巻頭言

坂本 明雄

 情報処理学会四国支部が平成元年に中国四国支部から独立して10年になります。この四国支部創立10年を記念した事業の一環として,この小冊子を発行することになりました。

 情報処理学会の戸田巖会長からは,学会全体として会員数が伸び悩んでいる折りに四国支部では頑張っているとお褒めの言葉をいただきました。また,四国支部の歴代支部長からは支部長当時の思い出を交えたお話などを寄稿していただいています。さらに,近隣支部として関西支部,中国支部,九州支部の各支部長にこの記念誌へのご寄稿をお願いしましたところ,快くお引き受けいただきました。ご寄稿くださいました皆様に深く感謝申し上げる次第です。

 特に,支部設立に際しての経緯などは,初代支部長の高橋先生や四国支部設立世話人代表であった相原先生(2代目支部長)のご寄稿文をお読みいただくと明らかになります。こういった内容を記録に残すことは,この10周年記念誌を発行する重要な意義のひとつであると思われます。

 現在の日本の情勢は第二の敗戦といわれるほど,政治・経済・産業・教育などあらゆる分野において戦後最大の危機的状態に陥っています。このような状況の中で,こと情報技術に関して四国では新しい取り組みも始まっています。例えば高知県においては,次世代インタネット技術の研究開発プラットフォームであるTAO(通信・放送機構)のJGN (Japan Gigabit Network) や地域情報化プロジェクトの Kochi 2001 Planなどがあげられます。特に後者は必ずしも技術先行型のプロジェクトではなく,地域の活性化や利用者の利便性を指向した新しいタイプの地域情報化活動であり,地方の車社会を情報化により支援する地域型ITS (Intelligence Transportation System)や過疎化・高齢化社会を見据えた保健医療福祉情報通信システムモデルの構築などが含まれています。

 当支部では,研究会や講演会の開催のほか,大学・高専の電気・電子・情報関連学科卒業生への支部奨励賞の授賞,電気関係学会四国支部連合大会への参加など,積極的に支部活動を行っております。また,平成12年10月には愛媛大学で情報処理学会全国大会を開催する予定になっています。これらの活動を通して,四国地域の情報技術に関する学術・技術の進歩発展と普及活動に寄与していきたいと念願しています。

 最後に,今回の四国支部創立10周年記念事業を遂行するにあたって,支部幹事をはじめとする支部役員諸氏のご協力に感謝するとともに,この10年間四国支部を支えてくださいました支部会員の皆様,特に歴代の支部役員を務めていただきました諸兄に深甚の謝意を表します。

情報処理学会 四国支部長
高知工科大学 情報システム工学科