12
57.10%
 N:教育・人文科学
2
2
100.00%
 O:情報システム
9
7
77.80%
  合計
174
88
50.60%
 以下の10編は,FIT2010学術賞選定委員会が採択された査読付き論文の中から所定の選定手続きを経て選んだ船井ベストペーパー賞3編・FIT論文賞7編である.

船井ベストペーパー賞  
・環境配慮型データセンタ向け空調連係IT負荷配置最適化方式  沖津 潤(日立)他
・HTML要素に着目した違法・有害サイト検出手法の提案と評価  池田和史(KDDI研)他
・高密度情報化を可能とするQRコード符号化方式について  遠藤祐介(神戸大)他

FIT論文賞
 
・ヘルスケアロボットへのパーソナリティ付与による説得効果  中川佳弥子(ATR/阪大)他
・架空名義操作不可能な施設配置メカニズムの特徴づけ  東藤大樹(九大)他
・関数呼び出しの分析による頻出学習パターンの導出  谷川紘平(立命館大)他
・LED Traffic Light Detection Using a High-speed-camera for a Road-to-vehicle Visible Light Communication System  Halpage Chinthaka Nuwandika
 Premachandra(名大)他
・架空名義操作不可能な組合せオークションメカニズム:VCG メカニズムの改良  毛利貴之(九大)他
・マルチエージェントにより問題空間の分割を行う階層化複素強化学習の検討  山崎惇広(横浜国大)他
・植生指標の精度とスペクトル再現性を考慮したハイパースペクトル画像符号化  篠田一馬(東工大)他

 最後になったが,多忙の中,査読プロセスの運営および論文賞候補選考にご尽力頂いたFIT2010プログラム委員会およびFIT2010学術賞選定委員会の方々,限られた短期間で論文査読の責務を果たして頂いた査読者の方々に深く感謝する.
FIT2010プログラム委員会
FIT2010学術賞選定委員会
 委員長 村山 優子 


FIT2010 第9回情報科学技術フォーラム 論文査読者一覧