情報処理学会四国支部創立10周年に寄せて

河口 英二

 四国支部が創立10周年を迎えられたとのこと,誠に喜ばしいことであります。 支部の運営も10年目ともなりますと,一つの節目を迎えておられる頃ではな いでしょうか。全国8支部を会員数の面で眺めて見ますと,規模の大小によっ て運営上の問題点もそれぞれに異なっているようです。現在,情報処理学会全 体としても会員数の減少傾向問題に悩んでおります。その中にあって,四国支 部は平成9年度よりも10年度の方が会員数を増やしておられるようであり, 支部活動の元気さが伺われます。今後とも是非このような傾向をつづけられま すよう期待しております。

 皆様ご存じのように,今日,「学会活動」は世界中に溢れています。毎日受け 取るe-mailのかなりの割合は,何らかの「Call for Papers」であります。そ して今だに「First International Conference on ・・・・・」というメール が届きます。その中でもやはり「情報技術」関連のものが多いと感じられま す。あたかも,来る日も来る日も無数の「学会星」が誕生しているかのようで あります。

 “情報処理学会星”は,嘗てコンピュータを学ぶ者の間では日本の「一番星」 でありましたし,アジアでも一番星,世界でも何番目星かであったと思いま す。誕生の時には極めて小さな存在でしたが,短期間のうちにたちまち巨星の 域にまで成長しました。その勢いの良さは,以前,私自身も何か誇らしいもの として感じておりました。

 やがてこの巨星は多くの新星を近くにばらまくようになり,様々な関連学会が 情報処理学会を母体として育って行きました。反面,巨星自身はその輝きと勢 いが多少下火になってきた感があります。会員数の減少傾向はその現れであり ましょう。

 このような時期に,「支部を中心とする新たな学会活動の形態」を考えてみる ことは意義のあることではないでしょうか。International Conferenceの活力 は,やはりRegional Activityが原点になるのではないでしょうか。四国支部 も,九州支部も,これまでは日本の辺境支部(?)と見られていたかも知れま せん。しかしながら,インターネット時代の「情報処理」の世界には辺境はあ り得ません。何処にいても積極的な活動が可能です。四国支部会員の皆様も九 州支部会員も,共にますます頑張ろうではありませんか。

情報処理学会 九州支部長
九州工業大学