情報処理学会四国支部創立10周年に寄せて

野田 松太郎

    1993年4月からの年度で情報処理学会四国支部長をつとめさせていただきました。 思い返してみますと,この年度は私にとっては実にあわただしい年でした。 丁度,愛媛大学では情報工学科の学科主任(現在は学科長と名称も変わっています)になっており,学生の就職等で大わらわでした。 6月に網膜剥離になって入院・手術を体験したのも,2度にわたって中国を大旅行したのもこの年でした。 学科の運営等で数名の方々に大変お世話になったのを覚えています。 幸い,大学では現在のように大学改革の嵐が吹くより前でしたので,それなりには総会,役員会等を行った他,年2回の支部長会議,全国大会等に参加したり,関西支部の30周年,中国支部の10周年の祝賀会にも出席しました。 ただ,新しい企画を試みる等の改革は行わず,会員数の少なさをなげいていた程度でした。 こんな状態でしたが,会員の皆様方にお助けいただいてなんとか支部長をつとめ終えれたという感じです。 それでも,学会運営や学会事務の大変さとしんどさを身をもって感じることが出来た1年でした。

    この年度の後半からは学部や学科の改組等の動きが出始め,別の忙しさが加わって来ました。 そして現在に至り,独立行政法人化の流れ等で国立大学は激動の時期に入っています。 研究成果の地域への貢献と教育の重要性が指摘されています。 一方では国際化も進展し,国内だけでしか通用しない研究は評価の対象にならなくなりつつあります。 とても忙しくて,学会活動に費すことの出来る時間も少なくなって来ていますが,こういう時期だからこそ逆に学会を見直し,新たな展望を作り出すための場として学会を位置付ける好機なのかもしれません。

    情報処理学会四国支部も発足10周年です。 次ぎの10年が今まで以上に輝いた時代になることを期待します。

平成5年度 情報処理学会 四国支部長
愛媛大学 工学部 情報工学科