2018年度業績賞
2018年度業績賞の表彰
◆時空間データ横断プロファイリング技術の開発と実用化
市街地等で防犯カメラの導入が進み,テロなどの犯罪の未然防止や道に迷っている観光客へのおもてなし等リアルタイムでの映像活用を求められている.しかし,従来技術は顔が判明している人物等,既知の対象の検出を主眼としているため,不特定多数から注意を要する人物を検出することは難しかった.本技術は,画像認識技術とデータベース技術を融合させ,出現パターンに基づく映像検索技術を確立,学術的に高い評価を得るだけでなく,雑踏警備や金融犯罪で実証、警備・捜査支援の映像解析システムとして導入されるなど実績を挙げており,業績賞に値する.
◆薄く柔らかい電池交換不要なビーコンの研究開発と実用化
IoTシステムでデバイスを利用する際には,業務の妨げにならない場所へのデバイス設置と,電源確保が課題である.特に,IoTデバイスは電池駆動のものが多く,システムメンテナンスや運用管理の手間軽減としての電池交換不要化への期待は大きい.受賞者らは,この課題にいち早く着目し,電池交換が不要な太陽電池のみで駆動する,小さく薄く柔らかいビーコンを世界で初めて開発・製品化し,資産管理システム等の産業分野への適用を行った.現在も,IoTで社会の課題を解決するための重要な1つのピースとして注目を集めている.
◆機微な情報を安全に利活用できる秘匿検索処理技術の研究開発と実用化
データを暗号化したまま検索を実現する秘匿検索処理技術を開発し,世界で初めて実用化した.開発技術により,医療機関や患者から集めた疾病情報を,クラウド上で安全に管理できる患者レジストリシステムが実現した.日本全国の希少疾患情報を集約することで,病態解明,臨床試験,治療法の開発など医療分野の発展に貢献することが期待される.本技術の強固なセキュリティは、顧客からも高い評価をいただいており、医療機関のみならず,健康保険組合や金融機関にも活用されるなど,多業種への展開が進んでいる.